「F40」や「F50」、「エンツォ」のルーツともいえる“赤いフェラーリ”を発見 3台しか生まれなかった希少な「308GT/M」の正体とは
モータースポーツにおける究極の進化形として開発
2026年4月、RMサザビーズ モナコオークション 2026において、1984年式のフェラーリ 308GT/Mが出品され、高額で落札されました。
一体どのようなクルマなのでしょうか。
308GT/Mは一般的な知名度こそ高くありませんが、フェラーリの歴史において極めて重要な意味を持つ存在です。
このモデルは、ミッドシップV8を搭載した308シリーズをベースに開発され、モータースポーツにおける究極形を目指して誕生しました。
ところが、開発当時に導入されていたグループB規定が急速に変化したことで、ワークス体制による本格参戦の機会は限られることになります。
それでも308GT/Mが後世に与えた影響は非常に大きく、このモデルが存在しなければ、フェラーリ 288GTOは誕生していなかった可能性があります。さらに、その系譜はF40、F50、エンツォ、ラ・フェラーリへと受け継がれていきました。
このクルマこそが、フェラーリの“ビッグ6”誕生の起点となり、ポルシェやマクラーレンといったライバルメーカーにも大きな刺激を与えた存在だといえるでしょう。

ベース車となったフェラーリ 308GTBは、当時すでにレースやラリーで活躍していました。しかし、フェラーリと、当時実質的にカスタマーレーシング部門を担っていたミケロットは、さらに純粋な競技用プロトタイプの開発へ踏み出します。
その結果、3リッターV型8気筒エンジンは縦置きレイアウトとなり、最高出力は約370馬力に達しました。また、軽量なチューブラーフレームを採用したうえで、カーボンファイバーとケブラーによるボディを組み合わせたことで、車重はわずか840kgに抑えられています。なお、これはF1を除くフェラーリとして初めてコンポジットボディを採用した例でもありました。
308GT/Mはわずか3台しか製造されておらず、そのうち今回出品されたシャシ001は、フィオラノ・サーキットで徹底したテストが実施されました。しかし、四輪駆動車が主流となり始めていたグループB時代において、後輪駆動であった点は大きなハンデとなります。
その後、この個体はベルギーの著名レーシングチームの手に渡り、クラブレースへ参戦。各地で勝利を収める活躍を見せました。
1990年代以降も丁寧に維持管理されており、ヒストリックレースへの出場や定期的なメンテナンスが継続されています。整備費用は約39万ドルに達しており、極めて高いコンディションが維持されてきたことがうかがえます。
また、フィオラノで記録したラップタイムは288GTOやF40を上回ったともいわれ、その実力の高さは際立っていました。
残る2台のうち、シャシ番号002は1984年のモンツァ・ラリー 1984に参戦。クラッシュするまでトップを走行するほどの速さを見せています。
そして3台目は1986年末に製作されました。これら3台は長く語り継がれる伝説的存在となり、288GTO、さらにF40、F50、エンツォ、ラ フェラーリ、そしてフェラーリ F80へと続く系譜の礎となっていきます。
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