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60年前の“美しすぎるフェラーリ”が高額落札 総帥エンツォ本人が直接クレーム対応したという伝説の1台 希少な「275GTB/6C」ロングノーズ仕様とは

ロングノーズの2カム車で6連キャブ車はわずか73台のみ

 2026年4月にモナコで開催されたRMサザビーズのオークションで、1966年式フェラーリ「275GTB/6C」が出品され、高額で落札されました。

 フェラーリ275GTBは、ツーリング性能とレーシング由来の高性能、そして流麗なスタイリングを兼ね備えたクラシック・フェラーリの代表格として長年高い評価を受けてきました。

 1964年10月のパリ・サロンで正式発表されたこのベルリネッタは、コロンボ設計による3.3リッターV型12気筒エンジンを搭載し、フェラーリの市販車として初めて独立式リアサスペンションとトランスアクスルを採用したモデルでもありました。

 ピニンファリーナによるデザインをスカリエッティが形にしたボディは、250GTOの美しさを発展させたもので、ロングノーズや流れるようなウインドスクリーン、大きく張り出したリアフェンダーが特徴です。

 1965年には改良が施され、高速域でのフロントリフトを抑えるためにノーズが延長されました。また、駆動系の振動対策として新設計のトランスミッションやCVジョイントが導入され、さらに後期型ではトルクチューブ式プロペラシャフトへ変更されています。これにより275GTBの完成度はさらに高まりました。

 中でも特別な存在とされるのが、標準の3連キャブレターではなく6連キャブレターを装備した275GTB/6Cです。

オークションに出品され落札された1966年式フェラーリ「275GTB/6C」(c)2026 BROAD ARROW Auctions
オークションに出品され落札された1966年式フェラーリ「275GTB/6C」(c)2026 BROAD ARROW Auctions

 わずかな台数しか生産されなかったこの仕様は、より高い性能と希少性を備えた究極の27 GTBとして、現在でも熱心なコレクターの憧れとなっています。

 今回出品されたシャシナンバー08895は、その6キャブレター仕様を備えた後期型ロングノーズ275GTBであり、2カムモデルとしては最後から11番目に製造された貴重な個体です。

 ロングノーズの2カム車で6連キャブレターを装備するのはわずか73台のみとされ、本車はその中の1 台に数えられます。さらにフルレザー内装が組み合わされ、豪華さとスポーツ性を高次元で両立した仕様となっています。

 1966年8月に完成したこの車両は、アルジェント・メタリッツァートのボディカラーにネロレザー内装というエレガントな組み合わせで仕上げられ、イタリア・ヴェローナの正規ディーラーを通じて納車されました。初代オーナーはこのフェラーリでサーキット走行も楽しんでいたとされ、モデナのフェラーリ本社サービス部門で定期的に整備を受けながら、精力的に走らせていたことが記録からうかがえます。

 1967年にはフランス人がオーナーになり、ヨーロッパ各地を巡るグランドツアーの相棒として愛用されました。

 イタリア旅行中にタイヤバーストを起こし、マラネロ本社へ苦情を持ち込んだところ、エンツォ・フェラーリ本人が応対したという逸話も残されています。エンツォは「命が助かったのだから問題ない」と言い放ったとされ、フェラーリらしい豪放なエピソードとして語り継がれています。

 1980年代半ば以降は長期保管されていましたが、2000年に“バーンファインド”状態で発見され、その後スイスやイギリスのオーナーたちによって大切に維持されてきました。2009年にはフェラーリ・クラシケの「レッドブック」認証を取得し、マッチングナンバーのエンジンとオリジナル仕様が確認されています。

 そんな長い歴史と逸話のある1966年式フェラーリ「275GTB/6C」、236万7500ユーロ(1ユーロ=184.1円換算で、日本円で約4億3580万円)で落札されました。

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