水冷服・避難シェルター・飲める氷まで登場! 山善の“やりすぎ猛暑対策”が、もう笑えない理由
水冷服は“線で冷やす”から“面で冷やす”へ
山善の新商品群の中で、まず目を引いたのが新型水冷服「DIRECT COOL ProPLUS 水路式」だ。
従来の水冷服は、チューブの中に冷水を循環させ、そのチューブが当たる部分を冷やす仕組みだった。これに対し、新モデルは背中を面で冷却する「水路式構造」へと進化している。
開発担当者は、従来モデルについて「チューブの中に冷たい水を流して、このチューブで体を冷やすのが今までの水冷服でした」と説明したうえで、新モデルについて「冷たくなるポイントが増えるので、着ていただくと“面”で冷えているようなイメージになります」と語った。

実際に試着してみると、想像していたよりかなり冷たい。水冷服というと、どこか“じんわり涼しい”程度を想像していたが、背中に当たる冷感ははっきりしている。しかも背中だけでなく、脇や前側にも冷たさが伝わる。重さより先に、まず「冷たい」という感覚がくる。
もちろん、日常の通勤服として誰もがすぐ取り入れるものではない。
だが、屋外作業、真夏の外回り、長時間の屋外イベント、スポーツ観戦、キャンプなど、暑さにさらされる時間が長い人にとって、体を直接冷やす価値は大きい。暑さを我慢するのではなく、体のコンディションを保つためのギアとして見るべきだろう。

シェルターと“飲める氷”が示す、暑さ対策の広がり
山善の提案は、身につける冷却ギアだけでは終わらない。
「熱中対策シェルター」は、屋外に涼める避難スペースを作る発想の商品だ。屋外用は遮光・遮熱性の高いブラックコーティング生地を採用し、スポットクーラーによって空間全体を冷却する。移動式の簡易シェルターで、工具不要で設営・撤収できる点も現実的だ。
担当者は「もともと山善はレジャー用品を展開しており、そのノウハウとスポットエアコンを組み合わせた商品です」と説明していた。
発表会で印象的だったのは、シェルター単体で真夏の暑さをすべて解決するような説明ではなかったことだ。猛暑日にはスポットクーラーとの併用が必要だという。これはむしろ信頼できる。暑さ対策に必要なのは、魔法のような一発解決ではなく、リスクを下げるための組み合わせだからだ。

さらに、業務用ノンフロン冷凍庫「コールドマジック」も面白い。担当者は「冷凍・冷蔵に加えて、飲める氷が作れるモードがついています」と説明した。
ペットボトル飲料を入れておくと、シャーベット状の微細な氷を含んだ“飲める氷”を作ることができる。外から冷やすだけでなく、体の内側から冷やすというアプローチだ。
体を直接冷やす。休める場所を作る。飲み物で内側から冷やす。緊急時には、エマージェンシープールのように体表面を素早く冷却する備えもある。こう並べると、山善の猛暑対策はかなり“やりすぎ”に見える。だが、このやりすぎ感こそが、いまの日本の夏を映している。

なぜ、ここまでの猛暑対策が必要になったのか
一見すると、山善の新商品群は大げさに見えるかもしれない。だが、数字を見ると、その印象は変わる。
気象庁によると、日本の夏の平均気温は長期的に100年あたり1.38℃の割合で上昇している。さらに2025年夏の日本の平均気温は、1991〜2020年平均から+2.36℃となり、1898年の統計開始以降で最も高い値となった。つまり猛暑は、たまたま暑い年の話ではなく、暮らし方そのものを変える前提条件になりつつある。

健康被害も深刻だ。消防庁の集計では、2025年5月から9月の熱中症による救急搬送人員は10万510人。2008年の調査開始以降で最も多い搬送人員となった。暑さは、快適か不快かという問題を超え、体調管理そのものに直結している。
さらに職場では、2025年6月1日から熱中症対策の強化が施行されている。熱中症のおそれがある作業について、報告体制や手順の作成、関係作業者への周知が義務づけられ、その手順には作業からの離脱、体の冷却、医師の診察や処置、緊急連絡網や搬送先の確認なども含まれる。
山善の商品企画担当者も、発表会で「2025年は記録的な猛暑になりました。また、職場における熱中症対策の義務化により、世の中の関心が大きく高まっています」と説明した。
その結果、山善の猛暑対策関連商品は2025年度に前年比34%増と大きく伸びたという。
つまり、売上が伸びたから商品を増やした、という単純な話ではない。日本の夏が変わり、職場の制度が変わり、生活者の行動も変わらざるを得なくなっている。
その変化に対して、企業側も「暑さをどう乗り切るか」ではなく、「暑さにどう備えるか」を具体的な商品として提示し始めたということだ。

山善は猛暑対策を“点”ではなく“面”で捉えた
今回の山善の提案が面白いのは、水冷服やシェルターを個別に紹介しているだけではない点だ。猛暑対策を、現場全体の仕組みとして捉えている。
商品企画担当者は、山善の猛暑対策を4つのテーマに整理して説明した。ひとつ目は「作業者の体を冷やしたいなら」。ふたつ目は「作業空間を冷やしたいなら」。
3つ目は「休憩スペースを作るなら」。4つ目は「緊急時には」。つまり、体を冷やす、空間を冷やす、休める場所を作る、万が一に備える、という流れである。
これは、もともとは作業現場向けの提案だ。しかし、生活者にも十分に応用できる。家の中であれば、エアコンを使えばいい。だが、私たちは一日中、空調の効いた部屋にいるわけではない。通勤、外回り、買い物、子どもの送迎、フェス、スポーツ観戦、キャンプ。真夏の暮らしには、どうしても“エアコンの外”にいる時間がある。
山善の提案は、その時間をどう健康に乗り切るかという問いに対する、かなり具体的な答えでもある。

真夏を健康に過ごすための“ウェルネスギア”へ
もちろん、こうしたギアがあれば、どんな猛暑でも安心というわけではない。危険な暑さの日には、外出や作業そのものを見直す判断も必要だ。水冷服やシェルターは、暑さを無効化する道具ではない。体への負担を減らし、リスクを下げるための道具である。
ただし、これからの夏において、何も備えずに外へ出ることのリスクは確実に高まっている。家の中ではエアコンを正しく使える状態にする。外では体を冷やす。レジャーやイベントでは涼める場所を確保する。万が一に備え、素早く体を冷却する手段を用意する。
猛暑対策は、もう我慢比べではない。仕事も余暇もあきらめず、真夏を健康に過ごすための生活設計である。山善の水冷服やシェルターは、その変化をわかりやすく示す“夏のウェルネスギア”として、これからの暑さとの付き合い方を少し変えていくかもしれない。

●製品概要
DIRECT COOL ProPLUS 水路式 DC-SY2
価格:オープン価格
参考価格:本体=2万5980円前後、本体+ヘッドアタッチメントまたはネックアタッチメント=3万3980円前後
発売時期:2026年5月中旬
サイズ:フリーサイズ/S〜5L相当
重量:約845g
対応電源:5V 2.0〜2.4A対応モバイルバッテリー
主な特徴:従来のチューブ式から、背中を広い面で冷却する「水路式構造」へ進化した水冷服。背中の広い面積を効率よく冷やしながら、穴あき構造で通気性も確保。オプションで頭部や首を冷やすヘッドアタッチメント/ネックアタッチメントも用意する。
熱中対策シェルター 屋外用/屋内用
IDCS-120/IDCS-180、CNS-120/CNS-180
価格:オープン価格
発売時期:2026年展開予定
タイプ:屋外用/屋内用
サイズ展開:120サイズ/180サイズ
主な特徴:屋外や作業現場、イベント会場などに“涼しい避難スペース”を作る簡易シェルター。屋外用は遮光・遮熱性に優れたブラックコーティング生地を採用し、遮光率99.99%、UPF50+、遮熱性能S55ランクを備える。スポットクーラーと組み合わせることで、空間全体を効率よく冷却できる。工具不要で設営・撤収できる点も特徴。
エマージェンシープール EGP-17555
価格:オープン価格
発売時期:2026年展開予定
用途:熱中症発生時の緊急冷却用簡易プール
主な特徴:広げるだけで簡単に設置できる緊急用プール。約30秒で組み立てられ、水を入れて体表面を冷却できる。姿勢を崩しにくい状態で冷却できる設計で、本体側面には使用マニュアルを記載。熱中症の疑いがある人が出た際、現場で迅速に対応しやすい備えとして使える。
業務用ノンフロン冷凍庫 コールドマジック
ICF-FU90/CM-FU90
価格:オープン価格
発売時期:2026年展開予定
タイプ:業務用ノンフロン冷凍庫
主な機能:冷凍/冷蔵/アイススラリー〈飲める氷〉モード
主な特徴:ペットボトル飲料を入れておくだけで、シャーベット状の微細な氷を含む“飲める氷”を作れる業務用冷凍庫。暑熱対策として、体の外側からだけでなく“内側から冷やす”発想を取り入れた製品。「冷凍」「冷蔵」「アイススラリー〈飲める氷〉モード」の3機能を1台に搭載する。
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