10数年の間 忘れられ放置されていた“特別なフェラーリ”を発見 耐久レースにも参戦した「F40」コンペティション仕様の価値とは
フルレストアで蘇ったF40レース仕様
2026年4月にモナコで開催されたRMサザビーズのオークションに、1990年式フェラーリ「F40」のコンペティション仕様が出品され、大きな注目を集めました。
最終的な落札価格は318万3125ユーロ(1ユーロ=184.8円換算で約5億8820万円)に達し、事前予想の225万〜275万ユーロを大幅に上回る結果となっています。
フェラーリF40のコンペティションモデルは、1990年代GTレース黄金期を象徴する存在です。
「F40 LM」や「GTE」などの派生モデルは、もともと強烈な性能を持っていたF40をさらに進化させ、国際GTレースで戦うために生み出されました。マクラーレン「F1 GTRや」ポルシェ「993 GT2」といった名車たちとともに、BPRグローバルGTシリーズなどで激戦を繰り広げたことで知られています。
こうしたレース仕様開発を主導したのが、フェラーリと深い関係を持つジュリアーノ・ミケロット率いるエンジニアリングチームでした。

初期のLMモデル19台はフェラーリ純正シャシをベースに製作されましたが、その後はプライベーターによる独自仕様も登場。今回出品されたシャシ84326も、その流れを汲む特別な1台です。
この車両は1990年にドイツで登録され、当初はロードカーとして使用されていました。しかし1994年、ハーマン・モータースポーツによって本格的なレース仕様へと改造されます。
開発にはザウバーF1チーム創設者のペーター・ザウバーも関与したとされ、強化ツインターボによって最大700馬力級まで性能を引き上げられました。外観やシャシ、足まわりにも大規模な変更が加えられ、完全にサーキット向けのマシンへと変貌しています。
1996年にはBPRシリーズへ参戦したものの、資金面や信頼性の課題もあり、大きな戦績は残せませんでした。その後イギリスへ渡った車両は長期間納屋に放置され、2012年に再発見されるまで忘れられた存在となっていました。
再生を担当したのはフェラーリ専門工房モト・テクニークです。車両は深刻な状態にあり、燃料系や電装系、サスペンションなど広範囲にわたる修復が必要でした。
そのため単なる整備ではなく、事実上のフルレストアが実施されます。ミケロットから供給された部品や最新技術を取り入れながら徹底的な再構築が行われ、カーボンケブラー製ボディも新たに製作。エンジンも完全オーバーホールされ、現代的な制御システムによって550〜720馬力まで調整可能な仕様へ進化しました。
完成した車両は当時の迫力を色濃く残しつつ、現代的な信頼性も獲得。レストア後は専門誌の表紙を飾るなど高い評価を受け、F40 LMの精神を現代へ伝える存在として再び脚光を浴びています。
1990年代GTレースの熱狂を象徴するこの特別なF40は、コレクター市場でも極めて高い価値を持つ1台といえるでしょう。
VAGUEからのオススメ
“時を愉しむ”という究極の贅沢――カンパノラ「星響」と巡る、足利・静寂とウェルネスの旅【PR】