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旅好きと作品好き、どっちにも刺さる! 風情ある“レトロな街並み”が美しい 文豪が愛し名作の舞台にもなった雰囲気抜群の「温泉地」3選

歴史と文学が交差する日本の名湯3選

 日本全国に有名な温泉地は数多く存在しますが、そのなかでも作家が長期滞在し、名作の舞台となった温泉地は特別な存在として知られています。

 今回は、文学作品の背景となった歴史ある温泉地を3か所取り上げます。

●兵庫県「城崎温泉」

 まず紹介するのは、兵庫県の「城崎温泉」です。

 城崎温泉は開湯から1300年という非常に長い歴史を持ち、平安時代から多くの歌に詠まれ、文人墨客に親しまれてきました。

兵庫県「城崎温泉」
兵庫県「城崎温泉」

 そして、この地を世に広く知らしめた作品として、志賀直哉の短編小説『城の崎にて』が挙げられます。

 志賀直哉は、山手線の電車にはねられて負傷した後の療養のために、1913年に城崎を訪れ、老舗旅館である「三木屋」に滞在しました。

 滞在中に目にした蜂やネズミ、イモリといった生き物たちの死と自らの生を照らし合わせた経験が、繊細な筆致で綴られています。

 現在の城崎温泉においても、志賀直哉が歩いたとされる大谿川沿いの柳並木や石造りの太鼓橋は、当時の風情を留めています。

 また、町内には志賀直哉の自筆による文学碑が設置されているほか、「城崎文芸館」では彼と白樺派の作家たちの資料が展示されています。

 城崎温泉には「町全体がひとつの大きな宿」という考え方が根付いており、駅を玄関、道を廊下、外湯を大浴場に見立てて宿泊客を迎え入れる文化があります。

 志賀直哉が好んだ外湯巡りの文化は現在も継承されており、7つの外湯を浴衣と下駄で歩く光景は、この地を象徴する日常となっています。

●新潟県「越後湯沢温泉」

 続いて紹介するのは、新潟県の「越後湯沢温泉」です。

 越後湯沢温泉は、ノーベル賞作家である川端康成の名作『雪国』の舞台として知られています。

新潟県「越後湯沢温泉」
新潟県「越後湯沢温泉」

 川端康成は1934年の晩秋から1937年にかけて、越後湯沢にある宿「高半」に何度も滞在し、この作品を書き上げました。

 冒頭の「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という一節は、当時の清水トンネルを抜けて上越地方に入った際の情景を描写したものです。

 彼が実際に執筆に使用した客室である「かすみの間」は、現在も当時の姿のまま保存されており、資料室として宿泊者向けに一般公開されています。

 また、室内には、川端康成ゆかりの遺品や当時の写真が展示されており、島村と芸者駒子の物語が紡がれた空間を直接確認できます。

 さらに、宿のシアターでは映画版の『雪国』が定期的に上映されるなど、作品の世界観を多角的に体感できる環境が整っています。

 越後湯沢温泉はアルカリ性の単純硫黄泉を主としており、川端康成も執筆の合間にこれらの湯に浸かり、雪国の厳しい寒さと静寂の中で着想を練ったとされています。

Next最後は夏目漱石の代表作『坊っちゃん』の舞台となった温泉地
Gallery 【画像】あの名作の世界に浸れちゃう! 3選で紹介した温泉地を写真で見る(21枚)

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