屋根も窓もないメルセデス・ベンツ!? 17年前に登場した限定75台の「SLRマクラーレン・スターリング・モス」の驚くべき落札予想価格とは
世界限定75台の特別なスーパーカーは「ワンオーナー車」
屋根もなければ、フロントウインドウもない。そんな常識破りのメルセデス・ベンツが、2026年11月7日にスイス・チューリッヒで開催されるブロードアロー・オークション主催ののオークションに登場します。
それが2009年式の「SLRマクラーレン・スターリング・モス」です。
落札予想価格は250万〜300万スイスフラン、日本円にして約4億8000万〜5億8000万円。なぜ、これほど高額な価格が付けられているのでしょうか。

SLRマクラーレンは、メルセデス・ベンツとマクラーレンが共同開発したスーパーカーです。その最終章を飾る特別モデルとして2009年に登場したのが、スターリング・モスでした。
名前の由来は、英国の伝説的レーシングドライバー、“サー”スターリング・モス氏です。彼は1955年の公道レース「ミッレミリア」で、メルセデス・ベンツ「300SLR」を駆り、コ・ドライバーのデニス・ジェンキンソンとともに優勝。約1600kmのコースを平均速度約157km/hで走り切るという、現在まで語り継がれる記録を打ち立てました。
この伝説的な勝利へのオマージュとして誕生したスターリング・モスは、なんと世界限定75台。しかも、購入できたのは既存のSLRマクラーレンのオーナーに限られていました。
最大の特徴は、ルーフだけでなくフロントウインドウまで取り払ったスピードスターのスタイルです。一般的なオープンカーとは異なり、風を直接受けながら走ることを前提とした、極めて特別なモデルといえます。
搭載するのは、5.4リッターV型8気筒スーパーチャージャー付きエンジン。最高出力は641馬力で、0-100km/h加速は3.5秒、最高速度は354km/hに達します。カーボンファイバー製ボディパネルなどを採用し、通常のSLRマクラーレンから約200kgの軽量化も実現しました。
今回出品されるのは、車台番号15番の個体です。新車時から同じオーナーが所有しており、走行距離は1万3410km。さらに、車名の由来となったミッレミリアにちなみ、同イベントに3回参加したという興味深い経歴も持っています。
では、約5億円という予想価格は妥当なのでしょうか。
2026年1月にRMサザビーズがパリで開催したオークションでは、2009年式のスターリング・モスが307万625ユーロ(約5億5000万円)で落札されました。2024年にも、RMサザビーズで335万5000ユーロ(約6億円)、ボナムズで322万ユーロ(約5億8000万円)という落札例があります。
つまり、今回の予想価格は過去の取引実績と比べても、決して突飛な水準ではありません。
75台という希少性に加え、スターリング・モスの伝説的なレースと結びついた歴史、そして屋根もフロントウインドウも持たない特異なスタイル。現代のスーパーカーにはない、ドライバーが風や速度を直接感じるための機械としての魅力も、コレクターを引きつける理由でしょう。
単に高性能なメルセデス・ベンツというだけではなく、モータースポーツの歴史を現代に伝えるコレクターズカー。今回のオークションでも、その希少性がどこまで評価されるのか注目されます。
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