旧車は壊れるほどに愛おしい! 映画『ドライブ・マイ・カー』の車好きがキュンとくるシーンとは?【W124日誌】
W124が入院の時は映画を観て愛車を想う
映画『ドライブ・マイ・カー』を観た。クルマが“主役”となる小説としては、ちょっと前なら五木寛之氏の『雨の日には車をみがいて』があり、こんなカーライフを送ることができたら素晴らしいのにな、とマニアなら必ず憧れる素敵なクルマ(と女性)たちが登場してくる。そして、『ドライブ・マイ・カー』はあの村上春樹氏が書いた短編集『女のいない男たち』の中のひとつということで、話題になる少し前に読み終えていた。

主人公が乗るのは、1980年代に製造されたスウェーデンのSAAB(サーブ)「900」で、原作に登場したのはイエローのカブリオレだったのが、映画では赤の2ドアターボ・サンルーフ付きに変更されていた。短かった小説が、3時間もの長編映画として制作されたのは他に収められていた短編のファクトを上手に盛り込んでいるからで、見始めてみるとその長さは気にならず、あっという間にエンドロールを迎えることに。
●古いクルマ好きにオススメの映画です
筆者のW124より少し前にデビューした900の状態はとても良さそうで、重々しく回る2.0リッターターボのエンジン音や、ドアを開閉する際のギィギィ音(124も同じ)、リアハッチを持ち上げる時の重さ(こちらは今の124の前に乗っていた、ステーションワゴン版のS124と同じ感じ)などがそのまま再現されていて、当時のクルマに今も乗り続けているドライバーにとってはとても共感できるものになっていた。
そして少しだけ映画に触れると、「私あのクルマが好きです。とても大事にされているのがわかるので」のシーンには、ひとりの古いクルマ好きとしてウルッときた。乗り込むときに、ちょっと手前でドアの動きを一瞬止めてから閉めるやり方も、わかる人にはわかる所作で、いい。
ちなみにクルマが登場する映画としては、古いものではクロード・ルルーシュの『男と女』(オリジナルでは「マスタング」、2019年版ではアルピーヌ「110」や「2CV」が登場する)、ピーター・イェーツの『ブリット』(マスタングと「ダッジ・チャージャー」、イエローのポルシェ「356カブリオレ」)、スピルバーグの『激突』(プリムス・ヴァリアントとタンクローリー)、ロバート・ゼメキスの『バック・トゥー・ザ・フューチャー』(デロリアン「DMC−12」)、最近のものではイーストウッドの『グラン・トリノ』(フォード「グラントリノ」とホンダ)、スウェーデンの『幸せなひとりぼっち』(各年代のサーブとボルボ)など大好きなものが多いけれども、いずれも登場するクルマたちが的確に描かれているので、映画に違和感なくのめり込むことができるのだ。
『ドライブ・マイ・カー』が海外でも評価され、アカデミーをはじめとして数々の受賞をしたのは、邦画としては珍しくその描写がしっかりできているからではないかと思っている。
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