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時計の心臓部「ムーブメント」を自社で作れる「グランドセイコー」が“唯一無二”って知ってた?

ハイレベルなクオーツ式から独自ムーブメントも開発

 クオーツ式ムーブメントも、もちろん自社製だ。クオーツ式ムーブメントは、電気を通すと振動する水晶の特性を利用し、3万2768振動を1秒としてIC回路で解析し、適切なタイミングでモーターを動かして正確な時を刻むというもの。クオーツ式ムーブメントは1969年にセイコーが世界で初めて腕時計に搭載した技術で、現在は安価な時計にも採用されるが、グランドセイコーに搭載されるクオーツ式ムーブメント「キャリバー9F」はレベルが違う。

 まずは水晶振動子だが、振動数を安定させるために、カットした水晶をエイジングしてから検査し、品質の高いものだけを選んでいる。しかも温度によって振動数が変化するという水晶の特性を考慮し、振動子ひとつひとつの温度特性を調べてICに書き込み、さらに使用時にはムーブメント内のセンサーで温度を測りながらその都度ズレを補正し、一年を通じての誤差(平均年差)を±10秒に抑えているのだ。

 また小さな電池で長時間駆動させるために、モーターのトルクは極小にしているが、それでも大きなカレンダーを機械式時計のように瞬間的に切り替え、大きくて見栄えのよい時分針をしっかり動かすなど、高級時計に求められる感性的魅力もしっかりと引き出している。

これがスプリングドライブ式ムーブメントの機構図。ゼンマイを動力源とし、歯車を回転させる点は機械式ムーブメントと同じ。しかしその回転速度をコントロールするのは、クオーツ回路が担当。アナログとデジタルのハイブリッド・メカニズムだ。
これがスプリングドライブ式ムーブメントの機構図。ゼンマイを動力源とし、歯車を回転させる点は機械式ムーブメントと同じ。しかしその回転速度をコントロールするのは、クオーツ回路が担当。アナログとデジタルのハイブリッド・メカニズムだ。

●圧倒的な技術力の高さが世界的にも唯一無二の存在感を放つ

 そしてスプリングドライブ式ムーブメントは、世界を驚かせたセイコーの独自技術。これは機械式ムーブメントとクオーツ式ムーブメントの技術を融合させたハイブリッドタイプのメカニズムを持ち、20年以上の研究開発期間を経て、2004年にグランドセイコーでの実用化に成功した。駆動系統は機械式ムーブメントと同様で、巻き上げたゼンマイがほどける回転運動で歯車を回していく。そしてゼンマイがほどける際に発電を行い、その電気で水晶振動子とIC回路を動かして、歯車の回転に適切にブレーキをかけることで、正確に時を刻むのだ。

 これなら電池のような外部要因に頼ることなく、それでいて機械式以上の高精度(平均日差±0.5秒)を実現できる。これは機械式とクオーツ式の両方のノウハウを積み重ねてきたセイコーだからこそ可能になった技術である。スプリングドライブ式ムーブメント「キャリバー9R」にも豊富なバリエーションがあり、手巻き式、自動巻き式、8日間のロングパワーリザーブやGMT、そして機械式にはないクロノグラフも用意される。

 グランドセイコーでは、機械式9種、クオーツ式4種、スプリングドライブ式11種と、駆動方法の異なるムーブメントを合計24種もラインナップしており、さらにはそれとは別に、コンスタントフォース・トゥールビヨンなどのハイコンプリケーションムーブメントも製作している脅威のムーブメントメーカーだ。

 その圧倒的な技術力が、商品開発やデザインに自由度を与え、グランドセイコーの魅力を高める源泉となっているのである。

Gallery 【画像】長野県・諏訪で作られる「グランドセイコー」の心臓部を画像で見る(6枚)
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篠田哲生
篠田哲生
時計ジャーナリスト
1975年生まれ。講談社「ホットドッグ プレス」編集部を経て独立。時計専門誌、ファッション誌、ビジネス誌、新聞、ウェブなど、幅広い媒体で硬軟織り交ぜた時計記事を執筆。スイスやドイツでの時計工房などの取材経験も豊富。著書に『成功者はなぜウブロの時計に惹かれるのか。』(幻冬舎)、『教養としての腕時計選び』(光文社新書)がある。

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