市販タイヤへの技術のフィードバックにつながるモータースポーツ参戦
ウエットタイヤについても、同じく辛抱強い開発作業が続きました。
「冷たい路面でのグリップ確保には、素材や設計でトレッドを柔らかくし、ゴムの発熱を促すことが早道です。しかしそれではドライ路面で過熱が進み、トレッドゴムの損傷につながります。そこでまず必要なウエット性能と最低限のドライ路面での耐久性でバランスをとったあと、ドライタイヤと同様の手法で性能のアップを図りました」(光延氏)
「2020年から今日に至るまで、この繰り返しをずっと続けてきて、実戦用のタイヤの性能は大きく向上しました。そしてその開発の過程で得た素材や構造、設計などの知見も、大きな財産になっています。そしてその知見は市販商品の開発にも採り入れられ、性能向上に貢献しています」(富高氏)
もちろん、こうした改良の積み重ねは、富高氏、光延氏のチームだけでできるわけではありません。
「タイヤの性能を支える技術は、材料、工程、設計などさまざまです。私たちは設計にたずさわっていますが、こうした素材がほしい、この素材をこう改良できないかといったリクエストは、材料の担当部署に相談します。ただそのとき『こんなのがほしい』というリクエストだけではなく、『タイヤのここをこうしたい。もしこんな特性の素材があれば、それが可能になると思うんですが』といった、更に具体的なリクエストを心掛けました。そうした問いかけで『こういうアイデアもある』といった、より専門的な知識に裏付けされた答えが導き出されます。ただそのためには、私たち自身が材料なら材料、工程なら工程の知識を深く学ぶことが不可欠です。実際、このプロジェクトがはじまってから、ふたりとも勉強漬けになりました」(富高氏)
こうした彼らの努力で、着実にタイヤの性能は向上。参戦3年目の2022年にはクラス優勝を飾る成果にもつながりました。
最後に、来たる来シーズンへの意気込み、そして将来についてうかがいました。
「2023年シーズンは参戦台数の増加や強豪チームの参入など、私たちチームにとって厳しいシーズンとなり、クラス優勝もお預けとなりました。最終ラップで首位を明け渡すレースなど、タイヤがもうひと踏ん張りしていたら・・・と思えるレースも多くありました。来シーズンはさらに改良を進め、つねにクラス優勝を争える性能を目指したいと思います」(光延氏)
「最終ラップでの逆転は、いまでも悔しい思い出としてフラッシュバックします。ただライバルが長い参戦期間の積み重ねの上にタイヤを改良していることを考えると、わずか3年で表彰台に上がるところまでというのは、ある意味、十分な手応えだったと思います。来シーズン、私たちはタイヤとしてできることに全力を尽くしていきたいと思います。そしてこのGT4クラスで基礎技術を固め、将来的には現在のクラスにとどまることなく、さらに上のクラスへのステップアップを目指したいと思います。そうした取り組みが、当初目的であるブランド認知の向上、そして市販タイヤへの技術のフィードバックにつながると確信していますから」(富高氏)
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