第2世代e-POWERがもたらす滑らかな加速と自然なハンドリング
さてさて、肝心のドライビングフィールはどうだったか。いや、悪いわけがないでしょう。これまでもe-POWERは何度となく体験してきましたが、僕はこれがハイブリッドカーのひとつの最適解だと考えています。ガソリンエンジンで電気を作って蓄電しながら、モーターのみで走行する。バッテリーEVのように充電のことを気にする必要はないのに、バッテリーEVと同じように発進の領域からずっと力強く滑らかな走りを、それも静かな空間の中で味わえるわけです。
モーターで駆動するクルマはおしなべて走りの質感が高いというか、高級感があるというか、そういうフィールを覚えさせてくれるものなのですが、このセレナも──というかe-POWERすべてがそうなのですが──例外にあらず。巡航時の絹のように滑らかなフィールと、元気よく加速したいときの、内燃エンジンでは味わえない速度の積み上げ方などは、一度味わってしまうと癖になる気持ちよさです。
いわば自家発電車両なので走行中に1.4リッター3気筒エンジンを始動させて蓄電を開始することがあるわけですが、そのときも気づいたらエンジンがかかっていたという感じで、始動時に音や振動が露骨に伝わってくるようなことはありませんでした。
アクセルペダルの操作だけで加減速をコントロールできるe-Pedal Stepも、回生で減速していくときのフィールが自然に感じられます。総じて、実に良くできているのです。なお、完全停止する際にはブレーキペダルを踏む必要があります。
先述のとおりLUXIONは前輪駆動なので、e-4ORCEと同じパフォーマンス──つまり高い安心感、トレース性の高いハンドリング、頭の揺れを抑えるフラット感といったもの──こそありませんが、代わりにe-4ORCEとは異なる種類の軽快で楽しいハンドリングがありました。
ステアリングを切り込んで曲がり始めると、当然ながら車体はロールしていくわけですが、そのときの前後のロールバランスがとても良好で、背の高いこの手のクルマにありがちなグラつき感のようなものもありません。とても自然に、気持ちよく曲がってくれるのです。セレナってこんなによく曲がったっけ? と感じたほど。スポーツカーではないので激しいコーナリングを試すようなことはしませんでしたが、日常領域+アルファぐらいの範疇(はんちゅう)では、望外に楽しく走れてしまいました、ミニバンなのに!
週末のお父さんやお母さんはただの運転手になってしまうようなイメージがありますが、e-POWERのセレナなら、極めて滑らかな走りと気持ちのいいハンドリングのおかげで、まったく違った心持ちを抱きながらクルマを走らせられるでしょう。走らせて楽しいクルマであればあるほど、退屈とはかけ離れていくものなのですから。
ハンズオフ可能な「プロパイロット2.0」も装備
乗り心地も基本的には良好です。ほかのグレードは通常のプロパイロットであるところ、LUXIONにはハンズオフも可能なプロパイロット2.0が採用されていたり、3Dビュー機能付きのアラウンドビューモニターやリモートパーキングが備わっていたりと、運転支援システムも日産の最新にして最高峰のものが用意されています。1台のクルマとして、かなり充実しているのです! ほかに必要なもの、あったっけ? 欲しい装備や機能、あったっけ……? なんて考えてしまったほど。
僕はひとり者なので、これまで自分のクルマとしてミニバンが欲しいと感じたことはありません。自分の愛車は常に趣味のクルマというべき部類です。が、住環境を変えて育った地元に戻り2年。それこそ悪ガキ時代からずっとつきあってきた仲間たちと乗り合わせて、遊びに出かける機会がたっぷりと増えました。そんなときにこのクルマがあったら……? こんなふうに使って心地よいギアがあったら……?
もしミニバンを買うことがあるとしたら、あるいは仲間がミニバンを買うと言いだしたら、今、頭の中に浮かぶ筆頭となるモデルは間違いなくセレナe-POWER、それもLUXIONになるでしょう。
[Text:嶋田智之 Photo:小林岳夫]
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