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ポルシェと腕時計が融合した「オールブラックウォッチの元祖」!? 機械式クロノグラフの名機が復刻、その魅力とは?

●スポーツカーと時計、ふたつのレジェンドが融合!

 クルマ好きの皆さんには改めて説明するまでもないが、ドイツのスポーツカー「ポルシェ911」は自動車史に残る伝説的名車。

 しかも、1963年にフランクフルトモーターショーでの発表から60年以上が経過した今もそのDNAは受け継がれて進化を続け、新たな伝説を作り続けている稀有な存在だ。

 このクルマをデザインしたのは天才自動車技術者フェルディナンド・ボルシェ(1875〜1951)の孫で、その息子でやはり優れた自動車技術者であり自動車メーカー「ポルシェ」を創業したフェリー・ポルシェ(1909〜1998)の息子、フェルディナンド・アレクサンダー・ポルシェ(F.A.ポルシェ 1935〜2012)である。

F.A.ポルシェの足跡を知りたい方は公式サイトを
F.A.ポルシェの足跡を知りたい方は公式サイトを

 そしてF.A.ポルシェは20世紀を代表するインダストリアルデザイナーのひとり。1972年にポルシェを離れてデザイン会社「ポルシェ・デザイン」を設立。

 自動車以外にもモーターサイクルや公共交通機関、サングラス、カメラ、時計などさまざまな工業製品で傑作デザインを残し、名車911と同様にそのDNAは受け継がれて発展を続けている。

 筆者は幸運なことに引退前の1999年、オーストリアのツェル・アム・ゼーのポルシェ・デザイン本社を訪れて、F.A.ボルシェその人に直接インタビューしたことがある。

 伝説の偉人で気難しいと聞かされていたが、実に優しい方で感激した。

 そしてF.A.ポルシェが独立後に最初にデザインし、時計界に衝撃を与えた伝説的な機械式クロノグラフが「クロノグラフ 1(ワン)」。

 航空機やスポーツカーの計器のデザイン文法を大胆に取り入れ、ケースとブレスレットと文字盤のベースカラーをツヤ消しのブラックに統一。

 その中からツヤ消しのホワイトの針や、インデックスが鮮明に浮かび上がる視認性抜群のデザインは、時計業界に大きな衝撃を与えた。

 そしてこのクロノグラフは、ひとりのデザイナーによる自動車と時計という2つの世界の伝説が融合した唯一無二の存在であり、年月を重ねるごとに評価が高まり、現在では「オールブラックウォッチの元祖」という称号も得ている傑作だ。

 そして時計愛好家の間では、自動巻きクロノグラフ・ムーブメントの傑作「ヴァルジュー7750」を最初期に搭載したモデルとしても知られている。

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渋谷ヤスヒト
渋谷ヤスヒト
時計&モノジャーナリスト、編集者
1962年生まれ。文芸編集者を経て、モノ情報誌や時計専門誌の副編集長を務めた後、時計ジャーナリストとして独立。現在はライター、フリー編集者として多方面で活動。特筆すべきは1995年から一度も欠かすことなく続けているスイスの時計フェアや世界各国のブランド取材。30年以上のキャリアに裏打ちされた業界VIPとの信頼関係を活かし、業界全体を俯瞰した独自の記事を執筆する。また時計に留まらず、モノ情報誌の編集者時代のネットワークと知識でIT機器、自動車、家電、食品など、「モノ作り」の現場を幅広く網羅。完成品から下請け企業まで一貫して追いかけ、「人が本当に幸福になれるモノとは何か」を探求し発信中。

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