2024年「時計界のアカデミー賞」で国内注目ブランドも受賞! カギとなるのは「ローテク」!? 時計界の未来はどうなる?
●2024年の受賞作20本がついに発表!
時計界で唯一無二のアワードといえば、2001年に始まり今や“時計界のアカデミー賞”とも呼ばれる「ジュネーブ・ウォッチ・グランプリ」略称GPHG。最高賞である「金の針賞」を筆頭に、さまざまなジャンルの賞が設けられている。目的は時計業界と時計文化の振興にある。
そしてビッグブランドからマイクロメゾン(小規模の時計ブランド)、個人で時計作りをする独立時計師までさまざまな規模の時計メーカーが毎年春、過去1年間の間に発売したモデルの中から「これぞ!」というモデルをエントリー。
また「GPHGアカデミー会員」と呼ばれる世界中のメーカー関係者、販売店、コレクター、エンジニア、ジャーナリストなど、GPHG委員会から指名されたメンバーも、自身が「これは!」と思う時計を推薦した。

そして委員会の選考による各賞へのノミネート作品発表、世界数か所でのノミネート作品の巡回展示、GPHGアカデミー会員による投票を経て、11月にジュネーブでグランプリ各賞が発表される。過去には日本の時計もノミネートされ、「グランドセイコー」も幾度か賞に輝いている。
今年は146ブランドがエントリーし、合計273点の時計のうち 90点が審査対象としてノミネートされた。
そして980名のGPHGアカデミー会員が10月末に最終投票を行って、去る11月13日に、世界中から集まった時計関係者の前でジュネーブのオペラハウスで授賞式が大々的に開催され、年間No.1の「金の針賞」を筆頭に全部で20ジャンル、20本の受賞作が受賞メーカーのスピーチと共に、そして時計業界と時計文化の発展に寄与した人物を表彰する「Special Jury賞」が発表された。
筆者も今年からGPHGアカデミー会員に指名されたのでネットで投票を行いその結果を待っていたところだ。
まずは、今回発表された20の賞とはどんなものかご紹介しておこう。
・最高位 金の針賞(AIGUILLE D’OR Grand Prix)
・メンズウォッチ賞
・メンズ コンプリケーション ウォッチ賞
・レディースウォッチ賞
・レディース コンプリケーション ウォッチ賞
・タイムオンリー部門賞
・アイコニック ウォッチ賞
・トゥールビヨン賞
・カレンダー&アストロノミー ウォッチ賞
・MECHANICAL EXEPTION 賞
・クロノグラフ賞
・スポーツウォッチ賞
・ジュエリーウォッチ賞
・Artistic Crafts Watch 賞
・小さな針賞 “Petite Aiguille” Watch
・チャレンジ ウォッチ賞
・エコ イノベーション賞
・Audacity賞
・“Horological Revelation” 賞
・クロノメトリー賞
●金の針賞(AIGUILLE D’OR Grand Prix)はIWC
今年のGPHGの最高賞、つまり2024年の時計No.1に輝いたのは、4月にジュネーブで開催された世界最大の時計フェア「ウォッチズ・アンド・ワンダーズ ジュネーブ(WWG)2024」で発表された、セキュラーカレンダー機構を搭載したIWCのコンプリケーションモデル「ポルトギーゼ・エターナル・カレンダー」Ref.IW505701だ。

これは至極順当なところだろう。現在使われているグレゴリオ暦の「うるう年」のルール。ふつうのパーペチュアル(永久)カレンダーモデルは、100年単位のルールに対応しているが、このモデルはわずか8個のパーツを追加するというスマートなメカニズムで、400年単位の特別ルール「100で割り切れる年は平年、400で割り切れる年は閏年とする」というルールにも対応した。つまり400年間は修正不要なのだ。
しかも、12時位置にあるIWC独自・北半球と南半球の両方の月相を表示するダブル・ムーンフェイズは「約4500万年に1日しか誤差が生じない」という、まさに天文学的な超高精度を実現している。
セキュラーカレンダー自体はすでに実現されたメカニズムだが、名作「ポルトギーゼ・パーペチュアルカレンダー」の進化版であり、大賞にふさわしい。
●その他の賞も妥当な結果
テンプに直接衝撃を与えるふたつの脱進機ホイールを備える革新的な構造で、スイスレバー脱進機よりも高いエネルギー効率を実現させたブティ・ライネン「KV20i Reversed」。
ひとつのキャリバーで永久カレンダー、球面ムーンフェイズ表示、逆行する月齢と閏年、ブルーチタンの超軽量トゥールビヨン、ジャンピングセコンド、パワーリザーブ、および時と分の二重表示という8つの複雑機構を実現したドゥ・ベトゥーンの「DB Kind Of Grande Complication」。この2モデルの、メンズウォッチ賞のメンズ コンプリケーション ウォッチ賞受賞は妥当なところだろう。
蝶がマザー・オブ・パールダイアル上でファンタジックに花々のあいだを優雅に遊び飛ぶメカニカル・アニメーション機構を搭載したレディース コンプリケーション ウォッチ賞の「レディ アーペル ブリーズ デテ ウォッチ」を筆頭に、レディス部門2つとArtistic Crafts Watch 賞と、ヴァン クリーフ&アーペルが3つの賞を受賞したこと。

ショパールがジュエリーウォッチ賞、エコイノベーション賞の2賞を受賞したこと。復活したダニエル・ロートがトゥールビヨン賞を、ピアジェがアイコニックウォッチ賞を受賞したことも妥当なところだろう。
時計業界に貢献したレジェンドを表彰する「Special Jury賞」が、フランク ミュラーの「トノウ カーベックス」を筆頭に、数々の傑作ケースを創造した伝説のケースメーカー職人であるピエール・ハグマン氏に贈られたのも、至極妥当なところだ。
また、惜しくも受賞できなかったノミネートモデルもどれも魅力的で、興味のある方は英語かフランス語だかGPHGの公式サイトをチェックしてほしい。
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