なぜ存在感が薄れた!? 開業当時の時速は新幹線超えの431キロ かつて世界最速を誇った「上海リニアモーターカー」の“今”
実際に乗ってわかった「上海トランスラピッド」のいま
中国・上海を走るリニアモーターカー、「上海トランスラピッド」は、中国の経済発展の象徴として、2003年1月の開業以来多くの注目を集めてきました。

上海トランスラピッドの最大の特徴は、世界でもめずらしい超高速磁気浮上式リニア(マグレブ)であるという点です。
その最高速は、商業運行列車としては世界最速となる431km/hを記録し、上海浦東国際空港と龍陽路駅間の約30kmをわずか7分あまりで結びます。
しかし、開業から20年以上が経過したいま、上海トランスラピッドに実際に乗車してみると、かつてのような輝きを感じることはできません。
当時は近未来的であったその車体は、いまではやや古さが感じられます。また、座席やICカードもそれなりに年季が入っています。
さらに、現在では最高速度も300km/hに制限されており、「世界最速」の称号も返上しています。
上海トランスラピッドの存在感が薄れつつある要因のひとつが、片道50元(約1000円)という料金の高さです。
地下鉄を利用すればわずか10元(約200円)程度で上海の中心部までアクセスできることを考えると、この料金はやや割高です。

また、上海トランスラピッドの行き先である龍陽路駅が、上海市の中心部や人気の観光地から離れていることもしばしば指摘されます。
上海トランスラピッドを利用して上海の中心部まで行くには、龍陽路駅から地下鉄やタクシーに乗り換える必要があります。
ただ、そうすると上海浦東国際空港から直接地下鉄やタクシーを利用した場合と比べて、所要時間はほとんど変わりません。
上海ではタクシーの料金も割安であるため、効率重視の場合はタクシーを、コスト重視の場合は地下鉄を利用するほうが合理的です。
その結果、上海トランスラピッドは中途半端な存在となってしまっているのが実情です。
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