VAGUE(ヴァーグ)

落札価格は5億7000万円! オークションに登場した70年前の「フェラーリ」地味に見えて高値で落札された理由とは?

最終落札価格は377万2500米ドル

 2025年1月に米国アリゾナ州で開催されたRBサザビーズのオークションで、1958年型のフェラーリ 250GT LWBベルリネッタ「ツールドフランス」が高値で落札されました。

オークションで高値で落札された1958年製フェラーリ「250GT LWB ベルリネッタ“ツールドフランス”by スカリエッティ」Robin Adams(c)2023 Courtesy of RM Sotheby's
オークションで高値で落札された1958年製フェラーリ「250GT LWB ベルリネッタ“ツールドフランス”by スカリエッティ」Robin Adams(c)2023 Courtesy of RM Sotheby's

 フェラーリの250GT LWB 「ツールドフランス」レーシング ベルリネッタは、1956年に250GTのロードカーをベースに開発されたレースカーです。

 3リッターのV12エンジンにウェーバー製3連キャブレターを備え、スカリエッティが手がけた軽量アルミニウム製のボディが特徴的で、アクリル製ウインドウの採用や不要なパーツを外して軽量化し、並外れたパワーウエイトレシオで、当時のレース界で活躍していたジャガー「XK」やメルセデス・ベンツ「300SL」といったライバルに挑みました。

 1956年4月、デビュー戦のジーロ・デ・シシリアでクラス優勝を果たし、同年末には3600マイル(約5760km)の過酷なツール・ド・フランスで総合優勝を果たしました。

 エンツォ・フェラーリ氏はそのパフォーマンスに感激し、この250GT LWBベルリネッタを「ツールドフランス」または単に「TdF(Le Tour de France=ツールドフランスの略) 」と名づけました。

 しかし、レース用に作られた77台のTdFの多くはダメージを受けており、現存するTdF自体が少なくなっています。

 今回オークションに登場した1958年型フェラーリ250GT LWBベルリネッタTdFは、この希少なモデルの中でもっとも素晴らしいコンディションの1台です。

 シャシナンバー「0933GT」は、1958年6月17日にトリノ在住のジェントルマンドライバー、カジミロ・ミロ・トセッリに新車で売却されました。このクルマは、彼が1957年から1960年まで競技に参加した3台のTdFのうちの1台として記録されています。

 0933GTは、ロッソボルドー(ボルドーレッド)のレザー張りにオロキアロ(ライトゴールド)というオリジナルのカラーコンビネーションで仕上げられた唯一のTdFです。

 トセッリは、この0933GTで多くのレースに参戦して勝利しました。その後、ベネズエラに売却され、彼の地のレースでも活躍しました。

 1961年初頭にベネズエラからフランスに渡り、紆余曲折を経て1966年10月に著名なフェラーリ コレクターであるピエール・バルディノン氏が手に入れ、彼のプライベートミュージアムに合わせてボディカラーをロッソ(赤)に仕上げ直しました。

 1975年から1977年にかけては、モエ・エ・シャンドンで有名なフレデリック・シャンドン・ド・ブリアイユ伯爵が一時的に所有していましたが、バルディノンが買い戻し、さらに6年間、彼のコレクションに保管されました。

※ ※ ※

 この0933GT、唯一の欠点はエンジンブロックがオリジナルではなく、刻印のない正規品に交換されていることです。ただボディワークやギアボックス、アクスルユニットなどはすべてオリジナルであると考えられています。

 この1958年型のフェラーリ 250GT LWBベルリネッタ「ツールドフランス」、結果377万2500米ドル(日本円で約5億7466万円)という高値で落札されました。

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