21時45分にもう終電!? 大都会・大阪をトコトコ走る 2両編成の“ローカル線”とは なぜ今も現役で走っている?
日中はほぼ30分に1本の運行
さて、こうした歴史的な経緯で南海の路線網のなかで“取り残される”ような存在となった汐見橋線ですが、その運行本数が極端に少ない理由は、ただ単に他の路線と切り離されたためだけではなく、沿線状況および他の路線との接続形態にもあると考えられます。

繰り返しとなりますが、汐見橋線は汐見橋駅と岸里玉出駅を、その西を南北に流れる木津川に沿って結んでいます。そして芦原町駅から西天下茶屋駅までの間で、線路は木津川に近づくように大きく西にカーブしています。
じつはこの区間の西側、汐見橋線と木津川に挟まれた地域は中小の工場や倉庫が数多く建ち並び、トラックや商用車が行き交うエリアで、電車利用の需要はそれほど多くはありません。
また東側は住宅地が広がっていますが、JR大阪環状線の芦原橋駅および今宮駅、大阪メトロ花園町駅が徒歩圏となっています。
この地域に住んでいる人が汐見橋線を利用しても、大阪市街中心部、とりわけミナミやキタの繁華街に向かうには、汐見橋駅から阪神なんば線/大阪メトロ千日前線の桜川駅まで徒歩で移動して乗り換えるか、岸里玉出駅から南海本線もしくは高野線に乗り換える必要があります。
このルートは乗り換えが面倒であるだけでなく、距離的にも大回りになるため、積極的には使いにくく、そうした移動にはJRや大阪メトロの駅を選ぶのが実情でしょう。
また汐見橋線は、形の上では阪神なんば線と南海本線を短絡する路線となっていますが、その両線は阪神なんば線が乗り入れる近鉄大阪難波駅と、南海本線、高野線のなんば駅で乗り換えることができます。
桜川駅から汐見橋駅までの徒歩移動や、汐見橋線の本数の少なさを考えると、「二度の乗り換え」の選択は現実的ではないでしょう。
つまり「需要がないから本数が増やせない、本数が少ないから使いにくい」という循環の結果が、汐見橋線の現状なのです。
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ただ汐見橋線も、一時期はその立場を大きく変えるのではないかと注目された時期がありました。
それは大阪市街を南北に結ぶ新線「なにわ筋線」建設にともない、汐見橋駅を接続駅とし、汐見橋線がその一部に活用される構想があったのです。
しかし最終的に同線は南海電鉄の新今宮駅を接続駅とすることが決まり、汐見橋線が表舞台に復活する可能性はなくなりました。
こうして汐見橋線は、今後も“都会のローカル線”として長く存続していくことになりそうです。
都会とは思えないその雰囲気を、ぜひ訪ねて味わってみてはどうでしょうか。
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