50年前の“世界最速セダン”は初代Sクラスだった!? 伝説のメルセデス・ベンツ「450 SEL 6.9」とは
F1王者も虜にした世界最速のSクラス
1975年に登場したメルセデス・ベンツ「450 SEL 6.9」は、当時世界最速クラスと称されたSクラスの最上位モデルでした。

1975年5月、メルセデス・ベンツは初代Sクラス(W116型)の最上級モデルとして「450 SEL 6.9」を発表しました。この“6.9”は、同時代のスポーツカーすら凌ぐ動力性能を持ち、最高出力286馬力・最大トルク550Nmを発揮。0-100km/h加速はわずか7.4秒、最高速度は225km/hに達し、「世界最速のサルーン」と称されました。
その圧倒的なパフォーマンスはレース界のトップにも評価され、当時のF1チャンピオンたちがプライベートカーとして愛用していたことでも知られています。
搭載される6.9リッターV8エンジン(M100 E 69型)は、フラッグシップモデル「600(W100)」のV8をベースに、排気量を拡大した専用仕様。ドライサンプ潤滑や油圧式バルブクリアランス調整など、当時としては画期的な技術も採用され、メンテナンス性の高さも特徴でした。
サスペンションは、300 SEL 6.3に搭載された空気式ではなく、新開発のハイドロニューマチック式を採用。油圧による車高調整と減衰制御を備え、常に一定の車高を維持することで、圧倒的な快適性と安定性を実現していました。
装備面も時代の先を行く内容で、エアコン、クルーズコントロール、パワーウィンドウ、集中ドアロック、ヘッドライトクリーナー、前後席の3点式シートベルト、ベロア内装などを標準装備。全車がロングホイールベース仕様(SEL)で、後席の居住性も際立っていました。
6.9の外観は控えめですが、専用の太いデュアルマフラー、ワイドな215/70 VR14タイヤ、専用エアディフレクターが性能を示します。特徴的な鍛造アルミホイール(Fuchs製)はオプション扱いで、当時の価格は1554ドイツマルク。日本円換算では約19万5200円でした。なお、これは2025年の価値に換算すると約48万8000円に相当し、当時としては非常に高価なオプションだったことがわかります。
生産は1975年から1980年までの5年半でわずか7380台。クラシック市場では近年その希少性が再評価されており、2025年時点では状態の良い個体が8万から9万ユーロ(日本円で約1312万から1476万円)で取引されるケースもあります。メルセデス・ベンツ・クラシックは純正部品の供給も継続しており、たとえばステアリングギアボックスは3756ユーロ(約61万6000円)で入手可能とのことです。
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