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アイロボット復活の狼煙となるか!? 新型ルンバの本気度に見る「掃除機における真の自動化」の可能性とは――家電で読み解く新時代|Case.13

発表会で感じた「本気」と再起への意思

 都内で行われた発表会で、壇上に立ったアイロボットジャパン合同会社の挽野元社長は、静かに、力強くこう語った。

「ルンバの本質は掃除力にあります。Max 705 Comboは、その原点に立ち返る象徴であり、日本のお客様に“これぞルンバだ”という確信を持っていただける製品です」

 その言葉に、筆者は忘れかけていたルンバの矜持と、再起を誓う熱を確かに感じた。
 

アイロボットジャパン合同会社の挽野元社長
アイロボットジャパン合同会社の挽野元社長

 近年のアイロボットは、機能の多様化や低価格モデルで市場を広げる一方で、“ルンバらしさ”を失いつつあるのではないか、と筆者は感じていた。

 そして、アマゾン買収断念というニュースと同時に、人員削減やCEO退任といった逆風。その後、事業継続能力に「重要な疑義」があると表明したなど、ネガティブなメディア報道に晒された。

 エコバックスやロボロックといった中国発メーカーが、次々と高性能な2-in-1モデルを市場に投入し、先進性や価格競争力で優位に立つ場面も増えた。

 その中でアイロボットが打ち出したのは、奇をてらう機能ではなく、愚直なまでに「掃除」という行為そのものを追求したプロダクトだった。

Roomba Max 705 Combo ロボット + AutoWash™ 充電ステーション
Roomba Max 705 Combo ロボット + AutoWash™ 充電ステーション

清掃の本質に挑むPowerSpin™ローラーモップ

 プロダクト担当の藤田佳織氏はこう説明する。「ユーザー調査で最も多かったのは、“掃除後に本当に清潔になったかどうか”を実感したいという声でした。吸引だけでなく拭き取りの確実さを求める声に応えるため、モップ構造を根本から見直す必要がありました」。

 そういった声を受けて開発されたのが、Roomba Max 705 Comboの象徴ともいえるPowerSpin™ローラーモップだ。

 毎分200回転で床を磨き、本体から10センチも飛び出すPerfectEdge®構造によって壁際まで拭ききる。さらにカーペット上ではモップカバーが自動で展開し、濡らすことなく走行できる。

 経営戦略ディレクターの山内洋氏は「壁際やカーペットの処理は長年の課題でした。PerfectEdgeとモップカバーの組み合わせは、ロボット制御と機構設計の両立がなければ実現できなかった技術です」と胸を張る。

かつての清掃力の象徴であった中央のデュアルアクションゴムブラシに加え、清掃の本質に挑むPowerSpin™ローラーモップ with PerfectEdge®構造、2本のエッジクリーニングブラシを搭載している
かつての清掃力の象徴であった中央のデュアルアクションゴムブラシに加え、清掃の本質に挑むPowerSpin™ローラーモップ with PerfectEdge®構造、2本のエッジクリーニングブラシを搭載している

AutoWash™が描く“真の自動化”

 さらに注目すべきは、AutoWash™充電ステーションの存在だ。

 従来の自動ゴミ収集機能に加え、72℃の温水でモップを洗浄し、温風で乾燥させる。洗剤は新開発のStayClean™が自動投入され、ドック内部のセルフクリーニングまで行う。

 挽野社長は「掃除を任せたのに、毎回ユーザーがモップを洗わなくてはならないのでは本末転倒です。真の自動化とは、清掃からメンテナンスまでを含んで初めて実現します」と語る。

 言葉の通り、家庭に導入してみると、従来当たり前だった“モップを外して洗う”手間から解放される快感は想像以上に大きい。

AutoWash™充電ステーションでロボットを常にフレッシュな状態に回復させたうえ、常にスタンバイ状態にさせてくれる
AutoWash™充電ステーションでロボットを常にフレッシュな状態に回復させたうえ、常にスタンバイ状態にさせてくれる

自宅で試して実感した「違い」

 筆者は実際に自宅で705 Comboを使ってみた。

 まず感じたのは静音性と動きの滑らかさだ。強力な吸引力を備えていながら、運転音は意外なほど穏やかで、夜間でもストレスなく稼働させられる。

 朝、テーブルの下に残していた食べこぼしや夕方までに舞い上がって落ちたホコリも、すっきりと取り除かれているのが目に見えてわかる。そして水拭き後の床に足をつけたときの感覚にハッとさせられた。

 ベタつきが消え、ざらつきのないサラリとした感触が残る。足裏に伝わるその違いは、従来のロボット掃除機では味わえなかった“プロの仕上がり”だった。

 何より印象的だったのは、掃除の後に人が何もする必要がないことだった。

 モップは掃除が終わるたびに自動で洗われ、温風で乾かされ、次の清掃に備える。手をかける瞬間すら不要で、清潔が日常になる。これは単なる利便性ではなく、“ロボットを暮らしの一部にする”というビジョンが形になった瞬間だった。

 PrecisionVision AIとClearView Pro LiDARによるナビゲーションも正確で、部屋の隅に取り残しが生まれず、障害物を賢く避けて走行する。

 アプリを通じて部屋やエリアごとに掃除を指示したり、水拭きの強さを調整したりできる操作性も直感的でわかりやすい。

写真右側が水拭きされたフローリング部分。鏡のように部屋の様子を反射によって映し出すほどピカピカ。素足でふれてもざらつきがなく、とにかく気持ちがいい。写真左側のいつものフローリングがくすんで見える
写真右側が水拭きされたフローリング部分。鏡のように部屋の様子を反射によって映し出すほどピカピカ。素足でふれてもざらつきがなく、とにかく気持ちがいい。写真左側のいつものフローリングがくすんで見える

アイロボット復活の象徴として

 レビューを終えて改めて実感するのは、この製品が単なる便利な家電を超え、アイロボットという企業の姿勢そのものを体現しているということだ。

 数々のネガティブ報道や逆風を受けながらも、愚直に「掃除という行為の本質」に立ち返り、徹底的に技術を突き詰めた結果として生まれたのが705 Comboなのだ。

 藤田氏が言うように「ユーザーに寄り添うこと」、山内氏が語った「技術者としての矜持」、そして挽野社長が強調した「本質回帰」。それらが一つの形になった。

 中国発メーカーが次々と新技術を打ち出し、世界シェアでiRobotを猛追する中、705 Comboはスペック競争ではなく「生活に溶け込むロボット」という観点で明確に一線を画している。

 ルンバの存在意義を問い直し、再びその名を響かせるための“復活の狼煙”であることを、使いながら確信した。

発表会で稼働していた新型ルンバ
発表会で稼働していた新型ルンバ

 “ロボットにしかできないことを突き詰め、人の暮らしをもっと自由にする”。Roomba Max 705 Comboは、その理想に確かに近づいていた。

 これは単なるフラッグシップモデルではなく、アイロボットの未来を切り開く象徴的存在だ。ルンバの次なる10年、その挑戦を筆者は心から信じ、応援したい。

製品概要
「Roomba Max 705 Combo ロボット + AutoWash™ 充電ステーション」
・清掃方式:吸引+温水による水拭きの2-in-1
・ローラーモップ:毎分200回転、PerfectEdge®構造で壁際まで清掃
・モップカバー:カーペットを濡らさない自動カバー機能
・AutoWash™ステーション:72℃温水洗浄+温風乾燥+洗剤自動投入
・ゴミ収集:最大75日分を紙パックに収集
・ナビゲーション:ClearView Pro LiDAR+PrecisionVision AI
・デザイン:新コンセプト「GRID」、木目調プレート仕様
・アプリ連携:部屋ごとの掃除指示、水拭き強度設定など直感操作
・サイズ:本体 37.2×36.6×10.5cm/ステーション 45.6×43×43.2cm
・価格:税込17万9,800円(公式オンラインストア)

Gallery 【画像】新型ルンバの実力を画像で見る(18枚)
「カチッ」と日常をオフに。至福の時を刻む、マインドフルネス
滝田勝紀
滝田勝紀
VAGUE家電統括プロデューサー
モノ雑誌の編集に15年以上携わり『デジモノステーション』編集長を歴任。現在は家電スペシャリストとして、国内外の最新テクノロジーを長年取材。All About家電ガイドやMakuakeエバンジェリスト、楽天ROOM公式インフルエンサー(フォロワー56万人超)など幅広く活動する。海外取材経験も豊富で、欧州家電メーカー本社や世界最大級の見本市「IFA」への造詣も深い。また、Z世代向けメディア運営やPR会社経営の傍ら、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とのユニット「𝒾𝓃𝒞𝒶𝒹𝑒𝓃𝓏𝒶」で家電開発も手掛ける。機能とデザインの両面から、心地よい暮らしのあり方を提唱している。

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