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“美髪ケア” は高機能シャワーヘッド市場に波を起こすか? パナソニックが提案する「シャワーから始めるヘアケア」とは【家電で読み解く新時代|Case.18】

市場は“美容×入浴”で拡大中

 美容と癒やしを兼ね備えた高機能シャワーヘッド市場が急速に成長している。

 特にファインバブルやウルトラファインバブルを搭載した製品は、2020年ごろから注目され、一般社団法人ファインバブル産業会(FBIA)によると、2021年度には会員各社の総出荷額が約370億円に到達。

 さらに同協会は、2027年度には954億円、2032年度には1,283億円に拡大すると予測している。

 背景には、コロナ禍以降の在宅美容・セルフケア需要の高まりがある。

 ReFaのシャワーヘッド(ファインバブルU)やミラブルのテレビ通販ヒットが火をつけ、「美容シャワーヘッド」という新ジャンルが生活者に一気に浸透したのだ。そこにパナソニックが参入する意味は極めて大きい。

 新製品「FINE VEIL(ファインベール)」EH-SH50は、業界唯一※のファインバブル産業会マイクロバブル性能評価で「クラス4d※」を獲得。シャワーヘッドで髪をケアするという新しい習慣を提案し、単なる“気持ちのよいシャワー”を超えた新しいカテゴリーを打ち出す。

「FINE VEIL(ファインベール)」EH-SH50
「FINE VEIL(ファインベール)」EH-SH50

“洗う工程”をアップデートして美髪をつくる

「シャンプーやトリートメントは高価格帯が伸び、ホームケア意識も高まっています。でも『髪を洗う・乾かす』は面倒と捉えられがち。私たちはこの時間を心地よいケアの時間に変えたい」。

 発表会の冒頭、パナソニック ビューティ・パーソナルケア事業部の西條琴子氏はこう切り出した。

 狙いは、同社が強みを持つ“乾かす・整える”領域を“洗う”にまで拡張し、シャワーをヘアケアのスタート地点に据えること。ナノケアドライヤーなど既存製品との一気通貫ルーティンを設計する狙いだ。

 西條氏はさらに、「私たちが目指したのは“効果”と“心地よさ”を同時に叶えること。毎日のシャワーを少し変えるだけで、髪のまとまりや指通りが変わる。それによって毎日のバスタイムをちょっとした感動体験に変えて行きたい」と強調した。

カラーはホワイトとシルバーの2種類
カラーはホワイトとシルバーの2種類

「バブルの量と快適な水流の両立」ための仕掛け

 開発担当者であるビューティ・パーソナルケア事業部の光岡基樹氏は舞台裏をこう説明する。

「髪は水を弾き、頭皮まで届きにくい。そこでブラシから着想した“髪をかき分ける太い水流”を設計し、プレシャンプーモードで頭皮までしっかり届くようにしました。実はこの仕組みにたどり着くまでに約5年の開発期間を要しました。泡の量と水流の快適さを両立させるための設計を磨き続けた結果が、今回のFINE VEILです」。

 散水板の中央と外周の孔径・角度を緻密に調整し、広い当たりと心地よさを両立させているという。さらに同氏は続ける。

 さらに、「独自のベンチュリ構造と半球構造が特徴のファインバブル発生機構でファインバブルを安定的に生成し、その結果、FBIAのマイクロバブル性能評価では「クラス4d※」を獲得しています。大量に発生させたマイクロバブルを後段で粉砕して、1μm以下の高濃度のウルトラファインバブルを生成しています」と続けた。

 その結果、FBIAから「クラス4d★」の認定を取得。バブル数とその効果検証により、製品が単なる“快適シャワー”ではなく、科学的根拠に基づくケア家電として位置づけられる。

ビューティ・パーソナルケア事業部の光岡基樹氏
ビューティ・パーソナルケア事業部の光岡基樹氏

5モードで“洗う→ケアする”を設計する

 FINE VEILは5つのモードを搭載し、使い勝手を設計している。

 毛髪診断士の鈴木真奈さんはステージで体験を振り返り、「従来は2〜3分かけていた予洗いが1分程度で十分泡立つようになった」と指摘。

 さらに「濡れ髪への水流がやわらかいので、トリートメントがすっとなじみ、まとまりやすさに違いが出た」と強調した。フェイスケア向けのミストについても「霧に包まれる心地よさがあり、洗顔後に肌を触るのが楽しみになった」と語る。

毛髪診断士の鈴木真奈さん
毛髪診断士の鈴木真奈さん

パナソニックならではのこだわり

 発表会後にビューティ・パーソナルケア事業部の松木朋美氏に競合ブランド製品とパナソニック製品の市場における立ち位置の違いについて率直に聞いてみた。

「シャワーヘッドの競合製品に対して、私たちはそこに“予洗い→トリートメント浸透”という、美髪の2ステップをに着目して、『シャワーから始めるヘアケア』という生活提案に主戦場をシフトしていきたいと考えています」

 さらに、「1日の終わりに疲労困憊で髪の毛を洗う時間は、女性にとってはつらい時間でもあります。シャワータイムで一番長いのは顔を洗う時間ではなく、髪を洗う時間。髪での効果と浴び心地を追求することで、感動体験をしてもらいたい。私たちはそこを狙っています」と分析した。

 髪は水を弾き、頭皮まで届きにくい──この“物理”を崩すために、FINE VEILは「太い水流で髪をかき分けるプレシャンプーモード」と「濃密ファインバブルでトリートメントの浸透を後押しするヘアケアモード」を連続動作として提示。

 肌ケア中心の文脈から、美髪ルーティンへと視点を広げた。

「機能や表現が多様なカテゴリだからこそ、“数字と言葉”の両輪で選べるようにしたかった。だからこそFBIAのマイクロバブル性能評価『クラス4d※』と、モデル試験による結果を開示しています」

実使用での“浴び心地”と“仕上がり”が決め手に
実使用での“浴び心地”と“仕上がり”が決め手に

 単なる“心地よさ”で終わらせず、数値というものさしを持ち込んだのがパナソニック流の差別化だ。気泡の濃度やサイズを業界基準で示し、さらにトリートメントの浸透を妨げるCaイオンへの働きかけまで可視化する。

 つまり、感覚だけではなく「選べる根拠」を提示する製品に仕立て上げたのである。

「価格勝負ではなく、体験起点で買っていただく導線を厚くしました。家電量販やECに加え、温浴施設での先行体験、それからレンタルも同時に動かしています。使って納得してから選べるように」

 プレミアム帯ゆえ、実使用での“浴び心地”と“仕上がり”が決め手になる。温かいミストや浴槽のシルクスパなど“納得の体験”はもちろん、発売後はナノケアドライヤーとの横断提案で、洗う→乾かすまでの一気通貫を推す構えだ。

「シャワーから始めるヘアケア」が今後のスタンダードに?
「シャワーから始めるヘアケア」が今後のスタンダードに?

“洗う”の再定義が、美髪の当たり前を変える

 シャワーヘッドを美髪の入口に据える——FINE VEILは、この一手でカテゴリーのルールを書き換えにきた。「クラス4d※」という定量の裏付け、5モードの体感設計、そしてドライヤーまで貫くエコシステム戦略。

 ReFaやミラブルが築いた“美容×入浴”の土台に、パナソニックは美髪ルーティンという新しい文脈を重ねた。次の主役は“洗う工程”。

「シャワーから始めるヘアケア」という提案がパナソニックの答えであり、これからの時代の新しい常識になるかもしれない。

※2025年9月24日現在。家庭用シャワーヘッドにおいて。
※気泡濃度数10,000/ml~100,000/ml、気泡径10μm~100μm

製品概要
「FINE VEIL(ファインベール)」EH-SH50
・気泡仕様気泡濃度:10,000/mL ~ 100,000 /mL
・気泡径:10 µm~ 100 µm
・モード数5モード搭載:プレシャンプー/ヘアケア/ミスト/ボディケア/シルクスパ
・価格想定:税込約3万4,000円前後(オープン価格)
・発売時期:11月上旬予定

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