当時のスーパーカー少年の誰もが憧れたフェラーリ「512BB」の前身 387台しか作られなかった「365GT4 BB」の価値とは
4.4リッターV12「ボクサー」エンジンを搭載
2025年10月にベルギーで開催されるブロードアローオークションに、1973年式フェラーリ「365 GT4 BB」が出品される予定です。
どんなクルマなのでしょうか。

フェラーリが初めて量産モデルにミッドシップレイアウトを採用したのは1973年(1967年に登場した『ディーノ』はフェラーリブランドではなく『Dino』ブランド)ですが、その構想はすでに1960年代半ばに芽生えていました。
ピニンファリーナが手がけた「365P ベルリネッタ・スペチアーレ」は、3座レイアウトを持つ実験的なクーペで、ミッドシップにV12エンジンを搭載していました。1966年のパリ・サロンで公開されると大きな注目を集め、2年後の1968年トリノ・サロンでは、鮫のようなノーズを持つ「P6コンセプト」が登場し、その進化を示しました。
一方でフェラーリは、1964年からF1マシン「512 モノポスト」に搭載するため、180度フラット配置の12気筒エンジンの開発を進めていました。
このエンジンは2リッター仕様で「212 E」を駆動し、ブランド初のヨーロッパ・ヒルクライム選手権を制覇しました。さらに3リッター仕様は「312 PB」に搭載され、1972年には世界メーカー選手権のタイトルを獲得しています。こうした技術的背景を経て、フェラーリはついに量産車にもフラット12を採用する決断を下したのです。
その成果として1971年のトリノ・サロンで発表されたのが「GT4 BB(ベルリネッタ・ボクサー)」です。
市販版は1973年に登場し、P6コンセプトを思わせるシャープなフロントデザインと、「365 GTB/4 デイトナ」と共通の4.4リッターV12を搭載していました。
ただしこのエンジンは180度水平に配置され、まさに“ボクサー”の名にふさわしい構造となっていました。
今回紹介するシャシナンバー18011は、後継モデル「512BB」が登場する前の中期型にあたる1974年製です。
左ハンドルのフランス仕様で、フェラーリ史研究家マルセル・マッシーニ氏の調査によると、1974年6月18日に完成しています。外装は上品なアルジェント・オートゥイユ(シルバー)、内装はベージュレザーの組み合わせで、同年にパリの名門ディーラー、シャルル・ポッツィ社を通じて初代オーナーに納車されました。
1983年には2人目のフランス人オーナーに譲渡され、およそ20年にわたり大切に所有されました。その後、別のオーナーに渡され、この時期にボディはフェラーリ伝統のレッドに再塗装され、インテリアはブラックに変更されていました。
現オーナーがこのクルマを入手したのは2013年で、直後にマラネッロのカロッツェリア・ザナージへ全面的なレストアを依頼しました。作業はナットからボルトに至るまで徹底的に行われ、工場出荷時の仕様に完全復元されています。
ボディカラーはアルジェント・オートゥイユ、内装はベージュレザー、さらにベルリネッタ・ボクサーの特徴であるサテンブラックのロアボディも再現されました。
2015年7月にはフェラーリ・クラシケの認定を取得し、「レッドブック」によってオリジナルのTipo F102 Aエンジン(No.00163)、シャシ、ボディ、そして正しいTipo F102 ABトランスアクスルを保持していることが証明されています。
レストア完了後の走行距離はわずか100km未満で、クラシケ認定によってマッチングナンバーが確認されたこの365 GT4 BBは、極めて正確かつ美しい一台です。
落札予想価格は42万5000ユーロから47万5000ユーロ(1ユーロ177円で換算して日本円で約7550万円から約8440万円)とされています。
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