44年前に誕生した最後の“純血シトロエン”をオークションで発見 宇宙船のような流線型デザインがカッコいい “魔法の絨毯”と呼ばれた乗り心地の「CX」ってどんなクルマ?
あの伝説的な「シトロエンDS」の後継フラッグシップモデル
2025年11月にスイス・チューリッヒで開催されたブロードアロー・オークションにて、1981年式シトロエン「CXリムジン」が出品され、落札されました。
どんなクルマなのでしょうか。

シトロエンは、1974年にフラッグシップモデルとなるCXを発表しました。このクルマは伝説的な存在となった「DS」の後継モデルとして誕生しています。
デザインを手がけたのは、DSや「SM」のデザインでも知られるロベール・オプロン氏です。CXはシトロエンらしい革新的な設計思想を受け継ぎ、ハイドロニューマチック・サスペンションを採用するとともに、独創的なインテリアを備えていました。
運転席は人間工学に基づいたコックピットデザインとなっており、独特の「ルニュール(半月形)」スピードメーターや、ステアリングの両脇に配置されたサテライト式スイッチが特徴です。これによりドライバーは、ハンドルから手を離すことなくさまざまな操作ができ、当時としては他にはない快適さと安心感を実現していました。
1976年に、シトロエンは同じフランスメーカーのプジョーとグループPSAを発足させ、それ以降プラットフォームやエンジンの共有化を行ったため、CXは内外装やパワートレインまでシトロエン独自で開発された最後の純血モデルとなりました。
CXは多様なバリエーションが用意されました。フランス大統領専用モデルとして依頼され製作した豪華仕様の「CXプレステージ」や、当時世界最速のディーゼルセダンとして登場したディーゼルモデルなどが知られています。
その中でも、とくに注目すべきは、「CXリムジン」です。
これはCXプレステージのボディにディーゼルエンジンを組み合わせたモデルで、横置き4気筒2500ccエンジンを搭載し、最高出力は75馬力を発揮、最高速度は150km/hを超えました。
全長4.9m、ホイールベース3.1mというボディサイズで、広々とした室内空間と大容量のラゲッジスペースを両立していました。
今回オークションで落札されたCXリムジン(シャシナンバーMS6593)は、1981年3月5日に初登録された個体です。
この年式からは、パワーウインドウや集中ドアロック、ダイラビ・ステアリング(油圧制御パワーステアリング)に加え、防錆性能の強化などが標準装備となっています。
フランス・アルプスの街アヌシー在住のオーナーにより正式に登録され、その後も長年にわたって大切に保管されてきました。スイス国境に近いこの地で保管されていたクルマは、2020年にスイスへ渡り、翌2021年に現オーナーのコレクションに加わりました。同年にはクラシックカーとしての認定も取得しています。
外装色は美しい「ヴェール・タマラン(Vert Tamarin)」で、内装も同系色の上品な仕上げが施されています。
この1981年式シトロエンCXリムジン、2万3000スイスフラン(1CHF=190円換算で、日本円で約437万円)で落札されました。
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