VAGUE(ヴァーグ)

当時スーパーカー少年の憧れだった デ・トマソ「パンテーラ」がオークションに登場 わずか14台しか作られなかった53年前の“グループ4仕様”ってどんなクルマ?

ドアやボンネットのアルミ化などで320kg軽量したレース仕様

 2026年1月にフランス・パリで開催されるRMサザビーズ主催のオークションに、1972年式デ・トマソ「パンテーラ」グループ4仕様が出品される予定です。

 どんなクルマなのでしょうか。

オークションに出品予定の1972年式デ・トマソ「パンテーラ」グループ4仕様Simon Gosselin(c)2025 Courtesy of RM Sotheby's
オークションに出品予定の1972年式デ・トマソ「パンテーラ」グループ4仕様Simon Gosselin(c)2025 Courtesy of RM Sotheby's

 1972年1月に発表されたデ・トマソ・パンテーラ グループ4は、顧客からの要望を受けて誕生したモデルで、わずか14台のみが製作されました。

 ドア、ボンネット、エンジンリッドにはアルミニウムが用いられ、ウインドウはすべてプレキシガラスを採用。室内はロールケージで囲まれた簡素な造りとなっています。

 これらの軽量化により、車両重量は320kg削減され、最終的には1100kgに抑えられました。

 サスペンションはダブルウィッシュボーン式を改良し、調整式のコニ製ショックアブソーバーを装備しています。制動系にはベンチレーテッドディスクを備えた大型のガーリング製ブレーキが採用され、4基のウェーバーキャブレターを装着した改良型フォード351キュービックインチ(5752cc)クリーブランドV8が生み出す470馬力をしっかりと受け止めます。

 シャシナンバー2858の個体は、クラシックな赤と黒のパンテーラのカラーリングで完成し、1972年4月にアキッリ・モータースへ新車として納車されました。

 生産2台目とされるこの車両は、納車後にアキッリ・モータースによって鮮やかなブルーへと塗り替えられています。1973年から1975年にかけてイタリア・グループ4選手権に参戦し、モンツァ1000kmでデビューを果たし、1973年のタルガ・フローリオにも出場資格を獲得しました。

 1975年のシーズン終了後に一度引退し、その後はアキッリ・モータースで保管されていましたが、1979年末に2人目のオーナーであるマルコ「スピッフェーロ」クルティ氏に売却されました。彼はこのパンテーラをデ・トマソに送り返し、1976年仕様のグループ4規定に合わせたリビルドを実施しています。

 1980年から1983年までレースに参戦した後、1998年に手放され、その後は複数のヨーロッパのレーサーの手を経て、現オーナーのもとへ渡りました。

 現オーナーのもとでは、アキッリ・モータース時代のリバリーに戻すためライトブルーに再塗装され、最新技術を取り入れた全面的なオーバーホールが施されました。その結果、性能と信頼性の両面が大きく向上しています。

 2022年のル・マン・クラシックではクラス優勝を果たし、2025年のツール・オートでは総合2位を獲得するなど、このパンテーラの卓越した実力を改めて証明しました。

 本車両には、リビルド済みのスペアエンジン、リビルド済みのスペアギアボックス、4本のホイールを含む各種スペアパーツが付属します。

 新車時からの所有履歴が明確なこのグループ4 パンテーラは、ヨーロッパ各地で開催されるヒストリックレースへの参戦を視野に入れるコレクターにとって、非常に魅力的な一台といえるでしょう。

 この1972年式デ・トマソ「パンテーラ」グループ4仕様、落札予想価格は30万ユーロから35万ユーロ(1ユーロ=182.9円換算で、日本円で約3657万円から5487万円)とされています。

Gallery 【写真】デ・トマソ「パンテーラ」ってなぜか心に残ってるよね! 写真で見る(23枚)
カメラマンが絶賛! 軽快なのにハイパワーな新定番ポタ電!

VAGUEからのオススメ

いま必要なポタ電は“ちょうどよさ”にあり! Jackeryの最新型ポタ電「1500 New」を写真家はどう使った?【PR】

いま必要なポタ電は“ちょうどよさ”にあり! Jackeryの最新型ポタ電「1500 New」を写真家はどう使った?【PR】

RECOMMEND