わずか29台しか作られなかった「スゴいポルシェ」がオークション登場、究極の“グループBロードカー”「959スポーツ」の気になる落札予想額とは
F1ドライバーのN・ハイドフェルドも所有していた1台
ポルシェが1980年代に生み出した伝説のスーパーカー「959」。そのなかでも、より軽量かつ高性能に仕上げられた「959スポーツ」がRMサザビーズのモントレー・オークションに登場します。
959スポーツの生産台数はわずか29台。今回の個体は走行距離4788km(約2976マイル)で、3オーナーという履歴に加え、ポルシェ・クラシックによる大規模なメカニカルオーバーホールを受けています。
ポルシェ959はもともと、グループBラリーに投入することを想定して開発されたモデルでした。
しかし、その技術はラリーカーにとどまらず、1986年に登場した市販車にも惜しみなく投入されています。2.85リッター水平対向6気筒ツインターボエンジンに、先進的な4輪駆動システム、車高調整機構、タイヤ空気圧モニターなどを採用。当時としては極めて先進的な技術を備えた、まさに「未来から来たポルシェ」でした。
1986年から1989年までに生産された959はわずか292台。そのなかでも今回オークションに出品される予定の959スポーツは、さらに特別な存在です。
標準仕様の「959 Komfort(959コンフォート)」に対して、959スポーツは徹底した軽量化を実施。アダプティブサスペンションをコイルオーバー式に変更し、エアコンやオーディオ、助手席側ドアミラーまで省略しました。
さらにレザー巻きのロールケージと4点式レーシングハーネス、クロス張りの内装を採用し、約100kg軽量化されています。
エンジンも強化され、最高出力は508馬力に達します。1980年代の市販スーパーカーとしては圧倒的なスペックであり、959が単なる高性能車ではなく、ポルシェの技術力を象徴するモデルだったことが分かります。

今回のシャシナンバー「WP0ZZZ95ZJS905013」は、1988年9月に完成した個体です。ボディカラーは「グランプリ・ホワイト」で、29台の959スポーツのうち、この色に仕上げられたのは11台。さらに珍しいことに、エアコンを装備した959スポーツは確認されている限りわずか2台で、この個体もその1台です。
もともとは米国のコレクターが発注したとされます。しかし959は米国での正規販売を想定していなかったため、規制上の問題から米国への導入計画は難航しました。その後、この個体は韓国の実業家に新車納車され、2007年にはドイツ人F1ドライバーであるニック・ハイドフェルド氏のコレクションに加わっています。
2017年にはハイドフェルド氏がポルシェ・クラシックに大規模なオーバーホールを依頼。パワートレインを工場出荷時の仕様へ戻す作業などに約11万5000ユーロが投じられ、2021年12月に作業が完了しました。
現在のオーナーは2022年に購入した3人目の所有者で、コレクション内で大切に維持されています。
走行距離はわずか4788kmで、エンジンはマッチングナンバーを維持。ポルシェ・クラシック・テクニカル・サーティフィケートや整備記録、工具、取扱説明書なども付属します。
RMサザビーズが掲げる予想落札価格は500万~600万ドルです。1ドル=150円で換算すれば、約7億5000万円から9億円という驚異的な水準になります。
世に29台しか存在しない959スポーツに加え、グランプリ・ホワイト、エアコン装備、ニック・ハイドフェルド氏の所有歴、そしてポルシェ・クラシックによる整備という条件が揃った今回の個体。フェラーリF40など同時代のスーパーカーとは異なる、ポルシェ独自の技術的ストーリーを持つだけに、9億円に迫る価格が実現するのか、大いに注目されます。
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