「えっ、現代の日本にまだ残っていたとは!?」古き良き温泉情緒をいまに残す 一度は訪れてみたい「秘湯」3選
続いては青森県と秋田県に位置する秘湯
●青森県「谷地温泉」
次に紹介するのは、青森県十和田市の八甲田連峰東麓、標高約800mの豪雪地帯に位置する「谷地(やち)温泉」です。
谷地温泉は開湯400年以上の歴史を誇る日本三大秘湯のひとつで、八甲田の大自然に抱かれた、木造二階建てのひなびた一軒宿として長く愛され続けています。

泉質は単純硫黄温泉(硫化水素型)で、慢性皮膚病や神経痛、アトピー性皮膚炎、筋肉痛などに適応するとされています。
そして、谷地温泉の大きな特徴は、温度の異なる2つのヒバ造りの浴槽を活かした入浴法を提案している点にあります。
浴槽の底から直接お湯が湧き出る38度のぬるめな「下の湯」にじっくりと長湯をして神経を休めたあと、42度の白濁した「上の湯」に入って体をしっかりと温める独自の入浴スタイルです。
この温度差を活かした交互入浴を実践することにより、自律神経が調えられ、湯冷めしにくくなるとともに、優れた温泉成分が体にじっくりと浸透していく効果が期待されています。
秋の紅葉シーズンには全山が鮮やかに色づく景観を楽しめるほか、食事処では地元の名水で育った岩魚の料理が提供されています。
また、周囲には高山植物が自生する谷地湿原が広がり、標高の高い山奥に位置しているため、冬季には積雪量が5メートルに達することもあるといいます。
●秋田県「乳頭温泉郷」
そして最後に紹介するのは、秋田県仙北市の十和田八幡平国立公園内、乳頭山麓に位置する「乳頭温泉郷」です。
乳頭温泉郷は、山中に点在する7つの一軒宿からなる温泉郷で、なかでも歴史が古く象徴的な存在である「鶴の湯温泉」は、江戸時代に秋田藩主の湯治場として使われていた茅葺き屋根の長屋「本陣」を今に遺しています。

泉質は宿ごとに異なり、多種多様な源泉を楽しめるのが大きな特徴ですが、代表的な鶴の湯の白湯(しろゆ)は、含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩泉(硫化水素型)で、高血圧症や慢性皮膚病、糖尿病などに適応するとされています。
そして、乳頭温泉郷の大きな特徴は、手つかずの自然に囲まれた「混浴露天風呂」にあります。湯船を満たす独自の乳白色のお湯は、底が見えないため混浴でも比較的入りやすく、湯底からお湯が直接湧き出る「足元自噴」を体感できる浴槽も存在します。
この豊富な成分を含む濁り湯にじっくりと身を浸すことで、体を芯から温めて冷え性を和らげるとともに、美肌効果や高いリラックス効果が得られると期待されています。
また、乳頭温泉郷では「湯めぐり帖」が用意されており、宿泊者に限り専用の巡回バス「湯めぐり号」を利用して、趣の異なる7つの宿の温泉を巡る贅沢な入浴法が案内されています。
なお、乳頭温泉郷では自然景観と独自の歴史的風情を保護するため、過度な近代化を避け、日本の原風景とも言える素朴な山の湯守りの文化を守り続ける取り組みも行われています。
※ ※ ※
今回取り上げた祖谷温泉、谷地温泉、乳頭温泉郷は、いずれも豊かな自然環境と独自の歴史を持つ温泉地です。
これらの地域では、季節ごとに大きく変化する自然の厳しさや美しさが、温泉の価値をより一層高めています。
日常の生活環境から距離を置き、自然の音だけが聞こえる場所で温泉に浸かることは、心身の疲労を回復させる有力な手段のひとつといえます。
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