フェラーリ入門モデル「308GTB」のFRPボディが価格上昇中! スチールボディより選ばれる理由とは
FRPボディのフェラーリ308GTB人気は、依然として高いのか?
このほどRMサザビーズ「PARIS」オークションにプティジャン・コレクションから出品されたフェラーリ308GTBヴェトロレズィーナは、シャシナンバー「#20545」。1976年12月にマラネッロのフェラーリ本社工場をラインオフしたのち、イタリア国内で最初のオーナーに引き渡されたことがわかっている。

●状態良くなくとも驚きの落札価格
生産当初は、ベージュのコノリー社製本革レザーのインテリアに「アズーロ(Azzuro Met:ライトブルー・メタリック)」で仕上げられていたのが、作業がおこなわれた時期は明かされていないものの、現在ではフェラーリの象徴「ロッソ・コルサ(Rosso Corsa:レーシングレッド)」にリペイント。その一方で、インテリアは工場出荷時の「Beige(ベージュ)」のレザーがそのまま維持されている。
RMサザビーズ社による公式WEBカタログ作成の段階で、オドメーターは1万7229kmと刻まれていたとの由。また、フェラーリ社純正の「308GTB/GTS」マニュアルやジャッキ、スペアホイールが付属しているとのことであった。
現在の国際クラシックカー・マーケットにおいて、フェラーリ308GTB/GTSとその発展モデルたちが「真正クラシック・フェラーリ」入門篇として高い人気を得ていることは、もはや誰もが認めることであろう。
そして、同じ308GTBシリーズの中でもスチールボディに独ボッシュKジェトロニック式インジェクションを組み合わせた「308GTBi」のマーケット相場価格は比較的安価で、スチールボディ+キャブレター仕様の「308GTB」と、気筒当たり4バルブヘッドを与えられた最終型「308GTBクワトロヴァルヴォレ」がそれに次ぐ相場感となる。
それに対して「ヴェトロレズィーナ」は、わずか712台(ほかに719台説など諸説あり)とレアであること。また、キャブレター仕様のエンジン+軽量なFRPボディを持つことから、一連の308GTBの中でももっともピュアと目されていることも相まって、多くの場合で一番高価な308GTBと見なされているようだ。
ところが今回のオークション出品にあたり、RMサザビーズ社営業部門とプティジャン・コレクションの協議のもと、7万5000~11万ユーロという「ヴェトロレズィーナ」としては比較的安価なエスティメート(推定落札価格)を設定していた。
エスティメートが控えめな金額とされた理由として考えられるのは、この個体の、とくに機関部のコンディションに懐疑的な見方がなされていたことが推測されるだろう。
もともとプティジャン氏は、自身のミュージアムを建設するために数多くのスーパーカーを蒐集していた人物であり、この308GTBも展示用として長らく不動状態のまま所蔵されていたとみられている。したがって、ランニングコンディションを取り戻すためには、とくにエンジンや燃料系、潤滑系に電気系などあらゆる部位で大幅なリニューアルを必要としているのは間違いないのだ。
ところが、ほかのプティジャン・コレクション所蔵車と同じく「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」で出品されたことが功を奏したのだろうか、競売では予想以上にビッド(入札)が進んで価格が跳ね上がり、終わってみれば15万8700ユーロ、日本円に換算すれば約2030万円でハンマーが落とされるに至った。
ちょうど一年前、同じRMサザビーズ社が2021年2月にオンライン限定で開催した「OPEN ROAD FEBRUALY」オークションでは、新車としてファーストオーナーに納車されて以来、一度もフルレストアを受けていない「プリザーブド」の308GTBヴェトロレズィーナが13万2000ユーロ、当時の為替レートで約1700万円という価格で落札された実例があったばかり。
それに比べてボディの色替えが施され、しかもコンディションが未知数なはずのこの個体が2000万円超えのハンマープライスをたたき出したのは、会場の盛り上がりによってビッドがあおられ、結果として高値に吊り上がることの多い対面型オークションの特質なのか、あるいは308GTBの相場自体が再び上昇傾向にあるのか?
日本国内での相場にも影響を及ぼす可能性もあり得ることから、今後も国際クラシックカー・マーケットの成り行きを注視してゆきたいところである。
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