VAGUE(ヴァーグ)

ボートなのに固定資産税がかかる! 住める「娯楽用船舶」は不動産? サステナブルな現代のノアの箱舟とは

「アークアップ」は船なのか、それとも家なのか?

 当初、「550万ドル」で販売されていたようだが、2021年11月、新たなオーナーの手に330万ドル(邦貨換算約4億1400万円)で渡った。地元税務当局は510万ドルの“不動産評価”をし、新オーナーに固定資産税12万ドル(邦貨換算約1500万円)の支払い要求が出された。つまり、地元税務当局は、この“住めるボート”は「家」である、という判断を下したのだ。

格納式テラスを全開にした様子。外枠は強化ガラスとなっている(C)Arkup
格納式テラスを全開にした様子。外枠は強化ガラスとなっている(C)Arkup

●税務当局が下した判断は「家」

 アメリカの税率は州や郡によって異なる。フロリダの税金をパッと調べてみたところボートに関しては、売買時に課税されるとともに毎年、使用税として最高1万8000ドル(邦貨換算約220万円)が徴収される。ところがアークアップ1号はボートではなく家なので、12万ドルと高額になっている。

 アークアップ1号のオーナーは「マクナイト・インターナショナル」という海鮮加工会社の創業者。大富豪だ。2017年、ドミニカでハリケーン災害が起こった際はプライベートジェット5機をチャーターし、支援物資を送るような人物である。支払いには何ら問題ないのだろうが、不動産として評価されることが納得できない模様だ。

 アークアップ1号は、アメリカ湾岸警備隊に「娯楽用船舶」として登録されている。船舶の構成要件となっている動力源、アンカー、ナビゲーションシステム、アンカーライト、VHF無線、そしてライフジャケットも完備している。しかも2022年2月、査定に訪れた税務調査官たちを乗せて、ビスケーン湾を2時間の“クルーズ”に連れ出したという。

「アークアップは、水上移動を主目的とするボートではない」というのが地元税務当局側の主張だ。一方、アークアップ1号のオーナー側は、「これが不動産であれば、マイアミに数多く係留されたボートに住む人たちに対しても不動産として課税するのか?」と反論し、裁判に持ち込まれることになった。

 マクベス風にいうならば、「ボートなのか家なのか、それが問題だ」。個人的には下水をどう処理しているのか、そっちの方が気になる。

 なお、アークアップ1号は現在、マイアミのスター・アイランドに係留されている。Google Mapの航空写真では確認できないがスター・アイランド唯一の橋、ブリッジロードをストリートビューで見渡すと、その姿を確認できる。

Gallery 【画像】海面上昇や水害でも床上浸水することのない「アークアップ」を見る(13枚)
「カチッ」と日常をオフに。至福の時を刻む、マインドフルネス

page

  • 1
  • 2

VAGUEからのオススメ

“時を愉しむ”という究極の贅沢――カンパノラ「星響」と巡る、足利・静寂とウェルネスの旅【PR】

“時を愉しむ”という究極の贅沢――カンパノラ「星響」と巡る、足利・静寂とウェルネスの旅【PR】

RECOMMEND