ラリーイベントに参加するのに適したクルマとは? 非力なフィアット「500」で「軽井沢フィアット ピクニック」に参戦してわかったこと
クラシックな非力なクルマだからこそ楽しめることとは
ラリー当日の朝は早い。早起きしてスタート地点へ向かう。ヌォーヴァ500のエンジンのレスポンスから、昨日より早朝の冷えた空気は密度が大きいように感じる。ちょっとだけエンジンが元気になったように感じられるのだ。
クルマはどんな環境でも運転できるように、技術的に進歩してきた経緯がある。しかし、真空管アンプやレコードが完全に消滅しないのと同じく、クラシックカーにはアナログのよさがある。機械ではあるもののそれぞれの個体に個性があり、冷たい機械ではなく性格を持った生き物と接するかのようなコミュニケーション能力が必要だ。

「軽井沢フィアット ピクニック」の集合場所である軽井沢レイクガーデンに到着すると、ヌォーヴァ500系と現行500のバリエーションが2大派閥で、そのほか「500X」や「パンダ」、「バルケッタ」などがちらほら。しかし、どの車両も参加者たちから常日頃愛されていることが伺えるようなクルマばかりだ。
ラリーはコマ図を使って設定ルートを走行し、フィアットに関するマニアックなクイズが8問と、スタートからゴールまでに要した時間と設定された時間との誤差によってのポイントで競われるものであった。もちろん設定時間は法定速度で割り出されているので、スピードを競うものではない。
●運転することが純粋に楽しい!
ルートには、千曲ビューラインや碓氷峠などが選ばれていて、ドライブしていて楽しい景色が広がっていた。アップダウンに富んだルートは、常にエンジン回転数とギアに注意を向けていなければならない攻略しがいのある道。天気もよかったため、ルーフを開け放ち、三角窓から入る風も心地よく、小諸や軽井沢のその土地の香りを感じながらのドライブ。
外気温や路面状況、そして道路の勾配、曲率、カント……などを運転席からの景色で勘案しながらアクセルとステアリング操作に集中するのは、運転そのものの醍醐味だ。時にはヌォーヴァ500の持てるパワーをすべて出し切っても失速してしまうようなシーンもあって、使い切れないパワーを持て余すクルマとは違う発見が数多くあった。
免許取り立てだった大学生の頃、手に入れたばかりのクルマで、ただシフトアップやシフトダウンするだけでも楽しかった頃が思い出された。それはクルマを運転・操る行為そのものが歓びだった頃の遠い記憶だ。
クルマのEV化が進むいま、逆にクラシックカーに注目が集まり、オークションなどでの落札価格が上昇している理由も頷ける。投資目的という前に、クルマをドライブする歓びと嗜みを心得ている人からの需要が上がっているのだ。
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今回のラリーでの所要時間は4時間28分20秒、走行距離は100km少し。設定時間は3時間57分だったので、幾分のんびりしたドライブだったかもしれない。しかし、ゴール後は不思議な爽快感と充実感に包まれていた。
この種のラリーは、MTのクラシックカーが楽しいことはわかっていたけれども、さらに非力でもまったく問題ないことがよくわかった。むしろ、非力だからこそ楽しめた部分と気付きが多かった1日だったほど。
クラシックカーのエントリー車はいろいろあるが、ヌォーヴァ500はサイズ感といい愛らしいルックスといい、これから趣味で増車したいという人にはまさにうってつけだ。もともとが大衆車だけあって、現在の相場でも手が届かないほど高額というわけでもなく、今後値落ちすることもほぼないだろう。
しかもチンクエチェント博物館では、ボディカラーや内装色などを自分好みに仕上げて納車してくれる。クラシックカーでありながら、自分だけの1台を今から手に入れられるというのは、なんとも幸せなことではないだろうか。
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