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見た目は激変も快適性は「さすが!」 トヨタ新型「クラウン」は“しっかりクラウン”してました

クラウンとしての本筋はしっかり通っている新型

 今回、2.5リッター自然吸気エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドを搭載する新型クラウンに試乗して、ふたつの点に感心させられた。

守るべきところは守りつつ新しさを求めたトヨタ新型「クラウン」は、まさしく「クラウンらしいクラウン」だ
守るべきところは守りつつ新しさを求めたトヨタ新型「クラウン」は、まさしく「クラウンらしいクラウン」だ

 ひとつ目は、期待を裏切らない快適性能だ。乗り心地は「さすがクラウン!」と思えるなめらかなもので、ドライバーはもちろんのこと、リアシートに座る乗員も移動していて心地いい。

 リアシートの足元は広くゆったりしており、座面の弾力など絶妙にソファ感のあるシートの仕立ても納得の出来栄えだ。従来モデルに比べると、新型のリアシートは立体感が増しており、座ってみると体が包まれ着座姿勢が保持される感覚が強い。これはクルマとして正常進化といえるポイントだろう。

「レザーパッケージ」やRSグレードには、助手席の背もたれ側面に運転席やリアシートから簡単に操作できる電動シートの調整スイッチが組み込まれるほか、「RS“アドバンスド”」ではリアシートにも電動リクライニングが備わるなど、ショーファードリブンとしての装備も備わっている。見た目は大きく変わろうとも、クラウンへの期待を裏切らない快適性がしっかりと確保されている。

 もうひとつ感心させられたのは、走りのよさだ。といっても、シャープなハンドリングや圧倒的な加速感など、ドライバーを高揚させるような刺激を備えているわけではない。なめらかに加速し、スーッと気持ちよく曲がる自然なドライビングフィールは、毎日乗っても不快感を抱くことなく、体にジワリとなじんで疲れない仕立て、といってもいいだろう。

 それでいて、アクセルペダルを踏みながらのコーナリング時は、ドライ路面でも積極的にリアタイヤへと駆動力を伝える4WDシステムや、トヨタが“DRS(ダイナミックリアステアリング)”と呼称する後輪操舵システムの恩恵もあって、気持ちよく曲がってくれる。

 DRSは、低速域から中速域にかけては逆位相=前輪と逆方向に後輪が傾き、小回り性能や軽快感を生み出す一方、高速域では同位相=前輪と同じ方向に後輪が傾き、走行安定性を向上させる。新型クラウンに限らず、後輪操舵システムを搭載する昨今のモデルは、自然なフィーリングで違和感はほぼないが、新型クラウンのそれは、Uターン時などでは想像以上に小回りがきき、高速クルージング時は同乗者の体がふらつかないほど車体の揺れが少ないなど、さまざまなシーンでメリットを実感できる。

* * *

 さて、そんな新型クラウンは、果たして「クラウンらしいモデル」なのだろうか? 確かに、歴代モデルの概念を踏まえれば、大胆に変わった新型のデザインは「クラウンらしくない」と感じられるのも無理はない。先代の15代目がデビューした際にも、「クラウンは大胆に変わった」といわれたが、新型がデビューしたいま振り返ってみれば、先代ですら、十分に「クラウンらしいクラウン」だった。1955年登場の初代以来、継承してきたエンジン縦置きレイアウトが途絶えたことも、クラウンの歴史を書き換える大きな事件といえるだろう。

 その一方、良好な乗り心地や運転のしやすさ、快適でリラックスできるキャビンなどはこれまでのクラウンの延長線上にあり、クラウンらしいと断言できる。それらはクラウンの魂といってもいい要素である。

 つまり新型は、クラウンとしての本筋がしっかり通っているモデルである。あとは、デザインやメカニズムの変化をどう捉えるかによって判断がわかれるのではないだろうか?

 おそらく保守的なユーザーからは受け入れられないことだろう。しかし、筆者は新型クラウンを見て思い出した言葉がある。それは、数世代前のクラウンの開発者が筆者に語った「保守的だと思われがちですが、実はクラウンって新しいチャレンジを積極的に採用してきたモデルなんですよ」という言葉だ。

 たとえば、4代目クラウンは当時の高級車としては考えられなかった、丸みを帯びたデザインを採用。「いつかはクラウン」のキャッチコピーでおなじみの7代目では、パーソナルユーザーの拡大を意識し、高級車は黒という常識に反して白いボディカラーを積極的に展開した。さらに2008年登場の13代目では、当時まだ一般的ではなかったフルハイブリッドのパワートレインを導入。翌14代目ではタッチパネル式の空調コントローラーを採用している。このようにクラウンは、決して“守りのクルマ”ではなく、それぞれの時代ごとにチャレンジをおこなってきたモデルなのだ。

 つまるところ、新型が「クラウンらしいか否か」という判断は、クラウンという存在をどう捉えるかによって左右される。クラウンを保守的なクルマととらえるなら、新型はらしくないと映るだろう。しかし、守るべきところは守りつつ新しさを求めたセダンととらえるならば、新型はまさしく「クラウンらしいクラウン」と感じられるはずだ。

●TOYOTA CROWN CROSSOVER G“Advanced・Leather Package”
トヨタ クラウン クロスオーバー G“アドバンスド レザーパッケージ”
・車両価格(消費税込):570万円
・全長:4930mm
・全幅:1840mm
・全高:1540mm
・ホイールベース:2850mm
・車両重量:1790kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHC+モーター
・排気量:2487cc
・駆動方式:4WD
・エンジン最高出力:186ps/6000rpm
・エンジン最大トルク:221Nm/3600〜5200rpm
・フロントモーター最高出力:119.6ps
・フロントモーター最大トルク:202Nm
・リアモーター最高出力:54.4ps
・リアモーター最大トルク:121Nm
・燃料消費率(WLTC):22.4km/L
・サスペンション:(前)ストラット式、(後)マルチリンク式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)225/45R21、(後)225/45R21

Gallery 【画像】歴史を書き換える大胆な変身を遂げたトヨタ新型「クラウン」を見る(30枚)
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