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欧州最大の家電展示会で存在感際立つ!“日本メーカー最後の砦”パナソニックが目指す4つのウェルビーイングとは?

家電ジャンルごとにWellbeing視点でコンセプト展示

 ヨーロッパで最大の家電の国際イベント「IFA(Internationale Funkausstellung)2022」が、2019年以来3年ぶりにドイツ・ベルリンでリアル開催された。その舞台に日本メーカーで唯一、欧米中韓のメーカーと肩を並べる巨大ブースを構えたのがパナソニックだ。

2019年以来の開催となった家電の国際イベント「IFA2022」。日本メーカーでは唯一、パナソニックが巨大ブースを構え、存在感を示した
2019年以来の開催となった家電の国際イベント「IFA2022」。日本メーカーでは唯一、パナソニックが巨大ブースを構え、存在感を示した

 パナソニックのブースは、これまで使用してきたメインの5番ホールから、IFA2022ではメッセに新たにつくられた“hub27”という巨大ホールに場所を移した。総スペース5000平米の同社ブースは、つり下げられた白いドレープでセクションごとにわけられ、エアリーでシンプルな印象に仕上がっていた。

 同ブースは斬新さを演出するのに成功しただけでなく、組み立て時のCO2(二酸化炭素)排出量削減にも成功。グリーンハウスガス(GHG)プロトコルに基づく計算では、2019年の同社ブースと比べて計140トンものCO2を削減できたという。比率に換算すると実に約71%もの削減に相当したことになる。これらは主に、ロジスティクス、材料の慎重な選択、製品の展示方法、壁の装飾などにより達成できたとのこと。グローバル企業として、強くサステナブルを意識していることを打ち出した結果といえる。

 とはいえ、グローバル企業であるパナソニックがサステナビリティを実践することは、もはや当然のこと。それよりも同社がIFA2022で最も伝えたかったメッセージは別にあった。

 パナソニックの品田正弘社長はIFA2022のプレスカンファレンスにおいて「環境への取り組みは、我々が今後の100年の間にどのような企業として生き残っていくかということを示しています。そして、性能のいい製品を提供するにとどまらず、我々は顧客に向けて提供できる価値として“Wellbeing(ウェルビーイング=健やかに生きること)”というキーワードにも着目しています」と説明した。

 その言葉どおり、ブースのセントラルエリアを中心に、Spatial Wellbeing(テレビ、ホームエンターテインメント、室内環境)、Outer Wellbeing(パーソナルケア)、Inner Wellbeing(小型キッチン用品)といった具合に、家電のジャンルごとにWellbeing視点でのコンセプト展示がおこなわれた。

 Spatial Wellbeingでは衛生的で快適な住まいを創造し、健康とくつろぎの時間を提供することを宣言。テレビやホームエンターテインメントを中心に、室内環境など暮らしに最適な環境面で、パナソニックとしてWellbeingをどう提供できるかを示した。

 IFA2022の時点ではコンセプトモデルであった55インチで総重量約10kgという薄型テレビを、ハンガーラックにシャツなどと並べて掛けてディスプレイ。大画面テレビの置き場所を固定せず、用途によって空間のあらゆるところに自由に設置するという新たな常識をさらに加速させる展示だった。近年、パナソニックは「レイアウトフリーテレビ」と銘打って文字どおり部屋のレイアウトにとらわれないテレビの設置スタイルを確立しつつあるが、IFA2022での展示は、さらにその先をいくスタイルが印象的だった。

 Outer Wellbeingの展示では、心と体のバランスをよりよくすることをサポートするとアピール。なかでも、革新的なモジュール式パーソナルケアシステム「MULTISHAPE」が印象的だった。

 現時点では日本国内での発売予定がない「MULTISHAPE」は、充電式バッテリーグリップをベースに、髪やヒゲのカット、シェービング、体毛の処理、耳・鼻・眉毛のシェイプ、そして歯磨き用の高品質なアタッチメントヘッドを個別に購入することが可能。自分だけのパーソナルグルーミングツールをゼロからカスタムできるのがユニークだ。男性のグルーミングにさらなるサステナビリティをもたらし、バスルームの省スペース化に役立つほか、スーツケースで持ち運ぶ際にもスペースを取らないため携行性にも優れるなど、メリットは数多い。

 さらにInner Wellbeingの展示では、おいしく、パーソナライズされた、すべての人に健康的な栄養を届けることをアピール。健康で豊かな食生活をサポートするためのアイテムとして、小さなキッチンにもぴったりと収まるスチームオーブン「NN-DS59」を展示し、注目を集めた。

「NN-DS59」はスチーム、上火/下火のオーブン、平面グリル、インバーターレンジという4つの調理方式を1台に集約したオールラウンダー。グルメな人も料理初心者の人も、新しいレシピやお気に入りの料理を時間をかけずヘルシーにつくるためのさまざまな選択肢を提供する。ビタミンたっぷりのスチーム調理に加え、低脂肪調理が可能な点も「NN-DS59」の特徴だ。そのほか、オートクッカーや解凍機、生ゴミ処理機といったコンセプト商品も展示され、トータルでゴミやフードロスを減らした食農循環を提案していた。

●パナソニックの展示は未来へ向けて戦うという強い意思表示

 さらにパナソニックは、今回初公開した新たなブランドアクションのキャッチフレーズ「Create Today.Enrich Tomorrow(明日を豊かに)」の下、4つ目の柱としてSocial Wellbeingというメッセージも打ち出した。

 リビングソリューションという幅広い領域で、人と地球の健全なバランスを実現するのがその目的。カーボンニュートラルと循環型経済への移行により、地球を救う製品や取り組みを紹介する「Our Social Care of tomorrow」というメッセージを掲げる。

 なかでも注目は、環境にやさしい未来のための暖房、冷房、給湯の新システム「アクアレア エコフレックス」だ。

 家庭やオフィス、さまざまな商業施設において、持続可能で安価な冷暖房ソリューションに対するニーズはますます高まっている。新システムである「アクアレア エコフレックス」は、“ナノイーX”技術を搭載した空気清浄機と「アクアレア」の空対水ヒートポンプを組み合わせたもので、革新的なハイブリッドシステムによりエネルギー効率に優れる暖房、冷房、クリーンな空気、温水の熱回収を実現する。

 グローバル化が進み、社会はこれ以上ないほど成熟している。その中で価値観や生き方が多様化した現在、解決すべき社会問題を取り巻く利害関係は複雑化した。そんななかでWellbeingは、あらゆる問題解決やビジョンの実現に向け、多様な意思を同じ方向にそろえるための最重要キーワードとなっている。

 パナソニックはIFA2022において、グローバル企業としてあらゆるリソースからWellbeingを追求すると表明した。それは、日本を代表するグローバル企業として、彼らが未来へ向けて戦うという強い意思表示だったと筆者は思う。

Gallery 【画像】パナソニックが未来へ向けた強いメッセージを発信したIFA2022の様子を見る(7枚)
「カチッ」と日常をオフに。至福の時を刻む、マインドフルネス
滝田勝紀
滝田勝紀
VAGUE家電統括プロデューサー
モノ雑誌の編集に15年以上携わり『デジモノステーション』編集長を歴任。現在は家電スペシャリストとして、国内外の最新テクノロジーを長年取材。All About家電ガイドやMakuakeエバンジェリスト、楽天ROOM公式インフルエンサー(フォロワー56万人超)など幅広く活動する。海外取材経験も豊富で、欧州家電メーカー本社や世界最大級の見本市「IFA」への造詣も深い。また、Z世代向けメディア運営やPR会社経営の傍ら、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とのユニット「𝒾𝓃𝒞𝒶𝒹𝑒𝓃𝓏𝒶」で家電開発も手掛ける。機能とデザインの両面から、心地よい暮らしのあり方を提唱している。

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