プロ目線でチェックした“グループキャンプ向け”の「焚き火台」は名作揃い
●ぴったりの焚火台があればグルキャンはもっと楽しくなる
今回話しをきいたのは、焚火クラブをオーガナイズした若洲アウトドアセンターのマネージャー・金丸隼士さん。イベントの名物コンテンツ「試焚火」では、常時火入れした焚火台74機種でファンを魅了。そんな焚火のプロにVAGUE焚火部が気になったモデルをチェックしてもらうことに。

家族や友人同士で出かけるグルキャン(グループキャンプ)に向く焚火台について金丸さんは「キャンプ場のショップで販売されている、長さ35cmほどのフルサイズの薪が問題無く使用できるものが使いやすいです」とセレクトのポイントを説明。
炎を愛でるのはもちろん、調理をしたり、焼き網でわいわいとBBQを楽しんだり、とオールラウンドに活躍してくれるモデルが多数リリースされています。そこで今回は、焚火クラブで注目された、多少の人数の増減にも対応できるグルキャン向け焚火台を解説してもらいました。
●HACHIOJI KOZAI「ステンレスファイヤーピットFP500」
金丸さん:「その名の通り、工材屋さんが自社で材料の選定から製造を行っている国産ブランド。工作精度が高く、新品の状態の美しさはもちろん、使い込むほどに味わいが増します」
VAGUE:「焚火クラブに登場した個体も、経年変化が美しく、自分で育てる悦びがありそうだと感じました」
金丸さん:「細かく分解できるので、収納状態では直径約50㎝の焚き火台とは思えないほどコンパクトになります」
VAGUE:「しっかり感のあるステンレススティール材のせいか、けっこうな重量感ですね」

金丸さん:「耐久性を譲らないゆえのこだわりなんでしょう。『直径約50㎝』とサラッと言いましたが、長さ太さとも大抵の薪なら使えてしまうこのサイズ感の焚火台って、けっこう貴重なんです」
VAGUE:「焚火クラブではオプションのウインドシールドを乗せてのデモでしたが、ゆったり囲める大きさなのに、スタイリッシュなのが嬉しいですね」
金丸さん:「精巧で美しいルックスとは裏腹に、ずぼらに薪を放り込んでもきれいに燃えてくれるユルさが個人的にグッときます。仕事場ではお客さんの手前、薪の組みかたにも映えを意識して気が抜けません。でも、オフのグルキャンのときくらい気兼ねなくくつろぎたいですからね」
●Coleman「ファイアーディスク」
金丸さん:「シンプル・イズ・ベストをここまで体現した焚き火台はないかもしれません」
VAGUE:「ロストルも複雑な機構もないですが、価格もお手ごろなので初めての焚火台にも良さそうです」
金丸さん:「あまりに安いので『どうせ燃え具合も値段相応なんでしょ』と甘く見ていたんですが、本当に申し訳ありません。火持ちも良好で、ボディのツルツル熱を反射するのか、むしろ暖かさの点ではかなりの優等生なんです」

VAGUE:「お気楽さに全振りしたかと思いきや、ちょっとズルいくらい総合力も高いとは!」
金丸さん:「設営・撤収ともにスムーズなのは言わずもがな、使用後は灰や炭をはいて落とすだけ。レンタルでもヘビーローテ中ですが、曲面ゆえか全く歪んでいません。なので耐久性も○。強いて言えば、付属の焼き網が中心の空いたドーナッツ型なら最高なんですが、それはさすがに贅沢すぎますね(笑)」
●CHUMS「ブービーフェイスフォールディングファイヤーピットL」
金丸さん:「アパレル方面が得意なCHUMSさん。失礼ながらさほど期待せずに使ったところ、ブービーバードロゴのかわいさに反して性能面でも安定感抜群の優等生焚火台でした。なにこれズルい!」
VAGUE:「無骨さやサバイバル感が前面に出てしまう焚火関連・冬キャンプのギアの中で、ハズシの効いたカッコ可愛いデザインは貴重な存在ですね」

金丸さん:「設計がしっかりしていて、展開&片付けの簡単さ、燃焼維持のしやすさ、メンテナンス性などほとんどの項目が高水準。それでいて価格も手ごろ。とくに大きめの薪も使えるLサイズは、あまり考えずに雑に薪を放り込んでも安定して燃焼し、構造上灰を地面に落とさないのでフィールドを選びません」
●Petromax「ファイヤーボウル fs56」
金丸さん:「これはいったい、焚き火台なのか鉄板なのか逡巡する造作ですが、どっちもOK(公式)とのことなのでひと安心です」
VAGUE:「サイズは3種類で、直径38、48、56cmがあります」

金丸さん:「最初に56cmを手に入れておけば、38、48を買い足して2階建て3階建てとタワー化も可能なんです」
VAGUE:「下は焚火台で、上は鉄板として使えると!」
金丸さん:「そうそう。個人的にはやはり『鉄板として使いたい』というロマンが捨てきれません。男心をくすぐる極厚鉄板で、肉汁だらけの分厚い肉を焼いて食べる。そして食後の汚れは炎で焼き切ってしまう……。と豪快に楽しみたくないですか?」
●UNIFLAME「ファイアグリル」
VAGUE:「焚火好きの多くが“知ってる・持ってる・使ってる”、定番中の定番モデルです」
金丸さん:「使い勝手、多彩な用途、価格のすべてが高次元で両立され、私がその魅力をいまさら語る必要があるのか疑問ですが、キャンプ場のスタッフ目線では、“どうすれば壊れるのかわからない”ほどの耐久性が素敵です」

VAGUE:「15年ほど前に初めて買った焚火台ですが、ロストルが軽く反るくらいでめちゃ丈夫です。ごく普通のデザインで、飽きが来ないのってむしろ優秀ですよね」
金丸さん:「反ったら次回の焚火で裏返せばOK、ファイアグリルあるあるですね。若洲キャンプ場で貸し出すレンタル焚き火台の主力で、春夏秋冬ほぼ毎日稼働。かれこれ数百時間にわたって酷使されていますが、いまのところ一台も破損や廃棄がないんです。20年以上前に生まれたモデルですが、数え切れないほどの焚き火台がリリースされた今も、『迷ったらこれ』とオススメできる一台です」
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