電気自動車で悪路は大丈夫!? いま最新SUVタイプの高級EVがオフロード性能もアピールする狙いとは?
EVは内燃機関モデルに比べてオフロードとの親和性が高いと言える
EVがオフロードに向いている二つ目の理由は、パワートレーンの制御のしやすさです。
悪路走破性のカギとなるのは、タイヤのトラクション性能。タイヤのスリップを最小限に抑えて、トレッド面が路面で摩擦力を発揮できることが、悪路で前進するのに重要となります。

このタイヤの空転によって「スタック」といった事象が発生するわけですが、開発者は4WD車でこれを防止するために、『アクティブトルクスプリット』や『トラクションコントール』『テレインセレクト』などといった電子デバイスを開発したわけです。
それも、出力特性が一定ではない内燃機関をパワーユニットにしているからゆえといえます。
EVの4WDモデルで一般的なのは、前後ドライブシャフト上にそれぞれ1個ずつのモーターを使う“ツインモーター式4WD”です。ひとつのエンジンから、パワートレーンによって前後輪軸に駆動トルクを配分するのではなく、前輪を1個、後輪も1個のモーターで直接駆動させます。
プロペラシャフトが無くなることから大幅に軽量化できるだけでなく、駆動トルクのロスも減らせます。
さらに電気で動くモーターは電子制御デバイスとのマッチングが良く、各種センサーからの情報をECUが判断した後は、内燃機関よりもスピーディに、そしてよりバリアブルに制御することが可能なのです。また、センターデフを持つパワートレーンから解放されれば、1輪の空転で他の3輪が停止してスタックという事象もなくなります。
つまりEVの4WDシステムは、従来のどの4WDシステムよりも遙かに簡単で確実性の高いオフロードシステムを一般化させたということです。仮に4つのタイヤを1個ずつのモーターで動かすホイール・イン・モーター式4WDであれば、コストはともかくとして、さらに細やかな制御が可能になります。
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もし問題があるとしたら、それはグローバルサウスと呼ばれる国々で使う場合の、インフラ、耐久性、信頼性なのではないでしょうか。現状でランドクルーザーがカバーしているような僻地での使い方は、まだまだEVには厳しそうです。
ただしこうした4WDシステムは、間違いなくクルマの“真のクロスオーバー化”を進めるはずです。
アメリカやオーストラリアなどでは、都市部を少し外れると雄大な自然の中に投げ込まれるような状況はスタンダードといえます。そんなシチュエーションは現状多くのスポーツカーには厳しいと言えますが、タイカン4 クロスツーリスモのようなクルマであればクリアできます。これが軽トールワゴンであっても、セダンでも、同様のシステムと装備さえ採用すれば、マルチパーパスな走行性能を持つことになるはずです。
もちろん、整備された道路インフラでの使用を主体としたEVがなくなることはないでしょう。しかし悪路走破性は一部モデルの特権という概念はやがてなくなり、多くのEVにおいてオフロード性能はデフォルトの一機能になっていく気がしてなりません。
そして、多くの自動車メーカーが見据えているのは、地上を走るという点でボーダレスなEVを創ることなのではないでしょうか。
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