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なぜ日本のカーナビは使いやすい!? 欧米とはまるで違う複雑な住所事情が生んだ 独自の進化と「地図」の重要性とは

世界初のカーナビゲーションの実機も展示

 福岡県北九州市にあるゼンリンミュージアムにおいて、道路地図やカーナビゲーションの歴史に焦点を当てた企画展「クルマの地図 大集合!! ~68年の軌跡~」が9月3日まで開催されています。

 この企画展は、日本初の道路地図の誕生から、世界初のカーナビゲーションの実機、現代のカーナビゲーションに至るまで、知られざる「クルマの地図」の歴史を貴重な資料とともに紹介しているものです。

1981年に登場した「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」。世界初のカーナビゲーションとしてIEEEに認定されている
1981年に登場した「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」。世界初のカーナビゲーションとしてIEEEに認定されている

 この展示を見て実感するのが、日本の道路地図の独自性です。

 明治政府は日本全国の土地を中央集権的に管理するために地租改正を行いましたが、この時に全国の土地を測量して番地を割り振ったのが日本の地図の始まりとも言えます。

 しかし、当初は順番に割り振られていた番地も分筆など繰り返すうちに、いわゆる“飛び番地”が発生するようになります。そこでこれを整理するために1962年(昭和37年)に「住居表示に関する法律(以下:住居表示法)」によって、街区ごとに便宜上の番地を順番に付与し直すこととなりました。これを「街区方式」と呼びます。

 これは、おもに人口が密集している都市部を中心に行われましたが、現在もほとんどの地域で実施されていません。さらに言えば、番地に数字を使わず、固有名詞やアルファベット、上ル/下ル、甲/乙/丙を使うところも残るなど、日本の住所は複雑怪奇そのものとなっているのが現状です。

 そのため、住所から地図上で目的地を探すのは不可能に近いといいます。また住居表示のある場所にしても、地番は整理されて並んでいるものの、その場所にたどり着くのに市町村→街区を探し、そこから該当地を探す必要があります。

 それに対し、欧米ではすべての道路に通り名があり、その通りに接する番地が順番に振られています。これを「道路方式」と呼びますが、この方式だと巻末の索引から現在の住所と番地を探し出し、それに基づいてページを開いて通り名を見つけたら、自分がどの位置にいるかが地図上で即座に把握できます。つまり、通り目と番地さえわかれば自分の位置を見失うことが一切ないのです。

 ではどうして日本ではこの道路法式が行われなかったのでしょうか。

 それは道路を単に家と家、集落と集落を結ぶものとして捉えたため、地名は道路ではなく集落単位で名付けてきた歴史が背景にあるといいます。

 最近になって、日本でも一部地域で道路方式の導入が始まっていますが、今はまだ実証実験的に行われているに過ぎません。道路を基準に地名を名付けてきた欧米とは、ここが大きく違っていると言えます。

 この違いがカーナビゲーションでも日本と欧米とで案内方法に大きな差を生み、一方でこの複雑怪奇な住所事情だからこそ、目的地検索に役立っているとも言えるでしょう。

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