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世界に1台だけのポルシェがオークションに登場! 価格は高い? それとも妥当?「356“ボルギ・アバルト”」の本当の価値とは

アルゼンチンでフルレストアされた「356」

 先ごろ、世界に1台しか存在しないポルシェ「356“ボルギ・アバルト”」がCar&Classicのオークションに出品され、話題を集めました。

アルド・ボルギがフルレストアを手がけたポルシェ「356」(C)Car&Classic
アルド・ボルギがフルレストアを手がけたポルシェ「356」(C)Car&Classic

 イタリアのコーチビルダーであるアルド・ボルギは、アルゼンチンに移住し、当時は珍しかったアルミボディを専門とするカロッツェリアをオープン。アルファ ロメオの「2900“バッレーナ”」や「スパイダー6C2500“パキート”」、往年の名ドライバーであるジャン・ピエール・ウィミーユが乗ったシムカ-ゴルディーニ「T11」などを手がけたことでも知られています。

 そんなボルギの元に、1953年式のポルシェ「356」のフルレストア話が舞い込んできたのは1963年のこと。車両火災に遭った車両だったことからダメージは深刻で、修復は不可能かと思われました。

 ただ当時は、ポルシェが世界で唯一、アルゼンチンの(複数の)自動車メーカーにエンジンやトランスミッションなどを供給していた時代。それだけに、ハードウェアの調達は容易だったようです。

 ボルギは「356」のプラットフォームをベースにさまざまなスケッチや図面を描き、最終的には数年前、イタリアでロッコ・モットがポルシェ・アバルトのために製作したのと同様のボディをつくることにしたそうです。非常によく似たラインを持っているにもかかわらず、ボルギがデザインしたボディはイタリアのそれとは差別化されていたといいます。

 ボルギがフルレストアを手がけた「356」は、ポルシェ・アバルトがすでにヨーロッパのレースから撤退していた1965年に完成。アルゼンチンではレースに参戦することはありませんでしたが、オーナーは1972年までこのマシンを所有していました。

 そして1972年、ボルギはこのマシンを買い取ることに。ロサリオ、サン・ニコラス、サン・ペドロなどのレースに出場したほか、いくつかのラリーにも参戦。レース界やポルシェ界隈では知られた存在となりました。

●ボルギが手がけた「356」にふさわしい価格とは?

 1990年代に入り、ボルギはそんなポルシェ「356“ボルギ・アバルト”」のフルレストアを試みるも、車両がバラされた状態でしばらく放置。結局、現在のオーナーが完成させたそうです。

 先ごろCar&Classicのオークションに出品され、話題を呼んだのは同個体。どういう経緯で“アバルト”と名乗れるのか、筆者は個人的に疑問に抱きつつも……ボルギが手がけた世界で唯一のポルシェ「356」ゆえ、「相当、高値で落札されるのだろうなぁ」と思っていました。

 ちょっと検索してみたら、ベルギーのクラシックカー販売店「Mecanicimport」でも22万5000ユーロ(約3518万円)で販売していました。世界で唯一の車両ゆえ、同一車両ってことですね。つまりこの販売店がオークションに出品していたわけです。

 Car&Classicのオンラインオークションの入札は1万ユーロからスタート。最終的には13万7000ユーロ(約2142万円)まで上がりましたが、最低落札価格に到達せずに終わっています。

 今回の入札金額は、ベルギーのクラシックカー販売店が掲げていた販売価格より8万8000ユーロ(約1376万円)も安いものでした。販売店の価格が高過ぎるのか、オークションでの応札価格が低かったのか、皆さんはどちらだと思われますか?

Gallery 【画像】オークション界を沸かせた世界唯一のポルシェ「356“ボルギ・アバルト”」を写真で見る(11枚)
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