ETC2.0のおもなメリットは5つ

　ETCとは、高速道路の料金を無線通信によって自動的に決済するサービスです。

　すでにETCの利用率は90%を超え、高速道路を通行するにはなくてはならないアイテムとなっています。ですが、ETC2.0（DSRC）というものも徐々に増えてきており、2023年7月末時点でセットアップ件数は約997万台と、1000万台に届くところまできています。

　ETC2.0にすると得られるメリットとはどんなものがあるのでしょうか。また、カーナビと連動するとなにが起きるのでしょうか。

　遠出のドライブに欠かせないのが高速道路、そしてETCです。ETCの必要性は、料金収受の手軽さだけではありません。

　いま、高速道路ではETC専用の入口がどんどんと増えています。国土交通省は、2030年ごろまでに高速道路の決済をETC専用とするロードマップを発表しており、それにあわせて高速道路各社は着々と高速道路の入口のETC専用化を進めています。

　また、それにあわせてETCの搭載台数は増えており、2023年5月の時点で、セットアップ（車載機の登録）件数は累計で1億1600万台を突破！　なんと、約8200万台という国内保有台数を上回るほど。また、高速道路の利用者のうち、ETC利用率は2023年5月の時点で、94.3％を占めています。国の計画通りに、ETCの普及が進んでいると言っていいでしょう。

　つまりクルマを新しく手に入れたら、ETC車載機を搭載するのが当たり前になっています。

　では、実際にクルマを新しく手に入れ、ETCを搭載しようというときに気になるのは、「ETCが2種類あること」です。

　ひとつは、ただの「ETC」。そしてもうひとつが「ETC2.0」。そして、その価格は大手通販サイトを見ると、「ETC車載器」は約7000円からなのに対して、「ETC2.0車載器は」は約1万4000円以上という価格の差があります。

　この２つには、どのような違いがあるのでしょうか？

端的に言えば、「ETC」と「ETC2.0」の差は機能です。シンプルに高速の出入りをチェックするだけの「ETC」に対して、「ETC2.0」は、さらなる機能が追加されているのです。

　その追加された機能は「双方向通信」です。「ETC2.0」は、高速道路の約1700か所に設置された通信アンテナ「ITSスポット」と、情報のやりとりができます。これにより、クルマの現在位置が分かり、それに対してプラスアルファのサービスが提供できるようになったのです。

　具体的なサービスは5つ。「一時退出・再進入」「圏央道割引」「東海環状自動車道割引」「渋滞回避支援（ダイナミックルートガイダンス）」「安全運転・災害時支援」です。

「一時退出・再進入」というのは、高速道路から道の駅を利用するために、高速道路から一時的に出ても、追加料金なしというサービスです。これは全国23カ所で実施されています。

　次の「圏央道割引」と「東海環状自動車道割引」は、圏央道と東海環状自動車道を使って、東京や名古屋の中心部を迂回すると高速料金を割引するというもの。そして「渋滞回避支援（ダイナミックルートガイダンス）」は、現在地から最大1000㎞もの先の広範囲の渋滞情報を提供。情報を使って渋滞回避ができるのがメリットです。

　最後の「安全運転・災害時支援」は、走行中の高速道路の先に「渋滞末尾」や「落下物などの障害物」「事故多発地点」「急カーブ」があることを知らせ、雪や霧などの天候情報やトンネル内の渋滞情報を画像で提供します。また、地震などの災害発生も告知します。

　ここで重要なのは、こうしたETC2.0のサービスをすべて利用するには、画像を映し出すディスプレイが必須ということ。つまり、ETC2.0に対応したカーナビ装着が求められます。