【腕時計入門#03】スマホやタブレットと相性最悪? 磁気に何cmまで近づけてOK? 機械式時計に「耐磁時計」が増えている理由とは
●注目を集めている耐磁時計とは
腕時計は、水分や汗による劣化や衝撃による破損に気をつけて使用しなくてはなりません。
しかし、腕時計のトラブルで意外と多いのが磁気による不具合や故障です。デジタルクォーツを除くクォーツ式アナログ腕時計や機械式腕時計は、何も対策を施していなければほぼすべての時計が磁気に弱いといえます。
とくに機械式腕時計で磁気の影響を受けると「磁気帯び」の症状になるため注意が必要です。
磁気帯びとは、磁気にさらされた鉄が磁石のように磁力を発生する症状のことをいい、時計内部の動作が不安定になり、時間が早くなったり遅くなったりするだけでなく、歯車が外れてしまうこともあります。
機械式腕時計は多くの精密部品で構成されているだけでなく、磁気を帯びやすい部品を使っているので、磁気帯びの症状が現れやすいといえるでしょう。
機械式時計の磁気帯びは、メーカーでも対策を講じるようになり、その代表ともいえるものが「耐磁時計」です。
耐磁時計とは、ムーブメントを「軟鉄」で覆うのが主流ですが、ムーブメント自体に非磁性体を使う方法などがあります。
そして、近年では特に耐磁時計が需要を増しています。その理由について、国産時計メーカーのシチズン担当者は次のように話します。
「耐磁性の高い機械式腕時計が増えているのは、スマートフォンや、タブレット等の普及により、日常生活で磁力の影響が気になる場面が増えているからだと考えています。
スマートフォンや、タブレット等の磁⼒が発生するデバイスに囲まれた現代のライフスタイルにおいて、耐磁性が高い腕時計であれば、磁⼒による時計の時刻精度への影響を気にせずに安心して機械式の腕時計を使っていただけます」
近年のスマートフォンはスピーカー性能向上などの目的により、強力な永久磁石が使われています。
また、スマートフォンは手に持って使用することが多いことから、腕時計との距離が近いこともありダントツで磁気帯びしやすい発生源といえるでしょう。
そのため、長時間スマートフォンを使用する際は、腕時計を外すか、スマートフォンを腕時計と反対側の手で使用するのが無難です。

●耐磁時計にはどのようなものがある?
耐磁時計の代表作にロレックスの「ミルガウス」があります。これは1000ガウスという耐磁性を持つ時計で、磁気の影響を受けやすいヒゲゼンマイに耐磁性の強い「パラクロム」を採用することで、優れた耐磁性能を実現しています。
ほかにも、トップクラスの耐磁性能を誇る機械式腕時計として、オメガやチューダーが採用するムーブメントの「マスタークロノメーター」規格に準拠したものがあげられます。
国産メーカーでは、シチズンの「シリーズエイト」が耐磁性に注力したモデルとして登場しています。
「シリーズエイト」は2008年にデビューし、自分らしいスタイルと心地よさを求める30代の都市型男性をターゲットにしていました。
そして、2021年には強力な耐磁性能を持った時計として再デビューを果たしました。磁気を発する機器に1cmまで近づけても性能を維持できる第2種耐磁(16,000A/m)をクリアしています。
シリーズエイトを耐磁時計としてラインナップした理由について、前出の担当者は次のように話します。
「シリーズエイトは、オンオフ問わず日常的にお使いいただける実用性の高い機械式腕時計にしたいと考えました。 実用性を高めるひとつとして、精度を維持することがあります。外乱の要因をなるべくなくしたいため、耐磁性能はより安心して使えるように耐磁時計としてラインナップしました」
また、耐磁時計はケースが厚くなりやすいとされていますが、シリーズエイトでは4.1㎜の薄型のムーブメントを採用しているのも特徴です。
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近年需要を増している耐磁時計ですが、今後さらなるモデルの登場もあるのでしょうか。シチズン担当者は次のように話します。
「今後も商品コンセプトに応じ採用を検討していく予定です。現在、シリーズエイト以外にも『プロマスター』から第2種耐磁の機械式ダイバーズウオッチを発売しています。
時刻精度の保持率の高い機械式腕時計である耐磁時計は今後も市場ニーズがあると考えております」
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