人気カクテル「ソルティドッグ」の意味は? 意外と知らないマメ知識やスマートな飲み方とは
●ソルティドッグの塩は何のため?
バーやレストランで飲みやすいことやさまざまな飲み方が楽しめて人気なのが、イギリス発祥のカクテルである「ソルティドッグ」です。
ソルティドッグはウォッカベースのカクテルで、グレープフルーツで割ることにより独特の酸味と苦味が楽しめるだけでなく、ウォッカ特有の爽快感も堪能できるので注文される人も多いです。
アルコール度数は13から15%ほどでウォッカベースにしては度数が低めで、その分グレープフルーツの割合が高いので飲みやすいカクテルといえるでしょう。
ソルティドッグはイギリスで1940年頃にジンベースのカクテルとして誕生し、1960年頃にアメリカに渡った際にはウォッカベースのカクテルとして広まります。

もともとはジンをベースに作られていたカクテルということもあり、お店によってはジンベースで提供されるところもあります。
ほかにも、通常のカクテルと異なり、シェイカーを使用せずにマドラーでかき混ぜるだけで作れることもあって世界的に人気のカクテルとなりました。
名前の由来は、ソルティドッグはイギリス海員たちのスラングで「船の甲板員」のことを指し、船上で塩まみれになりながら働く船員を連想させることから名付けられたといわれています。
そして、ソルティドッグ最大の特徴は、結晶のような塩の粒をグラスの口周りにつけて提供されることです。このようなカクテルを「スノースタイル」といい、ソルティドッグのほかではマルゲリータなどに用いられます。
ソルティドッグの塩の役割や味わい方について、日本バーテンダー協会の担当者は次のように話します。
「ソルティドッグの塩はグレープフルーツの甘みを引き立てるもので、スイカに塩を振って食べるような感覚に似ています。
また、グレープフルーツは時期や産地によって甘さが変わるため、その時々で自分の好きな風味で味わえるように塩を舐める量を調整するといいでしょう。
ソルティドッグはさっぱりとお酒を飲みたい時にぴったりで、初夏から秋の入口くらいがちょうどいい時期といえます」
もともと苦味の強いグレープフルーツを使用しているので、周りの塩を舐めることで甘みを引きだしてさらに飲みやすくなる仕組みです。
もちろん、つけられている塩も食塩というところはほとんどなく、スノースタイル専用の「マルガリータソルト」を用いています。
マルガリータソルトは、食塩に比べても結晶の粒が大きく味わいがマイルドなので、ソルティドッグとの愛称も抜群です。
そんな、凝った魅力のあるソルティドッグですが、グラスの周りの塩もひと手間加えてつけられています。
●ソルティドッグを楽しみながら飲む方法は
まんべんなく塩をつけるには、グラスの口周りにレモン果汁などを塗っておいて湿らせて、あらかじめ塩を盛っておいた皿に逆さに載せて付着させます。
あとは余分な塩を落とせば、スノースタイルのグラスが完成する仕組みです。
ソルティドッグのようなスノースタイルのカクテルは、見た目の美しさだけでなく飲み方でも楽しめます。ソルティドッグの飲み方について、前出の担当者は次のように話します。
「基本的には、グラスの周りについた塩を舐めながらお酒を流し込むスタイルがオーソドックスで、少しづつグラスを回転させながら飲むのがいいでしょう。
つけられた塩はすべて舐める必要はなく、塩気が必要ないなら舐めなくても構いません。その場合は、1口目を飲んで塩のない場所から2口目を飲むか、ハーフスタイルというグラスの半分にしか塩が塗られていないものを飲むことをおすすめします」

そもそも塩が必要ない場合はバーテンダーに告げるのもひとつの方法で、その際は「ブルドッグ」と告げることをおすすめします。
ブルドッグとはソルティドッグの塩なしのカクテルのことを指し、元々ブルドッグはしっぽが短いこともあり「テールレスドッグ(しっぽのない犬)」と表現されることがありますが、それにならって名付けられたといわれています。
さらに、ソルティドッグを飲む際の注意点については次のように話します。
「塩を全部舐めるのは見栄えとしてあまり良くありません。少し残しながら飲むといいでしょう。また、グラスの塩を手に取ることもいい印象は与えず、グラスから直接飲むようにします。
手で取ると、カウンターに塩が落ちてしまうこともそうですが、グラスに塩自体が落ちることもあるので風味が変わってしまう恐れがあります」
スノースタイルのカクテルは露骨にグラスを舐め回すと下品に見えるので、さり気なくスマートに飲むよう心がけましょう。
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ソルティドッグは、気分や雰囲気で味わいを多様に楽しめる珍しいカクテルです。
後味もスッキリしているので飲みやすいですが、アルコール度数が高いウォッカベースなので飲みすぎには気を付け、マナーを守って楽しみましょう。