名車“デイトナ”がモチーフ!? フェラーリが新たな最高峰モデル「ドーディチ チリンドリ」初公開! 新開発「自然吸気V12」を積む意欲作の実力とは
「可能な限り自然吸気V12を守る」という強いメッセージ
さて、いよいよ肝心のメカニズムを見てみましょう。

冒頭に記したとおり、エンジンはフェラーリ伝統の自然吸気V12とされました。前作「812スーパーファスト」、あるいは限定車「812コンペティツィオーネ」の登場の際などには「これで最後かもしれない」といわれていたわけですが、フェラーリは「可能な限り、自然吸気V12を守りたい」と、今回、改めて表明しています。
何しろ、初めてフェラーリの名を冠したモデルである「125S」の心臓は、排気量1.5リッターのV12エンジンでした。これぞ、まさにフェラーリのDNA。しかも、「125S」はふたり乗りのFR車だったのですから、「ドーディチ チリンドリ」は伝統の正統的継承車といっていいでしょう。
「エンツォ・フェラーリ」に最初に積まれた“F140”型エンジンは、今回、広範囲に改良が加えられた“F140HD”型に進化しています。ピストンを2%、クランクシャフトを3%軽量化し、回転質量が40%も低減できるチタン製コンロッドを採用するなど、F1テクノロジーをも駆使して細部にまで手が入れられたことで実現したのは、9500rpmという驚異的なレブリミット。これらの効果で最高出力は830cv、最大トルクは678Nmにも達します。
フェラーリエンジンにとって、そうした出力と同じく、あるいはそれ以上に大事なサウンドの面でも、吸排気系の入念なチューニングや、各バンク6in1の等長エグゾーストマニホールドの採用等々によって音質向上を実現。さらに、室内に響くサウンドについても吸気ダクトの改良、レゾネーター位置の変更などにより、ピュアで豊かな音色を響かせるとうたわれています。
トランスミッションは8速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)。変速時間が従来より30%短縮されたこともあり、加速時の際には心地いい伸び、瞬時のシフトアップを経ての再びの回転上昇によって、この上ない快感に導いてくれそうです。
実は筆者(島下泰久)は、実車と対面した際にこの加速時のサウンドだけ聞くことができたのですが、それはまさにミュージックと呼ぶべき荘厳さだったのでした。
●アジリティ向上を主眼にシャシーを新設計
続いては、シャシーを見てみましょう。先に「ドーディチ チリンドリ」はラゲッジスペース容量が削られた、と記しましたが、それにはホイールベースが20mm短縮されたことの影響が大きいに違いありません。そう、「ドーディチ チリンドリ」の車体は前作「812スーパーファスト」の発展版ではなく、アジリティ向上を主眼に新設計とされているのです。
車体がオールアルミニウム製なのは従来どおりですが、前後サスペンションタワーやAピラー、Bピラーなどに多くの新しい鋳造部品を使うことで、軽量化と高剛性化を図っています。ボディのねじり剛性は、従来比15%向上しているということです。
サスペンション形式は前作と変わりません。しかしながら、左右輪を独立制御できるようになった4輪操舵機構、「296GTB」で初めて使われたブレーキ・バイ・ワイヤを用いた“ABS Evo”の導入、最新の“SSC(サイドスリップコントロール)8.0”などによって、ポテンシャルが大幅に引き上げられています。
以前、フェラーリ本社テストコースであるフィオラノで試した「812スーパーファスト」は、それまでのV12 FRモデルとは次元の異なるコントロール性で大いに魅了されました。800psのマシンで、どんどんアクセルを踏んでいけて、スライドコントロールを楽しめる快感。今も記憶は鮮明です。新しい「ドーディチ チリンドリ」の走りは、果たしてどんな高みにまで達しているのでしょうか?
* * *
フェラーリはこの「ドーディチ チリンドリ」について、「ごく一部の限られた人に向けたモデルだ」と公言しています。それは、ハイパフォーマンスを支配下に置けるスキルを持つだけでなく、情熱的でありながらも控えめ。ラグジュアリーの意味を知り、そして何よりフェラーリの歴史と伝統を深く理解している人……といった想定のようです。
価格はイタリア本国の場合、ベルリネッタが39万5000ユーロ(約6654万円)、スパイダーが43万5000ユーロ(約7327万円)。いずれにせよ、選ばれし人にしか手の届かないモデルであることは間違いありませんね。
もちろん、日本にもやってきます。正式呼称は「ドーディチ チリンドリ」ですでに決定済み。発表まではそれほど待たされることはないようですよ。
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