復活した“生きた化石”の印象は? トヨタ「ランドクルーザー70」はなぜ40年も生産され続ける? 「見た目で選ぶ」と痛い目に遭うって本当!?
「ランドクルーザー70」がなければ生きていけない人がいる
「最終的には、ロバか『ランクル70』になるんだよね」
先日、過酷な土地に足を運んだ際、現地に住んでいる人と雑談する中で、そんな話題で盛り上がりました。
日本で暮らしているとなかなかイメージできませんが、世界にはまだまだ環境の劣悪な、過酷な道が存在します。あまりにも過酷すぎると、そこを通れる車種も限られてきます。

そんな場所で活躍するのが、「ランクル70」ことトヨタ「ランドクルーザー70」。極地になればなるほど他のクルマは見かけなくなり、「ランクル70」がないのであれば、荷物を運ぶ手段はロバしかなくなる、というワケです。
そんな「ランクル70」が、昨2023年末から待望の日本販売を再開しました。日本でも8年ぶりに新車で購入できるようになったのです。
それにしても、このクルマがデビューしたのは1984年ですから、もう40年も前のこと。そこからフルモデルチェンジなしに生産が続いているのですから、まさに“生きた化石”のような存在です。ルックスも見るからにクラシカルですもんね。
日本市場向けの「ランクル70」は、2004年にいったん販売を終了。その後、2014年に1年間の期間限定で再販されました。そして今回、8年ぶりの復活となったのです。
いまやトヨタの「ランドクルーザー」シリーズは、「ランクル70」以外にも300系や250系がラインナップされており、それらは見た目もイマドキで快適性も「ランクル70」をはるかに凌駕しています。
しかしそれでも、「ランクル70」が高い人気を獲得しているのはなぜなのでしょうか? 実はそこには明確な理由はあります。
「ランクル70」はなんといっても悪路走破性が高く、構造がシンプルで壊れにくく、また、万一、壊れても修理を容易におこなえる、といった美点を備えています。
300系や250系も悪路走破性は高く、もちろんトヨタ車だけあって耐久性もハイレベルです。しかし、万一壊れたときの修理のしやすさと修理費の安さは、どうやっても「ランクル70」には勝てないといいます。
電子系部品のトラブルはしっかりとした設備が整う工場でなければ診断できず、交換用のパーツも入手しなければなりません(それが過酷な地では難しい)。しかし、「ランクル70」なら設備の整っていない修理工場でも直せる上、電子部品の使用量は最小限。おまけに、過酷な地でもたくさん走っているクルマなので交換部品も調達しやすい、というわけです。
まさに世界中には、「このクルマがなければ生きていけない」という人がいるのです。「ランクル70」はまさに、そんな人たちのためにつくり続けられているわけです。
●電子制御系もすでに高い信頼性を獲得した技術だけを導入
今回、日本市場に8年ぶりに復活した新型「ランクル70」は、2014年に再販されたモデルと比べて大がかりな改良が加えられています。
エクステリアでは、顔つきが変わったほか、ボンネットの位置が高くなりました。また、電子制御デバイスも追加され、衝突被害軽減ブレーキなど先進安全装備も加わりました。さらに日本市場向けは、最新のディーゼルエンジンが搭載されています。
とはいえ、トヨタの言葉を借りれば、こうした改良も「これからも70系をつくり続けるために、必要な部分にだけ最低限の手を入れただけ」とのこと。環境対応や安全装備はいまや世界的に求められるものであり、それらに対応するためだけの改良だったというわけです。
その好例が、高くなったボンネット高でしょう。最新エンジンは従来のボンネット高だと収まらなかったことと、歩行者保護要件をクリアするために変更されたといいます。改良された部分に必ず理由があるのも、「ランクル70」らしいところかもしれません。
ところで、2014年に再販されたモデルに備わっていた電子制御による走行支援システムは、ABSだけでした。しかし新型には、スタビリティコントロールまで導入されています。
これも法規対応のためですが、ダウンヒルアシストなどを含め、新型「ランクル70」に盛り込まれた運転支援のための電子制御機能は、これまで他車に搭載されたことがあるものばかりです。すでに高い信頼性を獲得した技術だけが採用されているのです。
「ランクル70」で大切なのは新しいチャレンジではなく、何よりも信頼性というわけです。子細に見れば見るほど、「ランクル70」に求められているものは一切失われていない、考え抜かれた商品改良であることが分かります。
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