世界に17台だけ! 超貴重なスーパーカーがオークションに登場!! “王族”が発注したベクター「W8」は「取引価格が非公表」のワケあり車両
航空技術を盛りこんだ世界に17台だけのアメリカンスーパーカー
アメリカ発のスーパーカーであるベクター「W8」は、ベクター・モーターズが販売し、ベクター・エアロモーティブ・コーポレーションが製造していたモデルです。

現存するエアロモーティブ社は燃料ポンプメーカーですが、エアロとオートモーティブを組み合わせた造語を社名に使っており、速そうな雰囲気が漂っています。
もっとも、エアロはエアロスペースエンジニアリングの略であり、宇宙航空技術レベルの素材や技術を活用する、という意味合いがあったそうです。
創業者であるジェラルド・ウィーガードは、高校時代、自動車デザインコンテストで優勝。奨学金を得て大学で自動車デザインを学んだ人物です。
大学卒業後は、コンサルタントとしてクライスラー、フォード、ゼネラル・モーターズなどで活動。やがてポルシェ、フェラーリ、ランボルギーニなどに対抗するアメリカ発のスーパーカーを生み出すべく、1971年にヴィークル・デザイン・フォースという会社を立ち上げました。
1972年には、ロータリーエンジン搭載のコンセプトカー「ザ・ベクター」を構想し、アメリカの老舗自動車雑誌『モータートレンド』の表紙を飾ります。「ザ・ベクター」は1976年の「ロサンゼルスモーターショー」で実車が披露されましたが、結局、生産されることはありませんでした。
その後、1977年に体制を変更し、ベクター・モーターズとベクター・エアロモーティブ・コーポレーションが誕生します。
1978年には、ロータリーエンジンではなくツインターボエンジンを搭載した「W2」を初披露。なんとこのプロトタイプは10万マイルを走破したそうで、テレビドラマやテレビCM、テレビゲームにも登場しています。
「W2」の初披露から10年以上の歳月が流れた1989年には、「W2」を進化させた「W8」を発表。こちらはなんとか市販へとこぎ着けました。
当時の最新・最先端の宇宙航空技術を盛り込み、アメリカ運輸省が定める衝突安全性も排ガス規制も満たしていた「W8」。セミ・アルミモノコックシャシーはアルミ製ハニカム構造のフロアパンを持ち、航空機にも用いられる5000本のリベットがエポキシ樹脂で接着されていました。またボディに、軽量なカーボンファイバーとケブラーを贅沢に使用していたのも特徴です。
搭載されるエンジンは、ゼネラル・モーターズの6リッターV8エンジンがベース。そこに、ロデック製のエンジンブロック、エアフロー・リサーチ製の2バルブシリンダーヘッド、キャレロ製のスチールコンロッド、ローコンプタイプの鋳造ピストン、ギャレット・エアリサーチ製の水冷式ターボ(2基)を搭載するなどチューンナップが図られました。
それらにより、最高出力は643ps/5700rpm、最大トルクは87.5kgm/4900rpmを発生。ちなみにトランスミッションには、3速ATが組み合わされています。
●最低落札価格に満たずオークションは流れたはずが……
そんなベクター「W8」が、先日、アメリカのオンラインオークション「BRING A TRAILOR」に出品されました。
当該車両は1990年に販売されたシャシーナンバー001で、サウジアラビア王室の皇太子のひとりがオーダーしたものだそうです。
同年4月、「ニューヨークモーターショー」でお披露目された後に引き取られ、スイスを経てロサンゼルスの別荘にコレクションの1台として並んでいたのだそうです。
1999年には、現オーナーの配偶者が購入。2018年にミシガンで開催されたコンクールデレガンスにてクラス優勝を飾った車両だといいます。
ホイールだけはオリジナルではなく、かつてベクター・エアロモーティブ・コーポレーションに在籍していたエンジニアが、同様のデザインで16インチから17インチに大径化したものを装着しています。
オークションの方は74万ドルまで入札があったものの、いわゆる最低落札価格に満たず“流れ”ていました。
ただしコメント欄を読む限り、金額こそ明かされてはいませんが、オークション終了後に車両の販売が決まったそうです。出品者と入札者による個別の話し合いによって販売価格が決定……日本の自動車オークションで“談合”と呼ばれる行為があったようです。
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なおベクター「W8」は、インドネシアのメガテク社(親会社は当時ランボルギーニを買収したセトコ・グループ)がベクター社を敵対買収した1993年までに、プロトタイプ2台、市販車17台が生産されました。なお、シャシーナンバー13は、日本に存在しているとのウワサもあります。
この貴重な3速ATで乗れるこのアメリカンスーパーカーは、生産台数の少なさから滅多に市場に出回ることはありません。今回の“談合”では一体いくらで取引されたのか、非常に気になるところです。
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