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「カウンタック」のデザイナーが手がけた幻の作品 “世界に6台だけ”のフィアット「工場見学用バス」はいくらで落札された?

工場見学に特化した機能的デザイン

 イタリア・トリノにあるフィアットの工場を見学に訪れるビジターのために特注されたバスが、オークションに出品されて話題を集めました。ランボルギーニ「カウンタック」などをデザインしたことでも知られるマルチェロ・ガンディーニが手がけたというこのモデル、果たしていくらで落札されたのでしょう?

オークションサイトに出品されたマルチェロ・ガンディーニがデザインしたフィアット工場の見学用バス(C)Catawiki
オークションサイトに出品されたマルチェロ・ガンディーニがデザインしたフィアット工場の見学用バス(C)Catawiki

 1975年のトリノ産業車両ショーで披露された「ビジターズバス by ベルトーネ」は、フィアット「850T」をベースに開発された車両です。

 車名にあるとおり、デザインを担当したのはカロッツェリアのベルトーネで、“工場見学用バス”という明確なコンセプトに対し、徹底的に機能が追求されています。

 小回りの利くボディサイズはベースモデルゆずりですが、ドア開口部を広く取ることで快適な乗り降りを実現しています。

 見学者が良好な外部視界を確保できるよう大型ガラスを装着しており、全席が独立式。天井高にもゆとりがあるので車内は広々としており、天井までもがガラス張りになっています。

 最も特徴的なのは、車体を一周する“メタルストリップ”。これは単なるプロテクターではありません。ベルトラインを視覚的に低く見せる効果をもたらし、さらに前後の座席エリアを区分けすることで、ゲストである見学者の存在を際立たせる視覚的な演出が施されています。

 つくづく優れたデザインの妙味だな、と思っていたら、ベルトーネでペンを握ったデザイナーは“あの”マルチェロ・ガンディーニでした。

 最初のオーナーは当然フィアット社で、トリノのナンバープレートを装着。その後、経緯は不明ですが、個人の手に渡って現在に至ります。

●「幻のガンディーニ作品」のオークション結果が意味するものとは

 ヨーロッパのオークションサイト・Catawikiに出品された当該車両は、2018年にイタリアからスイスへと渡り、2024年にイタリアへ戻ってきたものです。

 エンジンやトランスミッションなどのハードウェアは一度、レストアされた形跡があるようですが、しばらく個人保管だったゆえ、この先再度、整備が必要だろうとのことです。

 インテリアについては、あえてレストアせず軽微な修繕にとどめられている模様。旧車のレストアには、新車のような状態に戻すもの、内外装の経年劣化を放置して走りに関わるメカニカルな部分だけ手を入れるものなど、オーナーによってさまざまなやり方があります。

 その点、当該車両のインテリアは、現存する中では珍しいフルオリジナル状態が保たれています。

 なお、クラッチレスのトランスミッションを搭載していることですが、整備はひと筋縄には行かない気配を感じます。実際のところ、どうなのでしょう?

 当該車両、予想落札価格は10万~12万ユーロ(約1628万円〜1953万円)と見積もられていました。世界に6台しか存在しない“ガンディーニ作品”とあってオークションは白熱するかと思いきや、ふたを開けてみると予想を大きく下回る、5万9000ユーロ(約960万円)で落札されました。

 迫り来る不景気に向けて富裕層の財布のひもが引き締まりつつあるのか、単に掘り出しモノだったのか……いずれ答え合わせができることでしょう。

Gallery 【画像】「えっ…!」巨匠ガンディーニがデザイン! これがフィアットの工場見学用“おしゃれバス”です(22枚)
「カチッ」と日常をオフに。至福の時を刻む、マインドフルネス

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