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「えっ、コレぜんぜんミニじゃない!」アテネ五輪で実際に使用 その後日本でもお披露目された全長6mの“ミニ・リムジン”って何?

リアにはジャグジーのついたVIP仕様

 MINI(ミニ)といえば、「サー」アレック・イシゴニスが設計した名車、クラシックMiniのデザインを現代に継承したブランドです。コンパクトセグメントにプレミアムという価値観を提供して成功した最初のブランドともいえます。

2004年のアテネ五輪の際、VIPを運ぶリムジンとして登場した「ミニXXL」
2004年のアテネ五輪の際、VIPを運ぶリムジンとして登場した「ミニXXL」

 2001年に誕生、2002年から日本展開が始まったミニも、いまは4世代目に進化。当初1車種からはじまったラインナップも、現在では「ミニ・クーパー3ドア」「ミニ・クーパー5ドア」「ミニ・クーパーコンバーチブル」「ミニ・カントリーマン」「ミニ・エースマン」にまで拡充されています。さらにガソリン・ディーゼルモデルに加えBEVも登場、選択肢を増やしています。

 現在もっとも大きなミニであるミニ・カントリーマンは、全長4445mm。かつてよく聞かれた「ミニなのにぜんぜんミニサイズじゃない」という声も、もはや耳にすることもなくなったほど、ミニシリーズも大きくなっていきました。

 そんなミニですが、かつて初代ミニをベースにした全長6mのストレッチリムジン「ミニXXL」というモデルが存在していました。

全長6m! という「ミニXXL」。もちろんワンオフのモデルだ
全長6m! という「ミニXXL」。もちろんワンオフのモデルだ

このモデルはBMWドイツ本社がアメリカ・ロサンゼルスのコーチビルダーに製作を依頼したもので、初代ミニ・クーパーSがベースとなっています。名前の「XXL」は、もちろん洋服の大きいサイズをあらわすXXLから取っています。

 全長6mにまでストレッチされたボディはリアが4輪に増やされ、計6輪で支えられています。

 エンジンには当時のジョン・クーパー・ワークスチューニングキットが装備され、パワーとトルクは210馬力・245Nmと、ノーマルのクーパーSに比べて40馬力・25Nmアップしています。

 後席は本革シートで、フロントキャビンと完全に隔離する格納式のフラットスクリーンを備えています。またテレビ、DVDプレーヤー、ミニバーなどが設置され、本格的なリムジン仕様となっているのが特徴です。

 最大の特徴は、リア部分がジャグジーになっているところ。リア部分のルーフトップを取り外すとジャグジーがあらわれます。当然ですがこのジャグジーは完全停車時にのみ使用できたといいます。

 このミニXXLは、2004年のアテネ・オリンピックの際、実際にVIPを運ぶリムジンとして使用されました。

 オリンピック終了後はヨーロッパ諸国を回り、オーストラリアを経て2005年には日本にもやって来ました。そして横浜で一般公開された後、当時からおこなわれていたファッションショー、「東京コレクション」にも登場しました。

※ ※ ※

 当時、このXXLは「THINK BIG!」というテーマでイベントに登場。これは「小さいことにとらわれず、大きい夢を抱いて刺激的に生きる」というもので、ミニが常識にとらわれない、自由な発想で常に新しいものを生み出すブランドであることを実証するというものでした。

 そうしたプロモーションは大成功。今につながるミニブランドの躍進につながっています。
 
 世界中で注目されたミニXXLですが、あくまでマーケティング活動の一環として特別に製作されたものだったために、結局、市販や特別注文生産はされませんでした。

Gallery 【画像】「えええええっ」目の錯覚!? 長〜い「ミニ」を写真で見る(11枚)

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