自然吸気V12の“天使の歌声”を生で味わえる! フェラーリ新型「12チリンドリ・スパイダー」乗ってわかった“クーペとの違い”とは
“スパイダー”ならではの心地よさ
こうした美しいエンジン音は、ルーフを開くことのできるコンバーティブルとなったことで、よりダイレクトに楽しめるようになりました。クーペではフィルター越しに聞こえていたものが、全身で体感できるようになったと言ってもいいでしょう。

しかも、このなんとも贅沢なサウンドを、いろいろなスタイルで楽しめるのも、クーペにはないスパイダーだけの魅力です。
たとえばルーフを開け放つと、美しいエンジン音を全身で浴びるようにして堪能できますが、そんなときにも決してうるさいと思えないのは、雑味成分が極端に少なく、常に澄んだ音色を響かせてくれるからでしょう。
ルーフを閉めた状態でも、キャビン後方のリアウィンドウを上下させるだけで、エンジン音の音色や音量は微妙に変化します。また、リアウィンドウを上下させると、キャビンに巻き込まれる風の量もあわせて変化しますが、リアウィンドウを上げきった状態が風の巻き込みもいちばん少なくなるかといえば、そうともいえないようです。
12チリンドリ・スパイダーのエアロダイナミクスを担当したエンジニアによると、オープン状態でリアウィンドウを完全に上げると、キャビン内の気圧が相対的に低くなって、後方から流れ込む風の量がかえって増えるそうです。だからといってリアウィンドウを完全に降ろせばやはり風の巻き込みは増えます。
というわけで、意外にも中間付近のどこかに風の巻き込みがもっとも小さくなるポイントがあるとのこと。もしも、12チリンドリ・スパイダーにもう1度試乗する機会があれば、是非ともこれを試してみたいと思っています。
それにしても12チリンドリ・スパイダーで味わうオープンエア・ドライビングの爽快感は格別でした。試乗当日のポルトガルはよく晴れ上がっていたうえに、気温も16度ほどと決して暑くなく、頬をなでる優しい風に心が癒やされるような気持ちになりました。この辺はオープンエアドライビングの醍醐味といって間違いありません。
また、たとえ気温がもう少し低くなっても、強力なヒーターとシートヒーター、そして乗員の首元にシートから温風を送ってくれるネックウォーマー機能などを完備しているので、真冬でもほとんどガマンは不要と思われます。
乗り心地やハンドリングは、クーペとの差をほとんど感じませんでした。実は、12チリンドリ・スパイダーのサスペンション・スプリングやダンパーは仕様も含めてクーペ用とまったく同じとのこと。実際のところ、乗り心地がわずかにソフトになったかなと思う程度で、タイヤのグリップ感が掴みやすいハンドリングを含め、クーペとの差は事実上、ないといっていいでしょう。
その理由のひとつに、12チリンドリのボディ構造がアルミ製スペースフレームで、ルーフを切り取った影響がモノコックほど大きくないことが挙げられます。このため、クーペに対する車重増は60kgと最小限に留められました。
それでもコンバーティブル化に伴って懸念されるボディ剛性の低下に対しては、サイドシルの強化によって補ったといいます。
実際に試乗していても、ルーフを閉めた状態で大きな段差を乗り越えたときにインテリアのどこかから軽いギシギシ音が聞こえた程度で、ボディ剛性が変わった影響はほとんど感じ取ることができませんでした。
また、リトタクタブル式のメタルトップを閉めれば、高速走行でもクーペ版と変わらない静粛性や耐候性が得られることはいうまでもありません。
つまり、コンバーティブル化で失ったものは、ほとんど無視できる程度で、それよりもオープンエアドライビングで得られる爽快感のほうがはるかに大きいのが新型12チリンドリ・スパイダーといえるでしょう。
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