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“アーバンSUV”という新たな概念を築いた先駆者! 世界のSUVブームを生んだトヨタ初代「ハリアー」とは

都会で快適に使えるSUVを最初に示した初代「ハリアー」

 今や世界の自動車ブランドの主力となっているのがSUVです。これほどまでにSUVの需要が高いのはさまざまな理由がありますが、この世界的なSUV人気は、都市生活にも適した快適なSUVという新たな価値観を示した、ある日本車の登場がキッカケだったと言えます。

 それが1997年にトヨタから登場した初代「ハリアー(海外ではレクサスRX)」でした。

トヨタ初代「ハリアー」
トヨタ初代「ハリアー」

 現在販売されているSUVの多くは、オンロードでの快適性や性能を追求したモデルが中心です。全高が高く、最低地上高も大きめに取られているスタイリングは、悪路走破性が高そうな印象を与えますが、実際には都会的な使い方を意識した“アーバンSUV”が主流となっています。

 しかし、1997年当時にSUVのようなスタイリングを持つクルマといえば、オフロード走行を前提としたクロカンモデルが中心でした。オンロードでの快適性はあまり重視されておらず、デザインも無骨でアウトドア感の強いモデルが主流だったのです。

 そうした時代に登場したのが初代ハリアーでした。全高と地上高が高いSUVらしいスタイルながら、都会に溶け込む高級感のあるデザイン、質感の高いインテリア、そしてレクサスブランドにもふさわしいサルーン並みの静粛性と乗り心地を実現していました。この背の高いスタイルで、都市に似合い、コンフォート性能を高次元で備えていたクルマは、それまで存在していなかったのです。

 ボディサイズは全長4575mm×全幅1815mm×全高1665mmと、都市部での取り回しにも配慮された絶妙なプロポーションを備えていました。

 搭載されたパワートレインには、最高出力140馬力の2.2リッター直列4気筒エンジンに加え、上級モデルには220馬力を発生する3リッターV型6気筒エンジンも設定。いずれも自然吸気で、特にV6は静粛性とスムーズな加速性能に優れ、まさに“サルーン級”と評される快適な走行性能を支えていたのです。

 高級クロスオーバーSUVという新しいコンセプトを打ち出した初代ハリアーは、高いアイポイントによる優れた視認性や、広々としたラゲッジスペースなどの利便性と、快適性を両立させたことにより、多くのユーザーの支持を集めました。

 このヒットにより、世界の自動車メーカーたちは「オンロード性能が高く、高級感のある都市型SUVは売れる!」という事実に気付き、やがてポルシェ「カイエン」やBMW「X5」などの高級SUVが続々と誕生していきます。

 その後、高級路線に限らず、よりコンパクトなクラスにも“都市型”クロスオーバーSUVが広がりを見せていきました。オンロード中心のカーライフで、全高の高いSUVを使いこなすというスタイルは、まさに初代ハリアーが作った流れだと言えます。

 今では多くの人が「売れるジャンル」としてSUVを思い浮かべると思いますが、もしもトヨタ初代ハリアーのヒットがなければ、こうしたSUVブームは存在しなかったかもしれません。それほどまでに自動車史においてターニングポイントとなった一台なのです。

Gallery 【画像】世界的なSUV人気はこのクルマから始まった!? トヨタの歴代「ハリアー」を写真で見る(30枚)

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