“有名なスクーターブランド”が手がけた貴重な4輪車がオークションに登場! 66年前に製造された希少なベスパ「400」の気になる落札価格とは?
イタリアのベスパながら4輪車はフランスで生産
スクーターで有名なベスパが、かつて4輪車も手がけていたことをご存知でしょうか? そのうちの1台、1957年から1961年まで製造されたベスパ「400」が、アメリカのオークションサイト・Bring a Trailerに出品されて話題となりました。

ベスパ「400」は、イタリアのピアッジオが設計し、フランス・フルシャンボーにあるACMAの工場で製造されました。全長3m未満という超コンパクトサイズで、同年デビューしたフィアット「500」より約13cm、1959年発売の「ミニ」より約20cm短いサイズでした。
製造を担当したACMAは、1950年11月25日にフランス・ディジョン近郊のフルシャンボーにAteliers de construction de motocycles et accessoires(モーターサイクル・アクセサリー製造工場)として設立。1951年2月に20名の従業員によって生産を開始し、急成長を遂げました。
1953年4月には、10万台目となるベスパのスクーターが工場から出荷され、1954年には15万台目のスクーターが完成。1958年には従業員数が約2800名まで増加し、フルシャンボーの町に200戸の住宅や幼稚園、小学校の建設が必要となるほどの影響を与えました。
そんなACMAが世に送り出したベスパ「400」は、コンパクトながら実用性にも配慮されていました。
後方ヒンジドアによって乗り降りが容易で、ふたつのシートの後方には小さな荷物スペースも確保。フロントのボンネットフード下にもラゲッジスペースが備わります。
さらに興味深いのは、シート間に小さなクッションを配置することで、一時的に3人乗りも可能だった点です。フロントエンジンではなくリアエンジン車のため、足元スペースを活用できたのです。
リアに搭載された393cc(一部資料では400cc)の2気筒2ストロークエンジンは、最高出力14馬力を発生。最高速は約80km/hをマークしました。0-64km/h加速は23秒とのんびりしたペースですが、当時のマイクロカー事情を考えれば十分な性能だったようです。
●注目を浴びるもわずか4年で生産終了
ベスパ「400」は1957年の「パリモーターショー」で発表され、同年、量産がスタートしました。
当時のマイクロカーブームに乗じて、初年度に1万2000台以上をセールスするという好調なスタートを記録。主にヨーロッパ市場で販売されましたが、アメリカにも1700台ほどが輸出されました。
ACMAにとってベスパ「400」は、ヨーロッパでのスクーター販売の減少を補う救世主となるはずでした。実際、1961年までに合計3万4000台ほどが生産されましたが、販売台数の減少により徐々に在庫が増大。ACMAは1962年12月31日に工場閉鎖を余儀なくされました。
注目を集めたベスパ「400」でしたが、シトロエン「2CV」やルノー「4」などの対抗馬にはなれませんでした。
Bring a Trailerに出品された当該車両は1959年製のベスパ「400」で、1960年代後半からアメリカ・アリゾナ州に在住する、赤いボディカラーに、赤と茶色のコンビ内装がマッチング抜群の貴重な1台です。
2015年にフルレストアが施され、ボディの修理・塗装、フロア交換、コックピットの張り替え、配線ハーネス交換、エンジンのオーバーホールなどが実施されています。
黒いロールバック式キャンバストップ、電子点火モジュール、10インチのポリッシュスチールホイールなど、魅力的な装備も健在です。
この当該車両、2024年にBring A Trailerにて2万1023ドル(現在のレートで約309万円)で取引されたものです。今回のオークションでも2万5150ドル(約370万円)で落札されました。
わずか4年間という短い生産期間と、製造会社ACMAの興味深い歴史を背負ったこの小さな名車が、新たなオーナーの元で大切にされることを願うばかりです。
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