“フォーリングス”のないアウディの「中国専用ブランド」が絶好調! 英字の「AUDI」エンブレムが新鮮な「E5スポーツバック」が瞬時に1万台を受注した理由とは?
“フォーリングス”はどこにも見当たらない
中国市場に殴り込みをかけたアウディの新ブランド・AUDIが、予想をはるかに超える好調なスタートを切りました。2025年8月18日に予約受付を開始した中国専用のBEV(電気自動車)である「E5スポーツバック」は、わずか30分間で1万153台もの予約を獲得したといいますから、人気の高さがうかがえます。

AUDIは、従来のアウディとは一線を画す存在です。最大の特徴は、アウディのトレードマークである“フォーリングス”のエンブレムがどこにも見当たらないこと。代わりに、大文字で表記された「AUDI」という新しいロゴが装着されています。
AUDIは、アウディと中国の自動車メーカーであるSAICモーターとの戦略的パートナーシップによって誕生。上海・安亭にあるSAICフォルクスワーゲンの工場内に専用の生産ラインを設け、約700名の従業員が製造に携わっています。
好調な出足を見せた「E5スポーツバック」の最大の魅力は、その価格設定にあります。エントリーモデルは23万5900元=約470万円〜と、アウディとしては比較的安価な設定となっています。
このエントリーモデルは、76kWhのバッテリーと295馬力のリアモーターを搭載し、航続距離は618kmを実現。最上級グレードは100kWhの大容量バッテリーとクワトロこと4WDシステムを搭載し、最高出力は776psを発生します。
ちなみに、最上級グレードの価格は31万9900元=約640万円と、これまたアウディ、もとい、AUDIのフラッグシップモデルにしては安価な設定。0-100km/h加速はわずか3.4秒、航続距離は647kmと、スペック面でも妥協はありません。
●中国市場のニーズに応えた車両設計でライバルと真っ向勝負
「E5スポーツバック」の魅力は、安さだけではありません。後輪操舵システム、アダプティブエアサスペンション、800V急速充電システム、LiDARを使った運転支援システムなど、最新技術が惜しみなく投入されています。
また、中国市場の嗜好を徹底的に研究したインテリアも見どころです。ダッシュボードには27インチの4Kディスプレイがピラーからピラーまで横断するように配置され、デジタルサイドミラー用の専用ディスプレイも配置されています。
車載AIアシスタントは、中国のテクノロジー企業が開発した大規模言語モデルをベースにカスタマイズされ、高度な音声対話と車両制御が可能。中国の消費者が求める最先端のコネクテッド機能を実現しています。
もちろん、予約台数がそのまま実際の販売台数になるわけではありません。中国のBEV市場では、多くのスタートアップ企業が「予約開始直後から注文殺到!」とアピールしてきたことが記憶に新しいところです。ただし、中国専用に立ち上げた新ブランドで短期間にこれだけの反響を得たことは、将来に向けて大きな意味を持つでしょう。
中国のBEV市場は、世界最大であると同時に最も競争が激しい市場でもあります。地元企業であるBYDやNIOといったプレーヤーに加え、テスラも激しくシェアを争っています。「E5スポーツバック」も、ジーカー「007GT」やNIO「ET5T」といった人気モデルに真っ向勝負を挑む形になります。
AUDIは開発期間を従来比30%短縮できる体制を構築しており、市場の変化に素早く対応できる柔軟性を有しているそうです。そして、今後2年以内に、さらにふたつの新モデルを投入する計画なのだとか。
中国専用ブランドの立ち上げという大胆な戦略が功を奏するか否か、現時点でその答えは出ていません。とはいえ、今回の初速の好調ぶりは、AUDIの挑戦が的外れではなかったことを示しているようです。
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