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日立の冷蔵庫は冷凍全盛の時代に“見せないデザイン”で戦う!? 生活の理想形を示す「プレミアム」の姿とは

生活は変わった。冷蔵庫に求められる役割も変わる

 現在の冷蔵庫市場には、明らかに新しい前提が生まれている。共働き世帯の増加や物価上昇は、消費者の行動をまとめ買い・作り置き・冷凍保存へと押し出した。食品の値上がりはフードロスへの意識を高め、週末に食品を購入し、平日に効率よく回すという生活スタイルが定着した。

 また、LDK一体型の住環境の広がりは、冷蔵庫に空間との調和を求めるようになった。

 興味深いのは、こうした変化が同時に起こっている点である。単に「保存期間を延ばす」技術ではなく、「生活を破綻させない」技術が求められているということだ。今回のHZCタイプは、まさにこうした社会背景への回答である。

チャコールグレーのHZCタイプ
チャコールグレーのHZCタイプ

“狭かった真空チルド”は、役割を整理されて戻ってきた

 日立はかつて真空チルドという独自技術を展開していた。しかし当時の真空チルドは構造上コンパクトにならざるを得ず、「欲しいが狭い」という課題を抱えていた。

 そこで2019年、冷蔵室全体をチルド帯にする「まるごとチルド」が登場し、使い勝手の根本を変えた。そして今回、真空技術は“真空氷温ルーム”として復活する。

 登壇した商品企画担当の兼坂尚宏氏は、真空氷温ルームについて「約0.8気圧の真空環境と約−1℃の氷温帯を組み合わせることで、変色や乾燥を抑え、凍らせずに保存できる」と説明した。

 これは酸化や乾燥を抑えながら、食材の食感や縮みを守る仕組みである。過去の弱点であった狭さは、用途特化という形で転換され、まるごとチルドとの併存で“広さと特化”の両立を果たした。

 兼坂氏はさらに「真空だからこそ、氷温だからこそ実現できる」と語り、単なる機能追加ではなく、冷蔵庫内部の温度帯そのものを再設計したことを強調した。言い換えれば、技術が生活の文脈に合わせて整理されたのである。
 

真空氷温ルームにより、かつての“真空チルド”が用途特化された形で復活した。約0.8気圧と約−1℃の氷温帯で保存する真空氷温ルーム。酸化や乾燥を抑える領域として機能する
真空氷温ルームにより、かつての“真空チルド”が用途特化された形で復活した。約0.8気圧と約−1℃の氷温帯で保存する真空氷温ルーム。酸化や乾燥を抑える領域として機能する

“冷凍する時代”に、日立は整理のデザインで応えた

 現在、冷凍食品の利用は増え続けている。冷凍室は単なる付属領域ではなく、むしろ生活の中心になりつつある。しかし、ユーザーが求めているのは容量だけではない。取り出しやすさ、見つけやすさ、そして混乱しにくさである。

 HZCタイプの冷凍室は中央配置で冷凍室下段が三段構造となっており、各段で高さが異なる。兼坂氏は「食品に応じて高さの違う場所に収納でき、収納するだけで見やすく整理もできる 」と説明した。

 

冷凍室下段は三段構造。高さの異なる引き出しが整理のストレスを軽減する
冷凍室下段は三段構造。高さの異なる引き出しが整理のストレスを軽減する

冷蔵庫は空間に“浮いてはいけない”。デザインはその問題に答えていた

 HZCタイプの外観は静かだ。余計な線が見えない。視界を乱さない。驚くほど情報量が少ない。

 デザインを担当した王玉氏はその意図を「正面から余計な要素が目に入らないように、ヒンジやハンドルをできる限り見えにくく設計した」と説明する。

 実際、ヒンジは目立たず、ハンドルは線のように細く、正面からの情報を削ぎ落とすことで冷蔵庫を家具の一部に溶かしている。

 素材も特徴的だ。王氏は「ガラスは半艶のフロスト処理を施し、奥行き感を残しながらも空間に馴染むようにした」と語る。印刷層にパールやメタリックを加えることで光の反射に柔らかさを生み、キッチン照明との相性を整えている。

 色味はナチュラルホワイトとチャコールグレー。いずれも純白や無機質なグレーではなく、ごくわずかに黄色みを帯びている。王氏は「木目や石材のカウンターと並んでも浮かないように、トーンを少し落としている」と説明した。

 LDKの家具調化が進む現代において、冷蔵庫を“見せないデザイン”とする成熟した回答である。

余計な線を排したフラットな面構成。キッチンの素材やトーンを邪魔しない
余計な線を排したフラットな面構成。キッチンの素材やトーンを邪魔しない

保存だけでなく循環させる。アプリが担うのは“生活の運用”である

 今回のHZCタイプはアプリも進化した。家事サポートアプリ「ハピネスアップ」は、従来の状態監視だけでなく、食品管理を生活の循環に接続させている。

 プロダクトマーケティング本部の淡路友章氏は「冷蔵庫内だけでなく、パントリーや戸棚といった食品もまとめて管理できるようになった」と説明した。これは買い物前の在庫確認、非常用食品の賞味期限管理、買い忘れ防止など、生活の破綻を防ぐ機能である。

 UIも改良された。淡路氏は「イラスト表示で冷蔵庫の状態を視覚的に確認でき、縦スクロールで必要な機能に迷わず到達できるようにした」と語る。

 アプリは過度なIoT化を志向せず、現実の生活を支える“運用装置”として設計されている点が興味深い。

家事サポートアプリ「ハピネスアップ」。食品管理が冷蔵庫外のストックにも広がった
家事サポートアプリ「ハピネスアップ」。食品管理が冷蔵庫外のストックにも広がった

静かだが確実に“プレミアム”であるという話

 HZCタイプは主張しない。しかし、丁寧に見ていくと、冷蔵庫を“生活の設計”として扱っている点が浮かび上がる。

 真空氷温ルームは用途特化として整理され、まるごとチルドは広い日常を受け止め、冷凍室は動線から設計され、外観は空間から逆算され、アプリは運用を支える。すべての要素が生活の変化と向き合っている。

 製品はR-HZC62YとR-HZC54Yの2モデルであり、市場想定価格は税込約47万円と約42万円。容量は617Lと540L、省エネも配慮されている。これは価格以上に“納得させる理由”のあるプレミアムである。

 冷蔵庫は生活に最も長く触れる家電である。その冷蔵庫をここまで生活側から整えた製品は多くない。日立HZCタイプは、その事実を静かに示している。

Gallery 【画像】超かっこいい!日立の冷蔵庫の使い勝手を画像で見る(25枚)
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