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「ごはんのお供」を食べに行ったのに、いちばん旨かったのは白飯だった! タイガーが全国25店で始めた“土鍋ごはんの名店”

炊きたてのごはんのおいしさにあらためて気づいた

 鹿児島県産のかのやカンパチの漬け刺しに塩焼き、さらに焼きたらこや佃煮、塩辛などのごはんのお供類……。テーブルに並んだ料理を見た瞬間、これはごはんが進みそうだと思いました。

 東京・目白にある鹿児島料理店「なるたけ」。2026年10月7日、タイガー魔法瓶がスタートした「タイガー 土鍋ごはんの名店」のメディア向けお披露目の会場です。

20周年記念モデル「土鍋ご泡火炊き JRT-A100」と本物の土鍋釜。会場には「土鍋ごはんの日」の記念日登録証も並び、20年の技術と新しい食体験をつなぐプロジェクトの象徴となっていた。
20周年記念モデル「土鍋ご泡火炊き JRT-A100」と本物の土鍋釜。会場には「土鍋ごはんの日」の記念日登録証も並び、20年の技術と新しい食体験をつなぐプロジェクトの象徴となっていた。

 ところが、実際に食べ始めると少し印象が違いました。

 もちろん、カンパチはおいしい。ほかの“ごはんのお供”も、白飯泥棒と呼びたくなるものばかりです。しかし、何度も箸が伸びたのはむしろ白いごはんそのもの。粒立ちがありながら、噛むとやわらかな甘みが広がっていく。

 結局、いちばん旨かったのは炊きたてのごはんだったのです。

 考えてみれば、それこそが今回タイガーが伝えたかったことなのかもしれません。

JRT-A100で炊き上げた鹿児島県産「なつほのか」。炊きたての白いごはんは粒立ちがあり、噛むほどに甘みを感じる。豊富なおかずが並ぶ中でも、何度も箸が伸びたのはこの一膳だった。
JRT-A100で炊き上げた鹿児島県産「なつほのか」。炊きたての白いごはんは粒立ちがあり、噛むほどに甘みを感じる。豊富なおかずが並ぶ中でも、何度も箸が伸びたのはこの一膳だった。

10月7日を「土鍋ごはんの日」に。全国25店を巻き込んだ理由

 タイガーは2006年、業界で初めて本物の土鍋を内釜に採用した炊飯器を発売しました。それから20年。土鍋炊飯器の累計出荷台数は、2006~2025年度で140万台を突破したといいます。

 節目となる今年、同社は10月7日を「土鍋ごはんの日」として日本記念日協会に登録。同時に始めたのが「タイガー 土鍋ごはんの名店」です。

 東京15店、大阪5店、札幌、仙台、名古屋、広島、福岡に各1店。計7都市25店の飲食店に、20周年記念モデル「土鍋ご泡火炊き JRT-A100」を導入。各店の料理とともに、炊きたての土鍋ごはんを味わってもらおうという試みです。

 面白いのは、日本料理だけを集めていないこと。海鮮、居酒屋、鉄板焼き、天ぷら、串揚げなどジャンルはさまざまです。共通するのは、料理だけでなく「一膳のごはん」にまで手を抜かないこと。

 会場で話を聞くと、もともと取引のあった飲食店を集めただけでもないようです。今回をきっかけに付き合いが始まった店も多く、タイガー側が「食べログ」と協力し、全国の店舗に声をかけて関係を築いていったといいます。

 家電メーカーが売り場を飛び出し、飲食店まで自ら探す。起業家の視点から見ると、ここは非常に興味深いところです。

「タイガー 土鍋ごはんの名店」は全国7都市25店舗でスタート。東京15店、大阪5店に加え、札幌、仙台、名古屋、広島、福岡にも各1店が参加し、料理ジャンルを越えて土鍋ごはんを提供する。
「タイガー 土鍋ごはんの名店」は全国7都市25店舗でスタート。東京15店、大阪5店に加え、札幌、仙台、名古屋、広島、福岡にも各1店が参加し、料理ジャンルを越えて土鍋ごはんを提供する。

「工芸品」と「工業製品」。そもそも本物の土鍋を家電に入れるのは難しい

 では、なぜそこまでして「土鍋ごはん」なのでしょうか。

 タイガーの説明で印象に残った言葉があります。

 土鍋は、いわば「工芸品」。対して炊飯器は、高い精度が要求される「工業製品」です。

 土という天然素材から焼き上げる器には個体差が生じます。一方の炊飯器は、毎回同じように炊き上げなければならない。この相反するふたつを組み合わせること自体が、開発当初から「至難」だったといいます。

 しかも土鍋のメリットである高い蓄熱性は、制御する側から見れば温度を素早く変えにくいという難しさにもなります。

 それでもタイガーが20年間、本物の土鍋を使い続けてきたのは理由があります。

 最高約300℃まで高められる大火力。金属釜に比べて約4倍という遠赤効果。そして激しく沸騰しながらも細かな泡が米を包み込む「やさしく激しい泡立ち」。これらを同社は「土鍋にしかできない炊き技」と位置づけています。

タイガーが「土鍋にしかできない炊き技」とする3つの要素。最高約300℃の大火力、高い遠赤効果、米を包み込む泡立ちという土鍋の特性を、20年にわたり炊飯器の中で引き出してきた。
タイガーが「土鍋にしかできない炊き技」とする3つの要素。最高約300℃の大火力、高い遠赤効果、米を包み込む泡立ちという土鍋の特性を、20年にわたり炊飯器の中で引き出してきた。

20年目にして、タイガーは「土鍋の形」まで変えた

 興味深いのは、20年続けても完成とは考えていないことです。

 JRT-A100では、IHヒーターを強化しただけではありません。肝心の土鍋そのものを再設計しました。

 釜の厚みを場所によって変える「旨み対流形状」に加え、底面には多方向へ対流を発生させる新たな波紋形状を採用。さらに底の一部を薄くした「センサースポット」を設け、温度を検知する「匠火センサー」の精度を高めています。

 本体側では2層構造の「300℃WレイヤーIH」に加え、従来のIH制御では難しかった連続した弱火を実現する「とろ火IH制御」を搭載しました。

 普通なら天然素材の“ばらつき”を嫌い、より制御しやすい素材へ置き換えたくなる。しかしタイガーは逆に、制御しにくい本物の土鍋を残したまま、センシングとIH制御を進化させる道を選んできました。

 最新テクノロジーが、古い道具を駆逐するのではなく、その良さを引き出すために使われているのです。

20周年モデルでは、土鍋そのものの形状も再設計。「旨み対流形状」と新しい波紋形状で対流を促し、底面の「センサースポット」によって匠火センサーの検知精度を高めている。
20周年モデルでは、土鍋そのものの形状も再設計。「旨み対流形状」と新しい波紋形状で対流を促し、底面の「センサースポット」によって匠火センサーの検知精度を高めている。

「一番大事なのは白いごはん」だから、なるたけが選ばれた

 今回訪れた「なるたけ」は、店主の地元である鹿児島・大隅半島の食材を中心に扱う和食店です。

 この店が25店のひとつに選ばれた理由も、話を聞くとよく分かりました。

 店側は「日常の食事だからこそ、白いごはんを大切にしたい。一番の主役だと思っています」と話します。

 なるたけで提供されたのは、鹿児島県産「なつほのか」をJRT-A100で炊き上げたごはん。そこに、かのやカンパチをはじめとした鹿児島の食材が組み合わされます。

 一般的な飲食店の紹介なら「カンパチがおいしい店」になるでしょう。しかし、この日の主役は逆でした。

 カンパチがおいしいから、ごはんが進む。

 そして、ごはんがおいしいから、カンパチがさらにおいしく感じられる。

 主菜と主食の関係が一方通行ではないのです。

会場となった「なるたけ」で用意された魚介を中心とする料理。鹿児島の食材を生かした“ごはんのお供”を味わいながら、JRT-A100で炊いた白いごはんとの組み合わせを体験した。
会場となった「なるたけ」で用意された魚介を中心とする料理。鹿児島の食材を生かした“ごはんのお供”を味わいながら、JRT-A100で炊いた白いごはんとの組み合わせを体験した。

炊飯器を売るのではなく、「おいしい」を体験してもらう

 イベントの最後、タイガー側から興味深い言葉がありました。

「弊社はまだまだ、こういう体験価値というところが大変不足しております」

 今回のプロジェクトの本質は、ここにあるのではないでしょうか。

 高級炊飯器は店頭で説明するのが難しい商品です。「300℃WレイヤーIH」「旨み対流形状」と説明されても、それだけで15万円前後の炊飯器の価値を想像できる人は多くありません。

 ところが、“百聞は一食に如かず”。おいしいごはんを一口食べれば話は早い。

 スペックを説明する前に、まず「旨い」と感じてもらう。その体験から逆算して、「なぜ旨いのか」と技術へ興味をつなげる。これは家電メーカーにとって、従来の量販店中心のコミュニケーションとは異なる顧客接点です。

 帰り際には、20年間タイガーの炊飯器用土鍋を手掛けてきたミヤオリミテッドが作った、小さな“土鍋の茶碗”をお土産にいただきました。

 20年間、家電の中に収めるために作り続けてきた本物の土鍋。それが最後は手のひらに収まる茶碗となって手渡される。

 その茶碗を眺めながら、改めて思いました。

 この日、確かに旨い「ごはんのお供」はたくさんありました。

 でも結局、もう一杯食べたくなったのは、白いごはんだったのです。

*  *  *

「タイガー 土鍋ごはんの名店」対象店舗(全国7都市・25店舗)
東京(15店舗)
かくうちなるたけ(虎ノ門)
神楽坂 和食 千(神楽坂)
銀座 遠音近音(銀座)
ここにもとだか(五反田)
だし 和食 福もと(蒲田)
鉄板焼きステーキ あずま(原宿)
鉄板焼 たまゆら(中目黒)
てんぷら 拓(神楽坂)
天ぷら 尚半(四ツ谷三丁目)
なるたけ(目白)
日本橋SANO(日本橋)
日本料理 太月(表参道)
BOB KITCHEN(下北沢)
室町 三谷屋(日本橋)
め乃惣(神楽坂)
大阪(5店舗)
割烹むつごろう
串揚げ キュイジーヌ・ド・オオサカ・リョウ 大阪本店
なにわ天ぷら 維心
慶喜
和食 凪
札幌(1店舗)
日本料理 隨縁亭 ホテルモントレエーデルホフ札幌
仙台(1店舗)
日本料理 隨縁亭 ホテルモントレ仙台
名古屋(1店舗)
黒毛和牛ひつまぶしと創作割烹 雅じゃぽ 別邸 名駅センチュリー豊田ビル店
広島(1店舗)
広島 鉄砲町 稲茶
福岡(1店舗)
ANAクラウンプラザホテル福岡 日本料理 筑紫野
※店舗は変更となる場合があります。最新情報は「タイガー 土鍋ごはんの名店」特設ページをご確認ください。

Gallery 【画像】何度も箸が伸びた! 炊きたての絶品ご飯を画像で見る(12枚)
滝田勝紀
滝田勝紀
VAGUE家電統括プロデューサー
モノ雑誌の編集に15年以上携わり『デジモノステーション』編集長を歴任。現在は家電スペシャリストとして、国内外の最新テクノロジーを長年取材。All About家電ガイドやMakuakeエバンジェリスト、楽天ROOM公式インフルエンサー(フォロワー56万人超)など幅広く活動する。海外取材経験も豊富で、欧州家電メーカー本社や世界最大級の見本市「IFA」への造詣も深い。また、Z世代向けメディア運営やPR会社経営の傍ら、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とのユニット「𝒾𝓃𝒞𝒶𝒹𝑒𝓃𝓏𝒶」で家電開発も手掛ける。機能とデザインの両面から、心地よい暮らしのあり方を提唱している。

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