マセラティ新型「グレカーレ」にイタリアで試乗して分かった「4気筒と6気筒のどちらが魅力的か」
さっそく「グレカーレ」の2グレードを試乗して分かった2台の違いとは
まずは530psの最高出力と620Nmの最大トルクを誇る改良版ネットゥーノ・エンジンを搭載するトロフェオを試乗する。ドライバーズシートに身を委ねてまず圧倒されるのは、やはり最新のインフォメーションパネルだ。
メーターパネルや時計までデジタル化されてしまったため、今回のわずか2時間程度の試乗では、残念ながらそのすべての機能を試してみることは叶わなかった。ドライビングモードは、このトロフェオでは「オフロード」、「コンフォート」、「GT」、「スポーツ」、「コルサ」の5段階。まずはデフォルトともいえる「GT」を選択してドライブを始める。

●ストリートだけでなくオフロードもしっかり想定されている
わずかな距離を走っただけで、すぐに驚かされたのはジョルジョ・プラットフォームを採用したことによる剛性の高さだ。路面の凹凸を意識的に踏んでみても、ボディはエアサスペンションとの組み合わせもあり、わずかなきしみも感じさせることなく、フラットな姿勢を保ったまま走り続けていく。コンフォートモードではやや車体の揺れが大きくなり、またスポーツモードやコルサモードでは、トロフェオの真の実力ともいえるMC20さながらのスポーツ性が姿を現してくるので、市街地での走行にはやはりGTモードがベストだろう。
仮にオフロードへと足を踏み入れるようなことがあっても、オフロードモードが常に車体を安定方向に導いてくれるし、通常時には0:100の前後駆動力配分も、最大で50:50にまで自動的に可変。さらにエアサスペンションで車高を最大30mmまで上昇させることができるから安心だ。グレカーレはただのストリートSUVではない、ある程度のオフロード走行もきちんと想定されたモデルなのである。
今回の試乗はあまり長い距離を走ることはできなかったが、コーナリング時にはとりわけステアリングのフィーリングが素晴らしく感じられた。操舵を始めた瞬間からの反応は素早く、しかも正確。だからこそシチュエーションが許せば、安心して530psというパワーを楽しむことができるのだろう。
ちなみにスポーツ、コルサの両モードでは、車高は標準時から35mm低下する。目線の高さは異なるものの、その走りはスポーツカーのそれと評してもまったく抵抗はない。組み合わされる8速ATの制御も実に巧みだ。
●「GT」がもっとも「グレカーレ」の魅力を主張する
途中でテストカーをチェンジし、今度はベーシックグレードのGTに乗る。前述のとおり、GTは2リッター直列4気筒エンジンに48Vのマイルドハイブリッド機構を組み合わせ、e-Boosterと呼ばれる電動コンプレッサーで低速域のトルクを補充するメカニズムを持つもの。ほかにはBSG(ベルト・スターター・ジェネレーター)も搭載され、これはオルタネーターとして機能し、バッテリーの充電やe-Boosterへの電力供給をおこなう仕組みとなっている。
GTはグレカーレの中でももっともそのコンセプトや魅力というものを強く主張したモデルであることに気づく。300psの最高出力と450Nmの最大トルクは、1870kgの車体を加速させるのに一切のストレスを感じさせることはない。
むしろ渋滞の多い都市部では、イタリアの誇る音響メーカー、ソナス・ファベールのスペシャリストが設計、デザインしたサウンドシステムを、上質なインテリアに包まれながら楽しむ時間の方が魅力的に思えるくらいだ。ちなみにこのシステムは2段階のカスタマイズが可能で、21個のスピーカーと1200wという仕様が最上級。車内は素晴らしいプライベート空間となる。
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グレカーレのデビューで、ミドルクラスSUVの勢力図は大きく変わりそうだ。マセラティというブランドは今、巨大なアライアンスの中に存在しつつも、独自のコンセプトと技術で確実にその進化を続けている。
そしてそのブランド・バリューをこれからさらに高めるのは、間違いなく女性ユーザーだろう。高級感、上質感、豪華さ、デザイン性、伝統、そしてSUVとしての機能。高級ブランドとは何かを知る女性に、ぜひ日常の中にグレカーレのあるライフスタイルを想像していただきたいものだ。オススメのグレードはもちろん「GT」である。
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