奇跡のスリーショット! カッコよすぎるDTMで活躍した伝説の「M3」「190エボ2」「155 V6 TI」が一堂に集まる
バブル期に車好きを熱中させた「DTM」とは?
AUTOMOBILE COUNCIL 2022の会場には、ドイツで1984年にはじまった市販車ベースのツーリングカーレース「DTM(ドイツツーリングカー選手権)」において激戦を繰り広げた3台のマシンがあった。

当時のクルマ好きであれば、市販モデルを過激にモディファイした衝撃的なフォルムと激しいバトルが繰り広げられた光景をきっと思い出すことだろう。
DTMは量産車をベースとしながら独自のレギュレーションを採用し、年を追うごとにメカニズムも性能も次第にエスカレートを重ねていった。BMW、メルセデス・ベンツ、アウディ、オペル、そして、アルファ ロメオといったメーカーが威信をかけて市販車ベースのレースマシンを開発。これまでのレース業界では採用されてなかったABS(アンチロックブレーキシステム)やTCS(トラクションコントロールシステム)といったデバイス技術の開発が激化していったのもDTM競技がはじまってからだった。
コース上では3ワイド、4ワイドでコーナーに突っ込んでいく激しいレース展開が繰り広げられた。接触することはむしろあたり前。激しいぶつかり合いが許容されていたため、DTMは「ケンカレース」の異名まで付けられた。
限界ギリギリのせめぎ合い、あらかじめぶつかることも想定に入れたボディの作り込み。軽くて速いだけのマシンではなく、頑丈な作りで力強く走る。レコードラインが塞がれば、自らラインをこじ開ける攻めの走り。そんなレース展開をあらかじめ想定してチューニングが施されていた点も独特である。
これほど過激なレース展開が繰り広げられたにもかかわらずレースとして成立していたのは、ドライバー達が元F1ドライバー出身だったり、俗に箱車と呼ばれるツーリングカーのスペシャリスト達等の凄腕のドライバー達が集まっていたからに他ならない。
DTMが当時われわれを夢中にさせ人気を博した理由は、ワイドボディ化したマシンのカッコよさだけでなく、それを操るドライバー達がテールトゥノーズ、サイドバイサイドの手に汗に握るバトルを見せてくれたからだ。
サーキットを訪れる観客の多さはF1に迫るレベルで、ツーリングカーレースとしては世界屈指とまでいわれたDTM。その立役者だった名車3台がAUTOMOBILE COUNCIL 2022の会場に集ったのである。

●DTM BMW M3
BMW「M3」の開発がはじまったのは1986年だった。当初よりレース参戦車として想定し設計。エンジンは6気筒ではなく2.3リッターの4気筒が選ばれたのも、クランクシャフト長が短い方が剛性を高めることが出来、さらにエンジンを高回転化することが可能だったからである。また、そうした思想はサスペンションジオメトリーにも見られ、M3はレーシング思想で設計されている。さらにプラスチック部品を多くの箇所で使うことで、軽量化も図られている。
初代となるE30型M3は、その時代のツーリングカーレースで勝つために生まれた車両だった。デビューは1987年、いきなり開幕戦のホッケンハイム、2戦目のゾルダーで驚異の2連勝を果たし、ライバルだったメルセデスやフォードを驚かせた。デビューイヤーは最終的に全10戦中5勝という圧倒的な強さの勝率を誇り、シリーズチャンピオンの栄冠にも輝いた。そういう意味においても、BMWにとって誇り高き存在のマシンである。
今回展示されていたDTM BMW M3は、1987年のDTMシリーズで初めてサーキットに現れたマシンである。この頃のDTMマシンはグループA規定に属していたので、レーシングカーを製作する際のボディワークは認められていなかった。
そのため、より太いタイヤを履かせて戦闘力を高めるべく、前後にブリスターフェンダーをセット。もちろん、市販のロードカーにも同じボディが与えられた。また、深いエアダムスポイラーやリアウイングも同様の形状を採用している。また、よりダウンフォースを高めるために、トランクリッド高を上げているのも見逃せないポイントといえるだろう。
エンジン出力については、M3ロードバージョンが200psだったが、このDTM BMW M3は290ps以上を発揮するようにチューニングが施されている。
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