スポーツカーメーカー「ポルシェ」はレースシーンもEVシフト!? 現在開発中のさまざまな電動化技術とは
ポルシェは本格的なレースをEVで実現!?
もうひとつ興味深かったのが、718ケイマンGT4 クラブスポーツをEVにコンバートした試作車。その目的は、現在のカレラカップに代わるレースをEVで開催する可能性を探るためというのですから、聞き捨てなりません。
本当に、現在のカレラカップに匹敵する本格的なレースをEVで実現できるのでしょうか?

「718ケイマンGT4 eパフォーマンス」と名付けられた試作車は、フロント、助手席の足下、リアの3か所に計80kWhのバッテリーを装備。
前後に搭載したモーターによって予選モードで800kW(約1090馬力)、25分間程度のサーキット走行が可能なレースモードでも450kW(約610馬力)を発揮します。しかも、このレースモードでさえ、サーキットでは現行カレラカップカーと同等のペースで走れるといいます。
ちなみに、カレラカップのレース時間は最大30分と決められているので、718ケイマンGT4 eパフォーマンスでもカレラカップカーと同等の距離を、同等のペースで走れることになります。
今回はこの試作車に同乗走行することができましたが、ウェットコンディションにもかかわらず、加減速のたびにヘルメットが激しくシートに叩きつけられる衝撃を味わったほか、コーナリングでも身体をしっかりと支えていないとどこかに放り出されてしまいそうになるくらいの横Gを体験しました。
しかも、発進直後から超特大トルクを生み出したり、エンジンとは比べものにならないほど鋭いレスポンスを発揮したりと、EVらしさも満載。エンジン好きには淋しいかもしれませんが、EVレースがもう実現間近であることを思い知らされました。
レース関連の話題はもうひとつあります。世界最高峰のEVレース、フォーミュラEに関するものです。

ポルシェは2019年からフォーミュラEに参戦していますが、2023年に始まるシーズンからはマシンがGen3と呼ばれるものに進化。ポルシェも、これに向けたマシン作りに取り組んでいます。
新型マシンは、最高出力が従来の250kW(約340馬力)から350kW(約476馬力)に引き上げられるほか、従来は禁止されていた前輪でのブレーキ回生も認められることになります。
これらに対応したパーツを開発するいっぽうで、ポルシェは個々のパーツの軽量化を実施。規則で決められた最低重量を下回るレベルまで一旦軽量化したうえで、そこから最低重量に到達させるのに必要なバラスト(重り)を積んでいきます。
ただし、どこにバラストを搭載すれば、操縦性やトラクション/制動性能に最良の効果を与えるかを事前に計算。この結果に基づいてバラストを積むことでマシンの戦闘力改善を図る計画です。
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ポルシェは、2030年までに全販売台数の80%以上をEVとする目標を掲げています。今回、発表された様々な取り組みも、そうした目標を達成するために必要なプロセスといえるでしょう。
いっぽうで、2030年時点でも残る20%弱がエンジンを搭載している可能性も残されています。
こちらは、いわゆるカーボンニュートラルフューエルなどを用いることで、実質的にCO2を排出しない形を採ります。つまり、カーボンニュートラルな社会を目指しつつも、エンジン車を操る愉しさも残す。これがポルシェの将来戦略なのです。
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