VAGUE(ヴァーグ)

「走行距離わずか249km」“新車”みたいなランボルギーニ「カウンタック」の意外な落札価格とは

パガーニがスタイリングを手がけた25thアニバーサリー

 2023年1月26日、アメリカ・アリゾナ州でRMサザビーズがオークションを開催。その中に気になる1台を発見しました。ランボルギーニ「カウンタック 25thアニバーサリー」です。ランボルギーニ社の創立25周年を記念したモデルだから珍しいというわけではありません。実はこの車両、なんと走行距離がわずか249kmだったのです。

オークションに出展された、走行距離トータル249kmの1989年式ランボルギーニ「カウンタック」(C)RM Sotheby’s
オークションに出展された、走行距離トータル249kmの1989年式ランボルギーニ「カウンタック」(C)RM Sotheby’s

 カウンタック 25thアニバーサリーは、1988年のF1イタリアGPで初めて公開されました。従来の「カウンタック 5000クワトロバルボーレ(以下、QV)」の外観や性能はそのままに、快適性を高め、スタイルを洗練させるために約500もの微妙な変更と改良が加えられました。

 25thアニバーサリーのエクステリアを託されたのは、ホラシオ・パガーニ(パガーニ・アウトモビリの創設者)でした。彼は当時、ランボルギーニに新設された“コンポジット部門(素材部門)”の責任者でした。

 25thアニバーサリー(および初期の「ディアブロ」)のデザインのルーツは、1987年にパガーニが製作したケブラー複合材ボディをまとう「カウンタック エボルツィオーネ」のテストカーにあるそうです。また、このプロジェクトがきっかけとなってパガーニはみずからのスーパーカー製造に着手。自動車用コンポジットのコンサルタント会社で、現在のパガーニ・アウトモビリの前身であるパガーニ・コンポジット・リサーチ社を設立したといわれています。

 25thアニバーサリーはノーズを高くし、エアインテークを改良してフロントブレーキへの空気の流れを改善するなど、パガーニならではの工夫が凝らされています。また、リア回りではバンパーのデザインが微妙に変わっています。ドア後方のエアインテークは従来のブラック仕上げからボディカラーと同色に塗られ、フィンの形状が“横”から“縦”に変わっています。さらに、15インチホイールは2ピースの鍛造合金製で、5000QVよりワイドなものとなりました。

 インテリアでは、5000QVまで手動だったウインドウが、25thアニバーサリーから電動式に変更されています。さらに、運転席と助手席の両シートには、パワーアジャスタブルバックが装備され、ドライバーとパッセンジャーの快適性を向上。さらに、ステアリングホイールも新しいものに交換され、エアコンもより強力なものに変更されました。25thアニバーサリーの動力性能は5000QVと変わらず、0-62mph(約100km/h)が4.7秒、最高速度は183.3mph(294.9km/h)と発表されています。

●予想価格の下限に近いプライスで落札

 当該車両は、1989年8月下旬にサンタガタ・ボロネーゼ工場で産声を上げました。メタリックブラックのエクステリアにグレーレザーがおごられた、カウンタックとしては“ひかえめ”なカラーコンビネーションです。

 アメリカ・オハイオ州のヒースに拠点を構えていたクラーク・モーター・カンパニーが1990年2月5日に発行した販売明細書から、デトロイトの医師に27万5000ドルで販売されていたことが確認されました。当時の走行距離は138km(約82マイル)でした。

 2007年11月、デトロイトの医師の手元を離れた25thアニバーサリーは、クラーク・モーター・カンパニーに戻ってきました。なんと17年間でたった13km(!)しか走行していなかったそうです。もはや走らせるクルマというよりも、展示車として大切に保管されていたのでしょう。

 2010年から2020年までは、オハイオ州の著名コレクターの手元に渡っていたそうです。定期的に点検を施し、エンジンを始動させ、短時間のドライブをおこない、機械部品の作動状態を保っていたといわれています。そして2020年1月に出品者が購入し、今回のオークション出品に至りました。

 今回の25thアニバーサリーには、オリジナルのマニュアル、販売時の書類一式などそろっています。しかも、新車時に装着されていたタイヤを今でも履いています。出品車両の写真は、どれを見ても“新車”のよう。まるでタイムスリップしてきたかのような1台です。

 予想落札価格は75万~100万ドルと見積もられていましたが、結果は77万5000ドルで落札されました。昨今の円安により円換算すると約1億円ですが、それでも予想落札価格の下限に近いものです。

 走行距離だけを重視する人にはたまらない逸品でしょうが、新車時から不動の期間があまりにも長く、いくら定期的に点検されてきたとはいえ維持することに不安を覚える人が多かったのではないでしょうか? やはりクルマは走らせてナンボ、ですからね。

Gallery 【画像】まるで“新車”みたいな「カウンタック 25thアニバーサリー」を写真で見る(11枚)
今しか買えない! 少量限定のプレミアムタイヤとは
浅草の職人魂から生まれた「KIWAME TOKYO ASAKUSA」 どんな腕時計?

VAGUEからのオススメ

タイヤの選び方が変わるーーデザインによる世界観の表現と性能とを両立したブリヂストン REGNO「GR-XIII B Edition」で“大人のドレスアップ”【PR】

タイヤの選び方が変わるーーデザインによる世界観の表現と性能とを両立したブリヂストン REGNO「GR-XIII B Edition」で“大人のドレスアップ”【PR】

RECOMMEND